また新しい動きがNFLで出てきたので、フルーリュスはお休み。
追加される1試合はインターカンファレンスゲーム。そのシーズンに総当たりが組まれている地区を避け、他の地区で前年に同一順位だったチーム同士がぶつかることになる。例えばAFC東地区はNFC東との対戦が予定されており、Patriotsは地区3位だったCowboysと試合が予定される。なお2021シーズンは全試合でAFCがホームになるが、翌年にはNFCがホームになる。さらに全チームが必ず8年に1回は海外での試合をすることに決まったようだ。
代わりにプレシーズンゲームが1試合減らされ、3ゲームになる。レギュラーシーズンでホームゲームが1試合多くなるチームは、プレシーズンではアウェイゲームの方が多くなる。スケジュール的にはプレシーズンが終わったところで1週のbyeをはさみ、シーズン開幕は例年通り。レギュラーシーズンが1週増えるため、プレイオフのスケジュールも全部1週ずつ後にずれることになる。Super Bowlは例年の2月第1週ではなく、第2週だ。
追加されたゲームの中で面白そうなのは、何といってもPackers @ Chiefsだろう。過去2年のMVP同士がぶつかる試合であり、両カンファレンスの優勝戦線に影響を及ぼしそうな組み合わせだ。ただそれ以外は割と微妙な組み合わせが多い印象がある。あえて言うならSeahawksとSteelersのゲームあたりはそれなりに盛り上がりそうだが、それもRoethlisbergerの調子次第か。
ちなみに試合数の増加によってチーム作りにおけるデプスが重要になるとの指摘もある。確かに試合が増える分、怪我によって主力選手が出られなくなるリスクは高まるだろう。控えを含めてチーム全体の底上げが大事になりそうだ。
こちらのツイート を見るなら、そうした変化にうまく対応しているのはBills、Giants、Saints、Lions、Patriotsあたりらしい。
一方比較するのを成績ではなく4年後までの成績向上と比較した2つ目の分布図は、右肩上がりの傾向が見えている。ドラフトで多くの価値を生み出したチームほど、成績が上向く傾向が見られるというわけで、FAとは逆にドラフトはチーム力を高めるうえで役に立つイベントである様子が窺える。特に1~3巡に指名した選手は、4巡以降の指名選手よりはっきりと右肩上がりになっており、2日目までに指名する選手が重要だと想像できる。
しかし特に興味深いのは6番目に出てくる分布図だろう。1巡での複数指名や指名しなかったチームを除き、具体的な指名順位によって生み出された成績向上度合いがどの程度だったかを示している図であり、1番右端に縦に並んでいるドットが全体1位指名選手のもたらした価値だ。つまり、上位の指名順位がどのくらいチームに貢献してきたかをざっくりと見ることができる。
Fitzgeraldが指摘する通り、この分布図を見る限り全体6位指名あたりまでは指名した選手の生み出した価値はそれほど大きく変わらない。3番目の指名がいささか低く見えるとか、4番目は全体1位並みに当たりが多いといった感想は思い浮かぶが、7番目以下に比べれば影響は限定的に思える。もちろん母数の問題もあるのでこの分布図をあまり無邪気に信じるべきではないと思うが、それでも「全体6位指名まではトレードダウンしてもあまりダメージはない」と解釈もできそうな図だ。
彼のエントリーの最後に乗っている分布図は、ドラフトした選手の2度目の契約価値とチームの勝率との関係だ。こちらも全体として右肩上がりの関係になっており、Chiefsが最も成功している様子が分かる(といっても要するにMahomes指名がうまくいったということだが)。Patriotsも高い位置にいるが、これは彼ら自身が契約延長したわけではない2人のQB(Garoppolo、Brissett)のおかげであり、それを除けば彼らの位置はむしろ左上に行ったはずだ。その左上はドラフトで失敗が多かったが、優秀なQBのおかげで勝ち星自体は確保したチーム(Steelers、Packers)が多く、逆に右下はドラフトでいい選手を引き当てたのにQBがダメだったせいで成績が散々だったチーム(Jaguars)だ。
そう、この分析からもやはりチーム成績に1番大きな影響を与えるのはQBであることが分かる。だからこそドラフトでいいQBを指名することは重要になるし、そのために大量のドラフト権を消費してトレードアップするのは許容範囲だと思われている。
昔に比べてQBがドラフト上位で指名される頻度が明らかに上昇している のだが、それもこれもこうした事実に各チームが気づいてきたからだろう。そして、結果として過大評価となるQBも増えている。QB宝くじはいよいよ当たり外れが極端になっているように見える。
ちなみに今年のドラフトで各チームが持つ価値については
こちらのツイート 参照を。当然、指名順の高いチームほど勝ちも高いが、Texansのように1巡と2巡を失っているためむしろリーグ下位に沈んでいるところもある。圧倒的にうまく回っているのはDolphinsであり、彼らはこれに加えて来年以降のドラフト権も持っているのだからウハウハだろう。また、計算法によって評価がずいぶん違うチームが存在するのも興味深いところだ。
さらにOver The Capでは、一通り重要な契約が出そろった
FAについてのまとめ記事 も掲載している。まずキャップの減少に伴って生じるだろうと思われていた契約額の減少だが、予想されたほど明白な傾向は出なかったようだ。一応、全体の契約額や年平均額は減っているのだが、むしろサイニングボーナスなどは増加しているほどだ。
これはキャップ対策として来年以降にキャップを後回しするチームが多かったためだろう。サイニングボーナスのキャップヒットは契約年数に合わせて均等配分される(最長5年)。今年に限ればサラリーキャップは減少しているが、来年以降にキャップが戻ると期待しているチームは、無理に契約額を下げるよりも、キャップヒットを来年以降にシフトする方を優先したのだと思われる。また短期契約も増えているが、これは今年のみの特徴というより、この数年続いている傾向である。
チーム別に見ると、大方の予想通り契約額が急増した代表例がPatriotsだ。過去3年間の平均に比べていきなり4倍強の支払いとなっている。他にもBengals、Giants、Texans、Steelersなどが増加しているが、うちTexansの保証額のみは減っている。彼らは1年単位の小さな契約をやたらとたくさん締結したようだ。
逆に減少率の上位にはEagles、Saints、Falconsといった具合に、キャップスペースに余裕のないチームがずらりと並んでいる。特にEaglesは全くと言っていいほどFAに資金を使っておらず、まさにtankingモードに見える状態だ。一方、謎なのはColtsが大幅にFA額を減らしていること。彼らはキャップにかなり余裕があるし、チーム力を見ても足元で優勝を目指すのにふさわしい状態にある。FAに資金を投入するのは効率が悪いとでも考えたのだろうか。
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