一方で既にHCをクビにしていたチームの中には、次のHCを選び出すところも出てきた。中でも話題になっていたのは
Jaguarsが雇ったUrban Meyerだろう。カレッジの超有名コーチである彼は、何よりもspread offenseで知られているが、そのノウハウがどこまでプロで生かせるかがこれからの注目点。正直、カレッジで成功してもプロで成功しないコーチも多く、Meyerがどこまでやれるかの判断は難しいが、来シーズンの注目点の一つになるのは間違いない。少なくとも
ESPNの評価はそう悪くない。
Jaguarsに次いでドラフト2番目の指名権を持つ
JetsのHCは、49ersのDCだったRobert Salehになった。彼に興味を持っていたチームは他にも色々とあったようで、過去4年の在任中に49ersのディフェンスはEPA/Pでリーグトップ10の位置をキープしていたことなどが評価されたのかもしれない。Jetsにとってはオフェンス畑のHCからディフェンス畑へのシフトということで、チーム作りのスタンスが変わるかもしれない。
ChargersはRamsのDC、Brandon StaleyをHCとして雇った。今シーズンのRamsはリーグでも屈指のディフェンスを展開しており、新人QBであるHerbertの予想外の活躍でオフェンスの見通しが明るくなっている彼らにとっては次はディフェンスの強化、ということかもしれない。ただしStaleyがDCをやったのは2020シーズンの1年間のみ。どこまでがStaleyのおかげで、どこまでが選手たちの能力なのか、1年こっきりで判断するのは難しい。
こちらの記事を見ると、GMの方も次第に埋まり始めている。PanthersはSeahawksのVPであるScott Fittererを、BroncosはVikingsのVPであるGeorge Patonを、LionsはRamsのScouting DirectorであるBrad Holmesを、そしてTexansはPatriotsのNick CaserioをGMとして雇い入れた。ただし最後の行動は
TexansのスターQBであるWatsonの不興を買ったともいわれており、別の意味で今後の動向に興味がわくところだ。
続いて改めてゲームの動向。先週と異なり、今週はアウェイがたったの1勝とホームの方がよりいい成績を収めた。もっともdivisional roundは通常ホームが強く、例年通りという意味では先週と同じ結果とも言える。逆にアウェイながら勝利を収めたBuccaneersは今週最大のアップセットだったと言えるだろう。ちなみに
FiveThirtyEightのゲーム予想だと来週の方が今週より接戦が多いと見られている。ぜひそうなってほしいところだ。
シード1位のPackersはRamsに楽勝。
Win Probabilityも終始有利な状態で試合を終えた。RodgersのEPA/Pは0.47と絶好調で、Goffが-0.02と冴えなかったのに比べてかなり余裕をもって戦っていたことが分かる。ちなみにPackersのランオフェンスは0.13でRams(0.19)と見ても別にそれほどいい成績ではない。生のスタッツだと獲得ヤードでもY/CでもPackersの方がいいように見えるのだが、実際にゲームを決めたのはパスだったということか。
Ravensは
Lamar Jacksonが脳震盪で途中からゲームに出られないという展開になり、昨シーズンに続いてこのラウンドで脱落することになった。といっても退場前から彼の成績は散々で、パスのEPA/Pは控えのHuntleyと同じ-0.33。対戦相手のAllenもとてもいい成績とはいえなかった(-0.04)が、
強い風の中で対戦相手のJacksonほどは足を引っ張らなかった。せっかくシーズン後半に盛り返したJacksonだったが、ここで力尽きた格好。
同じく主力QBに脳震盪が発生したのが、BrownsとChiefsのゲーム。昨シーズンのMVPに続いて
一昨シーズンのMVPが脳震盪になるという、なかなかシュールな状況が起きた。やはりこのスポーツは現代の剣闘士ということだろうか。Ravensと違ったのは、ChiefsはHenneでどうにか逃げ切ることに成功した点で、逆に言うならMahomesが次の試合に帰ってこれるかどうかがこれからの重要な関心事となる。
ChiefsとBrownsは
今シーズンを代表する幸運なチーム同士の対戦だったのだが、Brownsのツキはここで尽きた模様。できればBillsとBrownsの対戦という、00年代のNFLを知っている者から見ると実に感慨深いAFCCGも見てみたかったが、残念ながらそれはかなわず。それでもAFCは若手QB同士の興味深い対決になった。
逆に40歳代QB同士の対戦となったBuccaneersとSaintsは最後に前者が振り切って勝利をつかんだ。正直このゲームはどちらのQBも冴えない展開で始まったのだが、Bradyが少しずつ調子を取り戻したのに対してBreesは最後まで冴えないまま。Breesが3つのインターセプトを喫したのは実に2016年まで遡るわけで、結局のところ怪我から復帰した後の彼はそれ以前の水準までプレイを戻せないまま終わってしまった印象がある。そして
これが彼の最後のゲームになるとの話も出てきている。
逆にBuccaneersのBradyは見事にレギュラーシーズンのリベンジを成し遂げた。
シーズン中に連敗したチームがプレイオフで同じ相手に勝った事例はそれほど多くないらしいが、今回はその珍しいケースが実現した。実際にはこのゲームの最大の勝因は彼よりもBucsディフェンスにあると見た方がいいんだろうが、それでも勝ったことに間違いはない。これで彼のプレイオフ成績は32勝11敗に到達。かくしてNFCCGはAFCとは対照的に年配QB同士の対戦に決まった。
今シーズンはPro Bowlがないため、残る試合は3試合に限られる。改めてCovid-19禍の中でよくぞここまでたどり着いたものだ。もちろんチームによっては疫病のせいでボロボロになったところもあるだろうし、少なくとも収益面は間違いなくボロボロだろう。何とか今シーズンは乗り切ったが、
これからが地獄というチームもありそう。それでも2020シーズンが無事に終わりそうなことは寿いでいい。他のスポーツが長期のシーズン中断や試合数の大幅削減など、散々な状況に追い込まれていることを踏まえるなら、NFLはむしろ恵まれていた。
……と色々書いていたら、2011年ドラフトQBの4年目成績を書いている余裕がなくなった。こちらはまた次週に。
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