トレードアップ

 フルーリュスの話に戻るつもりだったが、NFLでFAの動きが収まってきたところで大きなドラフト権トレードがあったので、今回もそちらを。

 まずは49ersとDolphinsがトレードを行った。前者は今年の1巡(全体12位)、2022年の1巡と3巡、及び23年の1巡を出し、Dolphinsは今年の全体3位(もともとはTexansから手に入れたもの)を引き渡すことになる。大雑把に言えば49ersは3つのドラフト1巡プラスアルファを差し出すことで今年のトップ3QBの誰かを手に入れる権利を得たわけだ。
 このトレードの後でDolphinsは今度はEaglesとトレードを実施。手に入れたばかりの全体12位指名権に、今年の4巡と2022年の1巡を付け加えて差し出し、代わりにEaglesから今年の全体6位と5巡を手に入れる。Eaglesに渡す2022年の1巡は49ersからもらうものではなく、Dolphins自身のドラフト権になるそうだ。2022年のDolphinsの1巡指名権はこれで1つになり、Eaglesは2つになる
 現時点での今年のドラフト指名順はこちらの記事にまとめられているようになる。もちろん実際にはドラフト当日も含めてまだトレードがあるだろうから、あくまで現時点での仮の指名順でしかない。こちらのモックドラフトでも、さらなるトレードがあると予想している。

 今回のトレードは、各チームの今シーズンに向けたチーム体制について色々と憶測を呼ぶものとなっている。まず49ersは今回のトレードにより、どこかでGaroppoloを諦める可能性が高まった。元々チームと彼との契約は2022シーズンまでであり、今すぐ彼をカットしてもデッドマネーはたったの2.8ミリオンしか発生しない。どちらにせよQBを見直すべき時期が迫っていたのは確かだ。
 彼らのロースターはwin nowモードにある。その状況下で、いつ怪我で脱落するか分からないQBに頼り、あとは数段落ちる控えしかいないという状態は、確かに問題だろう。実際、2021シーズンの先発QBの欠場数を見ると、49ersはCowboysに次いで多かった。Garoppoloの怪我が多いのは事実であり、このポジションをチームが何とかしたいと思っているのは確かだろう。ただし49ersの怪我はOL、DL、DBでも多かったのだが。
 問題はチームがQBをドラフトした後でGaroppoloをどう扱うかだ。今の状態だと彼のキャップヒットは26.4ミリオンに到達する。控えの可能性があるQBに支払う金額としてはでかすぎるのは間違いない。Bill Barnwellは、チームが彼に対してペイカットを求める可能性もあるのではないかと書いている。ただしBarnwellの予想する本命はペイカットではなく、Patriotsとのトレード。Garoppoloは自分の了解なしにトレードさせないという契約を49ersと結んでおり、彼が同意する先としてはPatriotsが一番ありそうなのは確かだろう。ただし足元で49ersはGaroppoloのトレードを考えていないと報じられている。
 49ersに全体3位を譲り渡したDolphinsが今年のドラフトでQBを指名する可能性はほぼなくなったと見ていいだろう。これは即ち、Tagovailoaが当面このチームの先発QBで行くことを意味している。もちろんその後で全体6位の指名権を入手しなおしているのでQB指名の可能性がゼロになったわけではないが、ドラフトでいいQBを指名することの重要さを考えるなら、わざわざこんなトレードをする必要はない。Barnwellは、むしろTagovailoaを助けるような選手を指名するのではないかと見ている。
 まだ1年しかプレイしていないTagovailoaを早々に切り捨てる判断をしなかったのは意外ではない。確かに彼の成績はANY/Aが5.40でリーグ28位、DAKOTAが0.050で同27位と冴えない成績であったが、ルーキーの限られたプレイ数で判断を下すのはさすがに気が早いだろう。もちろん1年目がダメだったがその後で大成したQBを最近あまり見かけないのは事実。例えばMahomesは先発1年目(プロ入り2年目)からリーグトップクラスの成績を残したし、Watsonもプレイ回数は少なかったが1年目の成績は高かった。Wilsonもやはり1年目からいい成績を残しており、その意味でTagovailoaのリスクが高いのは確かだ。
 Dolphinsに全体6位を譲ったEaglesも、今年のQB指名をしない可能性が高まったと見ていい。彼らはおそらくHurtsを先発で使い、先だって獲得したFlaccoを控えにするのだろう。それにしても今年の指名順を下げて来年の1巡指名権を増やしたということは、いよいよもって2021シーズンにtankingをする方向がはっきりしてきた印象がある。Barnwellも「今年は現実的には移行期間」と指摘しており、さらにWentzがColtsでいいプレイをすれば2022年のドラフト1巡が3つになることも指摘。Rosemanにとっては来年が勝負の年なのだろう。
 Barnwellは他にも影響を受ける可能性があるチームに言及している。まずは全体4位の指名権を持つFalcons。3位指名権がQBに使われることがほぼ確定したため、有力QBを手に入れたいチームが次に狙うべきトレード相手に彼らが浮上してきたからだ。BarnwellはFalcons自身がQB指名をする可能性はほとんどないと見ているし、個人的にも同意。確かに昨シーズンのRyanはリーグ平均を少し上回るくらいの成績しか残せなかったが、キャリア全体を見れば彼が優秀なQBなのは間違いない。年齢的には今シーズンで36歳。最近のQBのキャリアを考えるなら、次を担うQBの指名はもう2年ほど待っても問題ないだろう。
 次に名前が上がっているのはBengals。上位陣のQB指名が増えることで、他のポジションの有力選手を彼らが指名できるかもしれない。Lionsも同様の立場であり、彼らはこのトレードで得をした立場となる。逆に8位指名権を持つPanthers、9位のBroncosは、そこまで落ちてくるQBの数が減ることでマイナスの影響を受けると見られる。特にPanthersはFalconsとのトレードが無理(同地区のライバルであるため)なだけに厳しいところ。BroncosはまだFalconsとのトレードができるだけ、Panthersよりはマシな立場と言える。
 Barnwellが名前を挙げていないチームのうち、言及しておきたいのはTexansだ。もしWatsonトレードが行われる場合、最もトレード相手にふさわしいのではないかと言われていたのが、実はDolphins。彼らはドラフト上位指名権を持ち、Tagovailoaというこれまたトレード資産になりそうな選手がおり、他のチームよりもQB差し替えに前向きになり得る環境にもあった。TexansとWatsonの関係が決裂に至った場合、最も対価を出しやすいチームというわけだ。
 もちろん、Watsonについては前回述べた問題があるため、足元ではトレードが難しいのではとの見方も出ていた。そして実際にDolphinsが49ersとのトレードに踏み切ったことで、いよいよWatsonトレードの困難度が増したと見られる。Watson自身の考えはともかく、彼が2021シーズンにTexans以外でプレイできる可能性はかなり減ったのではなかろうか。

 最後にPatriotsファンとして、もしGaroppoloトレードが行われた場合にどんな影響があるかも考えておこう。まず問題はキャップスペースの調整。こちらによると現時点でPatriotsのキャップスペースは12ミリオン弱であり、Garoppoloの契約をそのまま引き継ぐとキャップをオーバーする。あらかじめ契約を修正しておくなどの対応が必要だろう。
 彼が来た場合、普通に考えればGaroppoloが先発となりNewtonは控えに回ることになる。キャリアのRANY/Aを見ても前者(+0.83)の方が後者(-0.15)よりいい。もちろんGaroppoloの怪我の不安を考えると、控えにそれなりの選手を残しておく方が安心なのは確かであり、今の契約額ならNewtonをそのまま引っ張っても大きな問題はないだろう。カットしてもキャップの抑制額は2ミリオン程度と、あまりメリットもない。
 Patriotsは今回のFAで派手に動き、ポジションの穴をかなり埋めていた。残った最大の懸念がQBだったため、一部にはトレードアップをしてQBを取りに行くのではないかとの見方もあった。もしGaroppoloを取りに行くことになれば、今年のトレードアップの可能性は下がるだろう。
 Plan Garoppoloが発動した場合、怪我の次に懸念材料となるのが、Newtonに合わせてラン重視のチーム作りをしていた点がどうなるかだ。個人的にパスオフェンスにおける重要度はQB、プレイコール、他の選手という順番だと思っており、従ってNewton向きのPersonnelになっていることがそれほど大きな問題になるとは考えていない。それでも小幅な調整が行われる可能性はあるだろう。Belichickは常にロースターの細かい入れ替えをしてきた人物であり、そうした動きはGaroppoloが来ても継続するだろう。
 もちろんGaroppoloが来ない可能性もある。というか個人的にはGaroppoloがどうなるかに関係なくドラフトでQB指名に走った方がいいと思っている。フランチャイズQBを手に入れる最も確実な方法は「下手な鉄砲数撃ちゃ当たる」であり、それを実行する機会を逃してはならない、というのが私の考えだ。
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