Edelman引退

 Julian Edelmanが引退を表明した。昨シーズン、既に怪我で十分にプレイできない状態にあったこと、この5月には35歳を迎えること、直前にフィジカルチェックをクリアできずにチームから解雇されたことなど、状況を考えればやむを得ない決断だろう。既にBradyがいなくなり、Patriotsの一時代は終わりを告げつつあることは間違いないが、それをまた一つ印象付ける出来事である。

 Edelmanに対する私の個人的印象は「劣化版Wes Welker」である。Edelmanがレシーバーとして使われるようになった当初からそういう感じを強く受けていたが、キャリアが終わってみるとやはり同じ感想が思い浮かぶ。少なくともレシーバーとしてのEdelmanは、Welkerを1ランク落とした選手のまま引退したと言っていいだろう。
 Edelmanは実質11年のキャリア(2017シーズンは1回もプレイしていない)を全てPatriotsで過ごし、トータルとして620キャッチ、6822ヤードのゲイン、そして36のレシープTDを上げた。一方、WelkerがPatriotsで過ごしたのは2007-12の6シーズンだけだったが、彼が積み上げたのは672キャッチ、7459ヤード、そして37レシーブTDだ。在籍した期間は短いが、いずれの数字を見てもWelkerの方がEdelmanより高い。もちろんPatriots以外でのプレイも含めれば、数字はもっと大きくなる。
 WelkerはPatriotsにいた6シーズンのうち5回、100キャッチ1000ヤード超を達成し、リーグでも屈指のWRとして大活躍した。現代的なスロットレシーバーというポジション自体を作り上げた選手と言ってもいいだろう。一方、EdelmanはWelkerがいなくなった2013シーズンから本格的にレシーバーとして使われるようになったが、100キャッチ以上は2回、1000ヤード超は3回にとどまった。少なくともリーグでトップクラスの活躍とまではいえない数字だ。
 Edelmanはプレイオフで活躍した、という主張はある。確かに彼は19試合でプレイし、118キャッチと1442ヤード、そして5つのレシーブTDを記録している。だがそれを言うならWelkerもPatriots時代にプレイオフ9試合で69キャッチ、686ヤード、4レシーブTDを記録している。1試合当たりの数字で見ればどれをとってもEdelmanより高い。
 Edelmanはパントリターンでも活躍したと主張する人もいるだろうが、Welkerだって同じくパントリターンで活躍した。Edelmanは137試合で177回のパントリターンを行い、1986ヤードリターンしたうえで4つのTDを記録した。一方WelkerはPatriots時代だけなら93試合で114リターン、1185ヤードにとどまるが、キャリア全体だと264リターンの2584ヤードを積み上げている。ただしTDはゼロで、ここは明白にEdelmanが勝っている。
 間違いなくEdelmanの方が優れた成績を残しているのはパスだ。というかそもそもWelkerはキャリアでパスを投げたことが1度もないのに対し、カレッジでQBをやっていたEdelmanはレギュラーシーズンで6回、プレイオフで2回のパスを投げ、計7回のパス成功と2つのTDを記録している。またEdelmanの記録で意外に多いのがランで、レギュラーシーズンでは毎年ランを記録し、計413ヤードを稼いでいる。Welkerのランは計34ヤードのみだ。
 Welkerは2008-12シーズンまで5年連続でPro Bowlに選ばれ、うち2009と2011シーズンには1st-Team All-Proにもなっている。対してEdelmanはSuper BowlでMVPに選ばれたことこそあるものの、Pro Bowlへの選出はゼロ。Super Bowlしか見たことのないファンにとっては、例のキャッチもあってEdelmanの印象は深いかもしれないが、トータルで見ればやはりEdelmanは劣化版Welkerだったと思う。
 それでもファンの惜しむ声が大きいあたり、むしろEdelmanと比較すべきなのはTroy Brownかもしれない。同じPatriotsのスロットレシーバーで、同じくパスレシーブ自体は決して一流ではなかったが、やはりパントリターンで活躍し、さらにパス……ではなくDBとしてプレイに参加しインターセプトまで奪った彼は、Patriotsファンから広く愛された選手だった。彼は1回だけPro Bowlに選ばれたことがあるが、全体的な数字はEdelmanとよく似ている。
 逆に言うと、もしEdelmanがPro FootballのHoFに選ばれるなら、その前にTroy Brownが選ばれるべき、ということになる。もっとはっきり言うなら、どちらもHoFレベルの選手ではない。いやもちろんPatriotsのHoFには絶対に選ばれるべき選手だと思うが、あくまでこのチームにとっての名誉ある選手という位置づけだ。プロフットボール全体で見るなら、他にもっとふさわしい選手がいる。
 Edelmanのようなタイプの選手は、基本的にそのチームのファンの間で人気を博するのが通常だ。たまたま彼がプレイしていた時期にPatriotsがDynastyの真っ最中だったため、あと彼の引退が他にニュースの少ないタイミングに発表されたため、少しばかり話が盛り上がっているだけだろう。彼やBrownのようなversatileな選手は私も大好きだが、HoFの話が出てくるのはいくら何でも違うと思う。

 とまあ古参の老害ムーブを決めたところで、別の話もいくつか。Over The Capではドラフトを控えて関連のエントリーがいくつか上がっているが、その中に2011-20年のドラフトの結果についてまとめた記事がある。最初の分布図は、基本的にドラフトした選手の活躍(2度目の契約金額で計測)が大きかったチームほど成績が良かったことを示すものだ。
 次の表は平均以上のドラフトをしたチームと平均以下のチームについて、勝ち星ごとにまとめたものだ。見ての通り、平均以上のドラフトをしたチームが高い勝率を確保しているのに対し、逆のチームは勝ち越せなかった割合が高い。そして最後の表は、個別のドラフトクラスのどこが大きな「成功」を収めたかをまとめている。最も高額の「2度目の契約」を勝ち取ったのはこの10年間のうち初期のBroncosで、逆に一番ひどかったのは中期のRaidersである。
 Patriotsで見ると前半のチームは割と上の方に顔を出しているのだが、後半になるほど成績が下の方に落ちている。足元でのドラフトがうまく行っていないことは誰もが気づいていると思うが、それはサラリー面からの分析でも裏付けられているわけだ。もちろん、ドラフトがダメでもQBが良ければ勝率は結構高かったりするのだが、そのQBがいなくなった時点ですぐ負け越したのもドラフトの失敗に伴うチーム力の低下が背景にあったからだろう。
 ドラフトの評価をスナップ数で見ると、さらにPatriotsの状況は酷くなる。こちらのエントリーでは、ルーキーのスナップ数がドラフト順位の期待値に比べてどのくらいずれているかを分布図で示している。2011-20シーズンで見るとトップはFalconsで堂々の最下位がPatriots。彼らは2017-20で見てもやはり最下位にとどまっており、ルーキーがそもそもプレイに参加できていないことが分かる。
 とはいえ、多少のドラフトの失敗もスターQBさえ引き当てればある程度は穴埋めできることも事実(Texans並みに失敗するとさすがに無理だが)。あとはどのくらいQBのためにドラフト資源を投入するかだ。こちらについてOver The Capのエントリーでは、ドラフト市場の非効率さを生かすべきだと指摘している。簡単にいえばトレードアップするためのドラフト資源を、自チームにいるベテラン選手を使って稼ぎ出すのが望ましいということ。将来のピックを使うのは、やるとしてもChiefsがやったように翌年の1巡1つくらいに絞り込んだ方がいいのだそうだ。
 またQBを上位でドラフトできる機会があれば、それを逃してはならないとの指摘もある。昨年、全体3位のドラフト指名権を持っていたLionsは、今年ドラフトではなくトレードでGoffを手に入れる方向に走らざるを得なかった。彼らのポジションであればTagovailoa、Herbertあたりを指名することも可能だったわけで、後者を取っていれば今頃Staffordの後継者で迷う必要はなかっただろう。
 残念ながら今年のPatriotsには極端なトレードアップができるほどのドラフト資源はない。差し出すのを来年の1巡まででとどめる場合、トレードアップできるとしても大きな順位のアップにはならないだろう。考えられるとしたら、噂にのぼっているGilmoreやHarryのトレードを活用してドラフト資源を手に入れ、それでトレードアップするという方法だろうか。Belichickがどんな手を打ってくるか、ドラフト当日までは興味を持って眺められそうだ。
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