オフシーズン色々

 今回、フルーリュスはお休み。

 NFLでは引き続き細かい動きが続いている。例えば4年の新人契約が終わったTrubiskyはBearsを去り、Billsと1年2.5ミリオンの契約を結んだという。Billsの先発がAllenから変わることは現時点ではありえないし、金額面で見てもTrubiskyが完全に控えQBになったことがこれで分かる。
 4年間の彼の成績はRANY/Aで-0.55、DAKOTAだと0.059になった。同期のMahomes(+2.20と0.178)、Watson(+1.01と0.136)と比べるのはかわいそうではあるが、それにしてもドラフトQBで真っ先に指名された選手としては残念な成績であることは確か。唯一チームにとって慰めとなるのは、下手に5年目オプションや契約延長などをせず、ルーキー契約だけで終わったことだろうか。Bearsが彼に支払ったのは年平均で7.3ミリオン弱。成績を踏まえてもまだ許容できる範囲の金額だろう。むしろ彼に4年も使ったことの方が問題かもしれない。金よりも時間の方が貴重な資源だ、と考えるなら。
 同じくかつて1巡で指名されながら今や控えとなっているMariotaは、Raidersからペイカットを持ちかけられ、これに応じた。そもそもRaidersが昨年彼と結んだ契約(2年で24.5ミリオン弱)自体が、控えQBとしては大きすぎだったのは間違いない。おそらくCarrと競争させるつもりだったのだろうが、Carr自身も年20ミリオン超のキャップヒットとなっており、そこにさらに10ミリオン超のヒットをかぶせるのは、よほどキャップスペースが余っているチームでない限り、ただの贅沢にしかならない。
 昨シーズンのCarrのANY/Aは7.53とBrady並み、その前年は7.25でSuper Bowlにたどり着いたGaroppoloより上と、足元ではそれなりの成績を残している。キャリアで見るとCarrのRANY/Aは0.23とそれほどすごい数字ではないが、-0.03のMariotaよりはマシだ。そう考えると、なぜRaidersが昨年にあのような契約を結んだのかがむしろ謎と言える。今回のペイカットでようやく控えらしい契約になった、と見るべきだろう。
 さらに、今や完全にジャーニーマンとなったFlaccoは、Eaglesと契約を結んだ。こちらの金額もMariotaと同じ年3.5ミリオン。ただこちらは先発がまだ実績に欠けるHurtsなので、Mariotaよりは先発に回る可能性が高いかもしれない。ただしFlaccoのキャリアRANY/Aは-0.34とMariotaよりもさらに酷いので、やはりHurtsに任せた方がいいかもしれないけど。
 Flaccoもドラフト1巡の選手ではある。だが既に30代後半に入っているだけに、今更1巡指名の効果を云々する意味はないだろう。控えQB契約しか結べなくなっているあたり、既にSuper Bowlの後光も薄れていると考えていい。一方、Flaccoとほとんど変わらない成績(RANY/Aで-0.33)のWentsがいまだに先発扱いなのを見るに、こちらはまだ少し後光が残っているのだろう。
 控え以外で大きく話題を集めていたのはWatsonであるが、中身は残念ながらNFLのオフシーズンでよく見かける告発絡みだ。マッサージをしている女性に対する性的なハラスメントなどを理由としたものだが、実に16人もの女性から訴えられているという。一方、Watson側の弁護士はこれらを否定している。
 正直、この手の問題は外から見て正解が分かるわけではないので、軽々に判断を下すべきではないだろう。ただのファンとしては、様子を見守るしかない。同じように、Watsonは現時点でTexansと契約でもめているが、それを理由にこの告発をTexansの陰謀と考えるのもやめておいた方がいい
 一般論として言うなら、リベラル化の流れは世界的なものだ。そこではかつて弱者とされていた人の権利を従来より強く守るべきだとの価値観が広がっている(日本でもそうしたトラブルが起きている)。当然、NFL選手が絡む話であっても、世間が見る目は同じだろう。事実がどうであるかは分からないが、この問題が長引く可能性はある。そうなると問題はドラフトだろう。
 ドラフトまでに問題が解決すれば、その時点でWatsonがトレード対象として浮かび上がる可能性はある。もちろんTexansは今のところ彼がチームのスターターだとしているので、そうはならない可能性もある。しかし、この問題がドラフトの時期になっても引きずられる場合、他チームはWatson関連のドラフトに対して腰の引けた対応しかできなくなるかもしれない。少なくともそういう意見は既に出てきている。WatsonとTexansの関係は現時点ではデッドロックの印象があるが、今回の問題でよけいに先行きが不透明になっている。

 とはいえ全体として新年度入りに伴う動きは大体落ち着いてきている。それを受け、オフシーズンの行動がその後のチームの成績にどう影響するかをまとめた記事がFiveThirtyEightに載っていた。今オフの主役とも言えるPatriotsを取り上げての分析だが、過去にオフシーズンの高額投資はそれなりに成果を出しているらしい。
 2015-20年までに50ミリオン以上をFAに投資した21チームのその直後の成績を見ると、およそ3.2勝分の上乗せを達成しているという。これだけの金額を投資したのは全体のおよそ10%ほどに達するそうで、金額はサラリーキャップに合わせて補正した分を元にしている。ちなみにこのオフにPatriotsが使った金額は年平均84.3ミリオンであり、これまでトップだった2020年のDolphins(73.5ミリオン)を超えて最多だ。
 とはいえ、この3.2勝分についてはツキも働いている可能性がある。得失点差に注目したPythagorean winで計算すれば上乗せ分は2.1勝とさらに地味な数字。加えて、大がかりなFA増強をやるチームは基本的に前シーズンの成績が悪いところが多く、それだけ平均への回帰が働いている可能性もある。実際、紹介されている21チームの前シーズンの平均勝利数は5.1勝であり、何もしなくても勝利数が増えることは十分に考えられそう。となると、50ミリオン超という多額の投資の割に、勝ち星はそれほど上乗せされないと考えた方がいいのかもしれない。
 もう1つ、前にも紹介したPFFのWARを使った分析でも、Patriotsの成績上乗せはトップ。といっても成績上乗せ分は7%となっており、7勝9敗のチームが単純に勝ち星を7%分増やしたとしても8.1勝にしかならない。ちょっとしたツキの流れ次第でどうにでもなるレベルの変化だ。
 むしろPatriotsが期待すべきなのは、こちらのデータかもしれない。昨シーズンのPatriotsは、怪我やCovid-19の影響による先発選手の欠場がリーグでもかなり多く、それだけ戦力が欠けた状態での戦いを強いられたと見ることができる。オプトアウトした選手の中には引退した者もいるが、戻ってくる者は戦力の上乗せになる可能性がある。
 逆に優勝したBuccaneersは怪我の面でリーグ屈指の幸運に恵まれていたことも、このデータで分かる。見ての通りトップ10のうちプレイオフに出たチームが7チームあり、NFLにおいて健康がいかに重要であるかが窺える。下位に沈んでいる割に勝率がそこそこだったところ(PatriotsやChargers)あたりは、怪我人がリーグ平均並みに戻るだけで十分勝ち越しに持ち込むことも期待できるのではなかろうか。
 もう1つ、前に紹介した補償ドラフトについて、リーグ側から修正が入った。2つにとどまると思われていたPatriotsの補償ドラフトに、5巡が1つ追加されたのだ。Nick Korteの説明によれば、おそらくByrdが得た30万ドルのインセンティブを補償FA基準として計算に入れないようにしたための変更だ。これによって彼は補償FAではなくなり、彼によって相殺されていたCollins分の補償が復活した。
 本来ならPatriotsが入ることで、32番目に入っていたBearsの補償ピック(6巡最後)が消えてもおかしくないのだが、リーグはこれを残した。チーム側のミスではないためだろう。結局今年のドラフトは選手の補償が33、スタッフの補償が4つ加わり、一方で2つのドラフト権が剥奪され、最終的に259人が指名されることになるようだ
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