2020 week20

 NFLは両方ConferenceのChampionshipが開催。例年のことだが「MVPを取った選手は優勝できない」ジンクスが今年も炸裂している(RodgersがMVPを取る前提)。一方、これまで続いていた「地元開催のSuper Bowlには出場できない」ジンクスがついに崩れ、Buccaneersが地元の応援を受けながらのゲームを展開することになった。
 事実上のアウェイで戦うことが確定したのは、前年に続いての出場となったChiefs。ずっとツキに恵まれた印象の強い勝ち方が続いていたが、Bills相手のChampionshipは久しぶりに1ドライブより大きな点差をつけて勝利した。第55回のSuper Bowlは、連覇か、12年ぶりの優勝かを賭けた戦いとなり、また史上2度目の前々年と前年に優勝したQBの対決ともなる。
 1試合目のANY/AはBrady(5.41)の方がRodgers(6.21)より低かったにもかかわらず前者が勝利した展開。特に3つのインターセプトは大きかったが、ターンオーバー数はBucsの3に対してPackersは2とそれほど差は大きくない。それでも3ドライブ連続のインターセプトで失点が7点のみというあたりディフェンスが頑張ったんだなという印象になる、のだが、EPAで見ると違う光景が見えてくる。
 このゲームのドロップバックEPAを見るとBradyはトータルで+10.8と、Rodgers(+2.9)を上回っている。Bucsのディフェンスが頑張ったということはできるが、Bradyが足を引っ張ったという印象は実はない。確かにインターセプトは大幅なEPAのマイナスをもたらしたが、一方で3つのTDパスがそれより大きなEPAのプラスをもたらしていた。Packersのディフェンスがハイリスクハイリターンな作戦をとっていたのかもしれない。
 もう一方の試合のANY/AはAllenの4.40に対してMahomesが倍以上の9.87と圧倒的に後者が強さを見せつけた。こちらはEPAで見ても違和感はなく、Allenが-2.7だったのに対してMahomesが+22.6とANY/A以上に一方的な展開。途中からBillsディフェンスが全く相手を止められなくなっており、これでは勝てないのも当然だろう。
 今シーズン絶好調だったAllenだが、足元の2試合はANY/Aが6を下回る水準と、リーグ平均以下まで数値が低下している。シーズン中に平均以下のANY/Aだったのは7試合あったのだが、プレイオフまで含めるとこの数字は19試合中9試合と半分近くまで増える。彼の成績については今シーズンの数字だけで判断すべきでないと前にも述べたが、その今シーズンについても全幅の信頼を置けるほどの成績とは言いがたかった。

 さて今回は、以前取り上げた2011年ドラフトQBについて、4年目終了時点の成績を見てみよう。1000プレイ以上を経験したQBは4人いる。数値はいつものように左からANY/A、EPA/P、CPOE、そしてDAKOTAだ。

Kaepernick 6.36 0.150 -0.4 0.097
Newton 6.02 0.135 -0.9 0.089
Dalton 5.86 0.064 0.1 0.068
Ponder 4.60 -0.008 -3.0 0.026

 3年目の終了時には彼ら以外にも2人のQBが基準のプレイ数に到達していたが、見ての通りトレードに出されたGabbert、及び4年目に怪我だらけで5試合しか先発できなかったLockerは、基準としている1000プレイに到達することができなかった。残っている4人についても全員揃って成績を低下させており、2011年ドラフト組全体に暗雲がかかっている格好だ。
 実は前年から始まっていたKaepernickの成績低下はこの年も続き、ANY/Aはシーズンで初めてリーグ平均を下回るに至った。チームは2016年に彼との契約をリストラし、契約期間を短縮している。加えてこのころから彼は国歌斉唱時に起立しないという形での抗議行動を始め、単なるNFLの1プレイヤーから政治的な論争の渦中にいる人物へと変わっていった。
 Kaepernickが3年目までのようなスター選手であり続けていたのなら、政治的にやっかいな存在であってもチームとしては手放すのが困難だったかもしれない。だが彼が49ersにいた期間のうち、後半3年において彼は1度もリーグ平均のANY/Aを上回ることがなかった。チームは彼を解雇するつもりだと伝え、Kaepernickは契約延長しないオプションを選択した。以後、彼はNFLの舞台からずっと遠ざかったままだ。
 Newtonの成績も低下を続けていたが、Panthersは4年目が終わった後にすぐ5年103.8ミリオンの長期契約を結んだ。キャップに占める比率は14.5%と、Kaepernickより高い割合。数字的には少し劣化したMariotaレベルの選手に対し、これだけの契約を結んだことについては、やはり疑問しか感じられない。たまたまこの契約延長を結んだのと同じ年にMVPクラスの活躍をしたため、当時はあまりそうした見方はなかったが、トータルとしてみればリーグ平均並みのQBに提示するような契約ではなかったと思う。
 既に契約延長していたDalton、5年目オプションを使わなかったPonderについては特に追加すべきことはない。結論から言うなら2011年ドラフトQBたちの中で最も理解できない契約はNewtonとDaltonの2人であり、逆にKaepernickの契約はチームから見てやむを得ないものだったと言える。

 もう一つ、毎年恒例のRANY/A最新版についても書いておこう。まず上位陣。トップ10は以下のようなメンツになっている(推計値でないデータが取れる1969年以降のプロ入り選手たちが対象)。

Patrick Mahomes +2.20
Steve Young +1.69
Roger Staubach +1.68
Peyton Manning +1.62
Joe Montana +1.55
Dan Marino +1.42
Aaron Rodgers +1.39
Kurt Warner +1.29
Tom Brady +1.29
Drew Brees +1.27

 Mahomesの数字はこれでも前シーズンよりは低下している。いかに彼が突出しているかが分かるだろう。あとNFCのプレイオフに出たQBたちが4人も名前を並べているところも見事。次はValueのトップ10だ。

Peyton Manning 15653
Tom Brady 14342
Drew Brees 13896
Dan Marino 12243
Aaron Rodgers 9808
Joe Montana 8851
Philip Rivers 8402
Steve Young 7605
Dan Fouts 7411
Ben Roethlisberger 6376

 BradyとBreesの順番は変わらないまま。むしろあと2年この調子でプレイするとBradyがManningにかなり迫る可能性もある。なお今年の時点ではこのトップ10人のうち半数が現役だったが、来年はもう少し減りそうだ。
 ちなみに今シーズンに1000ドロップバックを超えてこのランキングに顔を出した選手はJackson(RANY/Aで+0.91)、Garoppolo(+0.83)、Allen(-0.04)、Murray(-0.28)、Glennon(-0.89)、McCoy(-1.08)、そしてDarnold(-1.28)である。Jacksonはこのままいけば一流QBたちの仲間に入れそうだが、Garoppoloは年齢的にもあまり余裕はない。AllenとMurrayはまだまだこれから実力があることを本当に示さなければならない水準であり、残る3人は基本控えとしての役割しか残されていないだろう。
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