2020 week15

 NFLは第15週が終了。今週もスケジュールは無事に遂行されている。レギュラーシーズンの残り2週、そしてプレイオフの4週分、これを乗り切ることができれば、Covid-19禍の中で興行を終えることができるわけで、これはなかなか立派なことと言えるだろう。試合数が少ないFootballだからこそ、ここまでゲームを続けることができた、とも言える。
 一方で試合から去る関係者も引き続きいる。今週で目立ったのはPanthersのGMがクビになった件だろう。Hurneyは今はGiantsにいるGettlemanの前任者だったが、Gettlemanが2017年にクビになった時、当初は臨時のGMとして再雇用され、2018年からはフルタイムのGMになっていた。だがフルタイムになった後の3年はずっと負け越し、しかも成績は低下傾向というわけで、今回の結果も仕方ないかもしれない。
 あとLionsがSTのコーチを解雇している。記事によるとLionsの中でSTは一番まともなチームだそうで、そこのコーチがクビになったのはいささか驚きと言えるかもしれない。だが先に既にHCがクビになっていることを考えれば、単に数週間早くカットされただけ、とも考えられる。
 人事ではなくゲームの方を見ると、現時点で6チームがプレイオフを決め、15チームにまだ可能性が残っている。地区優勝を既に決めているのはChiefs、Bills、Packers。今年から両カンファレンス7チームがプレイオフにたどり着けるようになるため、Wildcard weekendのbyeが決まったチームはまだ登場していない、がAFCのChiefsはほぼ確定だろう。当然、現時点で彼らの連覇の可能性が最も高い
 ゲームとして面白かったのは、何といってもJetsの初勝利だろう。当然のごとく「Jetsは戦いに勝って戦争に負けた」というフレーズが出てきた。何しろ少し前までドラフト全体1位一直線だったのに、たった1回の勝利でtankingが破綻しかねない状況になってしまったのだ。現時点では同じ1勝のJaguarsの方が全体1位にぐっと近づいている。Trevor Lawrenceの行き先がフロリダ州に変わる可能性が高まってきた格好だ。
 もう一つ、面白いデータが久しぶりに復帰したBreesの成績だ。Chiefsとの激戦に敗れてシード1位が遠のいた格好だが、この試合でBreesは34回のパス試投のうち成功したのがたったの15回にとどまっている。とにかくコントロールの良さが最大の持ち味であるBreesのパス成功率が5割を切ったのは、実に2013年のPats戦以来。まだ本調子でない可能性はあるが、なかなか珍しい数字であることも確かだ。

 さて、今週は2012年ドラフトQBの3年目終了時の成績だ。2013年ドラフトQBが極度の不作だったのに対し、この年にドラフトされたQBは、少なくともルーキー契約期間は非常に多用されたし、その時期を過ぎてもなお先発として使われ続けている者も多い。今シーズンも3人のQBが先発の座にとどまっており、ANY/AでもDAKOTAでもリークの上位に位置している。豊作の年だったと言っていいだろう。
 以下は3年目の終了時点で700プレイ以上を記録したQBの成績である。左から名前、ANY/A、EPA/P、CPOE、そしてDAKOTAである。

Wilson 6.93 0.194 4.7 0.142
Foles 6.87 0.141 1.5 0.105
Luck 6.33 0.136 -1.8 0.084
Griffin 6.14 0.088 1.4 0.084
Tannehill 5.36 0.055 -0.2 0.063
Weeden 4.89 -0.044 -4.5 0.008

 面白いことに成績の上位に顔を出しているWilsonとFolesはどちらも3巡指名であり、下位4人は1巡指名だ。少なくとも最初の3年間に関して言うと、ドラフト時点の評価とは捻じれた格好になっている。
 最上位に顔を出しているのはもちろんWilsonだ。彼はルーキー開幕戦から先発を務め、1年目から3年連続でプレイオフに出場。うち2回はSuper Bowlにたどり着き、1回優勝までしている。ANY/AやDAKOTAはさすがにMahomesには及ばないもののWatsonよりは高い数字を出しており、文句なしで契約延長を勝ち取れるレベルであることが分かる。実際、彼は3年目が終わったところで契約延長をゲット。その時点ではRodgersに次ぐ高額契約であった。
 しかしWilsonの次に数字が高いFolesについては、話は全然違っていた。彼は3年目のシーズンが終わったところでRamsにトレードに出されてしまったのだ。Eaglesは代わりにRamsからBradfordを手に入れている。当時のEaglesのHCがかなりエキセントリックな人物だったことが大きく影響しているのは間違いないが、Folesの成績自体が不安定だったことも背景にあるかもしれない。
 彼は2年目にANY/Aで9.18というすさまじい成績を出したものの、1年目と3年目は6ヤードに届かない残念な数字だった。こちらで指摘した通り、3年間のうち1年しか活躍していないQBを全面的に信用するのは拙い。また3年分の合計を見ても、DAKOTAはPrescottとほぼ同水準であり、そのPrescottは3年目時点では契約延長を勝ち取れていない。トレードに出すのはさすがにやりすぎだとしても、契約延長に踏み切れるほどのレベルでなかったことも確かだろう。
 3番手に入っているのは2012年の全体1位指名Luckだが、彼については正直ここまで期待外れと言っていいだろう。同じ3年目で言えばWinstonよりANY/AもDAKOTAも低く、WentzやMariotaと比べてもANY/Aは勝っているがDAKOTAでは負けている。結果、Coltsが選んだのは5年目オプションの行使だけであり、契約延長には踏み切らなかった。長期契約に走ってしまったWentzよりは冷静な判断をしたと見るべきか。
 ANY/AではLuckより低いがDAKOTAでは同水準だったのが、彼に次ぐ2番手指名だったGriffin。彼もまた3年目が終わった後で5年目オプションが行使されたのだが、こちらについてはLuckと異なり、間違った選択だったとの見解が当時からあった。この5年目オプションは選手が怪我した場合は全額保証となる。怪我の多いGriffinに対してこのオプションを使うのはリスクが大きい、という理屈だ。
 とはいえ怪我のリスクは別にGriffinだけに存在したわけではない。実際、Luckは契約延長後に怪我で丸1年を棒に振っている。Griffinに関する議論は、Redskins(当時)ならではの特殊事情も考えなければならないだろう。要するにCousinsという先発で使えそうな別のQBがいる時に、Griffinに比較的高額な契約を提案するのが妥当か否か、という問題だ。結局、チームは負傷させないため4年目のGriffinを全くゲームで使わず、その後でトレードに出した。そんなことをするくらいならオプションを行使すべきでなかったのは間違いない。
 TannehillはANY/Aで見るとSiemian並み、DAKOTAだとBridgewaterよりはダメだがTrubiskyよりはマシ、といったレベルだ。正直5年目オプション行使が見送られても仕方ない水準ではある。ところが驚いたことにDolphinsは3年目が終わったところで4年の契約延長に踏み切った。Luckですらオプション行使だったのに、さすがにこれは行き過ぎと言っていいだろう(Jaguarsよりはマシだが)。結局、Tannehillはトレード先でようやく花開いたわけで、Dolphinsにとってだけでなく、彼自身にとっても「余計な契約延長」だったかもしれない。
 最後にWeedenだが、実は彼は2年目終了後に既にBrownsをクビになっており、5年目オプションもへったくれもなくなっていた。成績を見ても当然の結果と言える。
 次に4年目終了時点なのだが、かなり長くなったので以下次週。
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