2020 week18

 政治の世界はかなり動揺しているがスポーツは淡々とスケジュールを進めている。NFLではplayoffのwildcard roundが実施され、一気に6試合が行われた。結果として6チームのシーズンが終わったわけで、昨シーズンまでの4チーム脱落よりも派手な展開になっている。
 勝ち負けで見ると今年はホームチームの2勝4敗。もともとこの週は割とアウェイがよく勝つことで知られていたのだが、その傾向はplayoffに残るチームが増えても変わっていない。そもそも勝ち残ったホームの2チームはいずれもシード2位チームであり、例年ならこの週は休んでいたはず。Billsはいささか際どい勝利だったが、とりあえずシード2位として恥ずかしくない結果は残せた。
 残る4試合はFiveThirtyEightのゲーム予想で見るなら、半分は想定通りで半分はアップセットとなる。実際WFTの敗北を予想していた人は多いだろうし、シーズン終盤にオフェンスが復活してきたRavensも、油断ならない相手だったが勝ったことに違和感はない。
 一方、シーズン通して得失点差がマイナスだったBrownsと、シーズン終盤にかなりもたついた印象のあったRamsはよく勝ったものだ。どちらも相手QBがかなり不調だったのに助けられた印象はあるが、playoffになればこうしたツキがモノを言うことも確か。とはいえツキはあくまでツキでしかなく、いつ消えてなくなるかもわからない。RamsはDonaldの負傷という不安要素もある。
 勝ち残った6チームと、今週はbyeだった2チームのレギュラーシーズン中のEPA/Pについてこちらで調べてみると、突出して強い評価になるのはPackersで、それにBuccaneers、Billsが続く。さらにChiefs、Raves、Saintsが似たような水準で並び、Ramsがその後で大きく離れた位置にBrownsが来る。安定度の高いオフェンス、特にパスオフェンスに注目するのなら、強いのはPackers、Bills、Chiefsの順番で、SaintsやRavens、そして何よりRamsがかなり劣っている。

 さてQBの3年目、4年目成績。今週はルーキー契約が導入された最初の年である2011年ドラフト組の数字と、彼らの契約動向を見ることになるのだが、その前に3年目の数字が固まった2018年ドラフトQBの数字を確認しておきたい。数値は左からANY/A、EPA/P、CPOE、DAKOTAで、700プレイ以上の選手を取り上げる。

Jackson 7.19 0.3 0.197 0.119
Allen 6.26 0.4 0.136 0.096
Mayfield 6.30 0.3 0.121 0.090
Darnold 5.01 -1.8 -0.029 0.027

 最も興味深く、また判断が難しいのがJacksonだ。彼のこの数字は間違いなくリーグ平均以上だし、Watsonの3年間と比べてもDAKOTAは少し劣るがANY/Aでは上回っている。今シーズンの途中段階での彼の数字は正直あまり冴えなかったが、終盤に盛り返して何とかリーグ中位まで成績を上げたおかげで、3年間トータルの成績もリーグのトップ10に入るところまできた。
 だが不安もある。確かに似たような成績のQBを見ると、Watsonは長期契約という期待に応えるだけの実績を残しているのだが、3年間に彼と同じような成績を残しながらその後は期待外れになった選手もいる(以下で紹介する)。Jacksonは、CPOEの数字が妙に低い点など、正直言ってWatsonよりもそちらの選手の方に似ている。Watson並みに信用できるのなら今シーズン後に契約延長に踏み切るのは何の問題もないが、そうではなくここは5年目オプションの行使にとどめておく、という判断も個人的にはアリだと思う。
 Allenは今シーズンの活躍で過去2年間のダメっぷりを完全に払拭した格好だ。と言っても払拭した結果としてリーグ平均まで成績を戻したというレベルであり、今年の成績だけで将来のスター確定とはしゃぐのは気が早い。それに彼もまたAllen同様にCPOEがあまり高くなく、今後も安定して高い成績を残せるかどうかについて不安が残る。ほぼ同じことはMayfieldにも言えるわけで、3年目終了時点のCPOEでWilson(+4.7)とまではいわないが、せめてWatson(+2.7)くらいはないと大型契約は厳しい。どちらも5年目オプションだろう。
 Darnoldは残念ながらオプションを行使せず、4年でサヨナラという判断になる。Trubisky以下の成績では擁護も無理だろう。Jetsが全体2位の指名権を持っていることも踏まえるなら、Darnoldがこの年のドラフト1巡QBの中でRosenに次いでスターターから脱落する可能性は高そうだ。

 続いて本番、2011年組の成績だ。こちらは6人が700プレイ以上を記録した。

Kaepernick 6.96 0.208 0.5 0.125
Newton 6.20 0.162 -0.4 0.102
Dalton 5.89 0.069 0.1 0.070
Locker 5.66 0.040 -2.5 0.045
Ponder 4.72 0.003 -2.8 0.030
Gabbert 3.76 -0.173 -9.2 -0.026

 栄えあるトップになったのは、今ではむしろ膝つきポーズの方が有名になってしまったKaepernick。だがこの時点の数字を見ると、彼の前途が実に洋々たるものだったことがよく分かるだろう。なにしろDAKOTAはWatsonと同じ、ANY/Aに至っては彼よりも高いくらいだ。当時のANY/Aが最近の数値より低かったことまで踏まえるなら、この数字はさらに輝かしいものとなる。
 Kaepernickのプレイ数が1100と、3年間のWatsonの数字(1783)に比べて少ないことは確かに懸念材料ではあるが、一方で彼は2巡指名であり、この時点で5年目オプションを行使して様子を見るという選択肢は存在しない。チームとしては契約を延長するか、さもなくばフランチャイズタグの使用を心に決めるしかない状態だ。そして当然ながら49ersは6年126ミリオンの契約延長に踏み切った。といってもキャップに占める比率は14.3%と、Garoppoloとの契約(15.5%)よりはおとなしかったし、49ersの判断はこの時点では間違っていなかったと思う。
 次に全体1位指名だったNewtonだが、数値的にはPrescottとWentzの間くらいという、微妙な水準にとどまっている。できればもう少し様子を見たいところだろうし、実際チームは5年目オプションを行使することで、いわば判断を1年先送りした。ただ彼のプレイ回数は2049とKaepernickの倍近くに達しており、ここからの大きな変動はあまり期待できなかっただろう。むしろCPOEの低さに注目するなら、将来への不安があると考えることもできる。
 DaltonはNewton並みにプレイ機会を与えられたが、こうやって見ると明白にNewtonより劣る成績しか残せていない(当時、私は彼のことを劣化版Flaccoと思っていた)。一方で彼は2巡指名であり、5年目オプションに逃げるという選択肢はない。DAKOTAはBridgewaterの下、ANY/AはGriffinの下ということまで考えるなら無理に契約延長すべきではないように思うが、Bengalsは6年の契約延長に踏み切った。このチームが向こう数年間にわたって凡庸な成績にとどまることを決定づけた判断だったと言えよう。
 下3人はいずれも1巡指名QBである。2012年ドラフト組同様、1巡指名QBたちの方がもっと後に指名された選手たちの後塵を拝する格好になっている。その中でLockerとPonderは相対的にマシな方ではあるが、とはいえLockerはTrubisky並み、PonderはBortles並みであり、到底魅力的とは言い難い数字だ。実際、TitansVikingsも5年目オプションを行使せず、4年の契約が終わったところで彼らと縁を切った。
 その2人よりさらに酷かったのがGabbert。CPOEの-9.2という数値は、そうそう見られるものではない。結果、Jaguarsはオプション行使の判断をすることなく、彼を49ersにトレードした。後にJaguarsがBortlesとの契約延長という異様な判断を下したのも、比較対象がGabbertだったからかもしれない。それにしてもPonderとLockerが既に引退しているのに、GabbertがいまだにNFLに残っているのも謎といえば謎だ。
 長くなったので4年目以降の数字はまた次回。
スポンサーサイト



コメント

非公開コメント