2021のQB

 さて、こちらも毎年やっているが、今年のドラフトで上位指名されそうなQBの成績を事前に見ておこう。こちらによればトップ100に出てくるのは6人、こっちだと8人と、評価は一様ではない。とりあえず現時点では多めに候補を挙げておいた方がいいので、後者の8人を対象にデータを調べる。
 取り上げる数字は昨年と同じ。左から試合数、試投数、そしてパス成功率だ。

Trevor Lawrence 40 1138 66.6
Zach Wilson 30 837 67.6
Trey Lance 18 288 67.0
Justin Fields 34 618 68.4
Mac Jones 30 556 74.3
Kyle Trask 27 813 67.9
Kellen Mond 46 1358 59.0
Jamie Newman 19 506 60.5

 今年の特徴は全体としてプレイ経験の浅い選手が多いことだろうか。昨年のデータだと900試投未満のドラフト候補は2人しかいなかったが、今年は逆にそれ以上の選手が2人(Lawrence、Mond)しかいない。少ないやつ(Lance)だと300試投にすら到達していないわけで、プロなら半シーズンで到達できるレベルの経験値ということになる。この数字で能力を判断しろと言われても、かなり無理があるのではなかろうか。
 つまりほとんどのQBはパス成功率を見て実力を推し量る以前の段階なわけで、今年のドラフトでのQB指名はかなりギャンブル性が高そうだ。参考になるだけのパス試投があり、なおかつ成功率も納得できる数字なのはLawrenceくらいで、今年のドラフト全体1位が文句なしで彼になると言われているのは当然だろう。後はWilsonとTraskもそこそこの数字を残しているが、信頼度はLawrenceほどではない。
 単にパス成功率だけ見ればJonesの高さが目立つが、所属チーム(Alabama)による下駄とプレイ回数の少なさを考えるなら、正直どこまで信じていいのか不明。怪我をする前までとても評価の高かった同じAlabamaのTagovailoaが実際にプロ入りすると残念な成績になっているのを含めても、彼の指名はかなり賭けの要素が強そうだ。LanceやFieldsも成功率は割といいが試投が少ない選手のカテゴリーに入る。このあたりのQBも指名するならギャンブルのつもりで行け、ということになりそう。
 成功率が6割前後のMond、Newmanが各種モックドラフトで低い位置にいるのは当然だろう。試投数は対照的だが、この実績ではなかなか上位指名は難しそう。敢えて言うなら経験の少ないNewmanの方が上振れの可能性があると言えるだろうが、下振れの可能性もあるわけで、まあ中位以下の指名で当たればラッキーレベルの指名なら許容範囲、という印象がある。
 加えて今シーズンはCovid-19のためにカレッジのゲームもかなり変則的な展開を強いられた。彼らのカレッジ最終年の成績をどう評価すべきか、各チームとも頭を悩ませることだろう。QBは特にプレイに与える影響が大きいため、ドラフトでQBを手に入れたいと考えているチームにとっては難しい年である。全体1位の指名権を持っているところはともかく、それ以外がどう行動するかは興味深いところだ。

 次にQBをほしがりそうなチーム側の事情に目を向けよう。少し前のものになるが、こちらの記事では32チームすべてについて、2021シーズンのQBがどうなりそうかについての色々な見通しを示している。例えばFalconsについては「Ryanがスターターになるだろうが、Atlantaは2021年のNFLドラフトで彼の後継者を指名するであろう強力な候補である」と記している。
 この記事で来シーズンのスターターが2020シーズンから変わらないと断言されているチームは10チームしかない。この記事が書かれたのは2月初頭であり、その時点では例えばRodgersのトレードの噂もあったが、その後でこの噂は否定されたもよう。ただ今回のところはそうした状況は気にせず、この記事を元に話を進めたいと思う。リーグの全32チームのうち、先発QBが変わる可能性がある22チームはどこだろうか。
 AFC東ではJetsとPatriotsのQBが交代する可能性はかなり高いだろう。昨シーズンの彼らの成績を踏まえるなら、正直想定の範囲と言える。またDolphinsについてはWatsonとのトレード関連でQB交代の可能性があると指摘されている。彼らが持つドラフト上位の指名権、及びTagovailoaが、トレードの材料として魅力的に見えるという理屈のようだ。今シーズンだけ見れば一流の成績を残したAllenのみが、Billsのスターターを確保している。
 北地区でスターターを確保しているのはJacksonとMayfieldの2人だ。Roethlisbergerについては引退する可能性があるとしているし、Burrowに関してはリハビリが続く場合を想定している。南地区だと先発QBが引退したColtsは当然として、Watsonがトレード志願をしているTexans、全体1位指名権を持ちLawrenceを指名すると思われるJaguarsもQBが変わる可能性がある。唯一、Tannehillを抱えるTitansのみが先発で悩まずに済む格好。まさかTannehillが先発確定と自信満々に言われる時代が来るとは思わなかった。
 AFCで先発が安定しているのは西地区。Chiefsは問題ないし、ChargersもOffensive Rookie of the Yearに選ばれたHerbertがいる。またRaidersのCarrについても、いろいろ条件を付けてはいるが、他の選択肢を示していないところを見ると彼が先発を続ける可能性が高いと踏んでいるのだろう。唯一BroncosについてはLockではなく別のQBを探すべきだと指摘している。
 NFCはAFCよりもさらにQB交代の可能性があるチームが多数存在している。東地区は全チームがその対象だが、実際にQBが変わる見通しについてはチームごとに差がある。CowboysについてはWatsonの名前も出てきているが、基本的にはPrescottが来シーズンも先発と見られている。Giantsは次のQBを探しに行くかもしれないと見られているが、具体名は出てきていない。EaglesはWentzかHurtsのどちらかと予想されており前者が先発を確保すれば交代はなしとなる。唯一、明白に新しいQBを取りに行くと思われているのはFootball Teamのみだ。
 北地区では上記の通りPackersのトレードの話が出ているほか、Lionsは既にQBをトレード済み。BearsとVikingsはQBを変える可能性もあるが、どちらも変わらないこともあり得るという中途半端な表現になっている。南地区では継続の見通しが最もはっきりしているのは最高齢QBで、他は色々と不確定要因が残っているようだ。Falconsは上記の通りドラフトでRyanの後継者を指名するのではないかと書かれているし、Panthersもドラフト1巡での指名の可能性があるという。SaintsはBreesが引退するかどうかで状態は変わるが、彼が契約のリストラに応じていることを踏まえるなら引退の可能性は十分にあるだろう。
 西地区では変わらないと見られているチームが2つある。CardinalsとSeahawksだ。このうち後者については他チームからのトレードの申し込みがあったそうだが、現実問題としてチームが彼を手放す可能性はないだろう。一方、Ramsは既にトレードを実行しているし、49ersについてはGaroppoloをトレードに出すという話がずっとつきまとっている。
 もちろん現時点での噂のうち、現実になるものはかなり限られているだろう。実際にはもっと多くのチームが積極的に、もしくはやむを得ず、前年のスターターを引き継ぐ可能性がある。ただ、これだけ多くのチームがQBに不満を持っているのではないかと思われている点は重要だろう。この数年、QBマーケットは歴史的に見ても珍しいかなりの買い手市場になっていたのだが、そろそろ常態への復帰、つまり希少資源であるQBの奪い合い状態に戻るのではなかろうか。
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