NFLはFAの動きが落ち着き、ドラフト前のあまりニュースが出ない時期に入っている。最近では、例えば
Alex Smithの引退 が伝えられたが、年齢や怪我の具合などを踏まえるなら、それほど違和感のあるニュースでもない。彼については
こちら で既に色々と述べている。
Smithがドラフトされた2005年の同期を見ると、最も成功したのがRodgersであることは間違いない。単にANY/Aなどのパス成績がいいだけではなく、例えば
キャリアのパス試投 を見てもRodgersが最も多い。彼より上位、というか全体1位で指名されたSmithはRodgersよりも1000試投以上少なく、すぐ下には同年7巡指名のFitzpatrickが迫っている。
ちなみに同じように私自身は5年目オプションが妥当だと見ているAllenについて、BillsのGMは
「決して理想的ではない」 としているそうだ。フランチャイズタグを使うより契約延長の方が安くなるという理屈のようだが、これは
ほんの2年前にEaglesが失敗をやらかした 時と同じ言い分である。Allenの将来に賭けるとしても、もう1年彼の実力を推し量ってからでも遅くはなかろうに。
なお5年目オプションは、実は今年から新労使協定によってルールが色々と変わっている。
こちらの記事 に詳細は載っているが、例えばこれまで指名順で決まっていた5年目の契約額が別の方法で決められるようになったことや、あるいはオプション行使時点で5年目までサラリーが保証される点などが違ってくるそうだ。
同時にこの年の1巡指名で誰が最も活躍し、誰が冴えなかったかも、この表にはっきり映し出されている。複数回Pro Bowlに選ばれたNelsonとFitzpatrickの2人が最も大当たりで、それ以外に9人が1回はPro Bowlに選出されている。そこまでは行かなかったがそれなりのプレイ回数を確保したのがMillerも含めた10人で、Rosenを含む残りの11人はここまでは残念な結果となる。
もう一つのニュースは、
背番号に関するルールが変更された ことだ。QBやキッカーを除くバックスは1-49と80-89を使えるようになり、OLは50-79を使用する。ディフェンスではDBが1-49、LBが1-59と90-99、DLが50-79と90-99が使用可能になるそうだ。
実のところ、ルール面で言えば背番号で厳密に区別する必要性があるのはオフェンスのラインとバックスくらい。こちらは審判がイリーガルフォーメーションやイリーガルレシーバーについて見分けやすくするというメリットがある。だが他のポジション、特にディフェンスについてはそういう利点はない。DLとLBという分け方自体が実態に合わなくなってきている(むしろDI、Edge、LBという分け方の方が適当)し、Sでありつつボックスでプレイする選手も多くなってきたため、そうした実態を追認するように、DBとLB(1-49)、LBとDL(50-59と90-99)で背番号が重なるようルールを変えたのだろう。
おそらく昔はラインのうちCが50番台、Gが60番台、Tが70番台、そしてEが80番台という感じで番号が割り振られたのだと思う。オフェンスではEがWRとなり、ディフェンスではCが後ろに下がってLBとなった。ただ時とともにオフェンスではレシーバーが増えて80番台だけでは厳しくなり、さらに各ポジションを流動的に動く選手も増えてきたため、いっそ割り切ってオフェンスのバックスは幅広い番号使用を可能にしたという形ではなかろうか。こちらも実態の追認に見える。
ニュースがあまりないため、ドラフトに向けた話が増えてくる。一例が、
2000年以降にドラフトされたQBについて、年次ごとに評価を出した大本営の記事 。この手の主観的なランキングはそもそも話題作りが狙いであり、内容には正直言ってあまり意味はない。現実問題として、まだドラフトされて1年しか経過していない2020年組の位置づけなど、現時点で定められるものではないだろう。せめて4年は経過してから考えるべきではなかろうか。
また年次をどう評価するかという問題もある。この記事ではPro Bowlerの選手をわざわざ太字で示しているので、そのあたりが評価対象になっているのかもしれないが、では例えばTrubisky(RANY/Aは-0.55)はByron Leftwich(+0.06)より本当にいい選手なのだろうか。Trubiskyの同期のトップがMahomesやWatsonなのに対し、Leftwichの同期(2003年組)トップがRomoやPalmerであることを踏まえるなら、前者の年次の方が評価が高くなるのは分かるのだが。
いずれにせよQBの年次評価のやり方は色々あり得るだろうし、このランキングだけに限る必要はない。例えばリーグの上位6分の1(大雑把に平均を1標準偏差以上上回った選手)を生み出した数の多い年次ほど偉大な年次ではないか、と考えることも可能だろう。1000ドロップバック以上を記録した歴代QBをRANY/A順に並べると、上位6分の1に顔を出している2000年以降にリーグ入りしたQBは以下の10人となる。
2000(Brady)、2001(Brees)、2003(Romo)、2004(Rivers)、2005(Rodgers)、2012(Wilson)、2014(Garoppolo)、2017(Mahomes、Watson)、2018(Jackson)
このうちGaroppoloとJacksonはかなりプレイ回数が少ないため、除いた方がいいとの見解もあるだろう。彼らを除くと代わりに入ってくるのは、2016(Prescott)となる。それでもトップ評価が2017年組なのは間違いない。大本営ランキングのトップに入っている2004年組は、現時点では少々過大評価にも見える。RANY/AランキングでPrescottの3つ下にRoethlisbergerがいるので、過大すぎるとは言わないが。
逆にどう見ても低すぎるのは2000年組(大本営ランキングで13位)。おそらく大本営ランキングでは、この年次で最も優れたQBだったBradyを6巡まで指名しなかった点も考慮されたのだろう。どの年次からどのQBが選ばれたかだけではなく、ドラフト自体が正当な評価に基づいて実施されたかどうかを見れば、確かに2000年ドラフトはダメなドラフトの部類だったと言われても仕方ない。だがそれなら、元からろくなQBがいないと言われ、1~3巡で3人しか指名されなかった2013年のドラフトがランキング20位になっているのは、さすがに低すぎるのではなかろうか。
……とまあこういう風にツッコミを入れながらドラフトまでの暇を潰す、という目的のために投入された記事なのだろう。ドラフトが行われる現地木曜日まであともう少し。それまではこんな感じで無聊を慰めるとしよう。
スポンサーサイト
コメント