2020 week7

 NFLでは第7週が終了。今週はスケジュール絡みで大きなトラブルは生じなかったが、例えばRaidersやBillsでCovid-19の陽性が出るといった事態が生じており、要するに引き続き油断はできない状態が続いている。リーグからは、シーズンが進むにつれてリスケジュールの余地がいよいよ減っているという覚書が出てきているくらいで、今後もなおスケジュール動向については注意が必要だろう。
 試合そのものは何とかオンスケジュールで進むとしても、シーズンが深まるにつれて来場者収入の減少額がどんどんと積みあがっていくのは避けられない。こちらの記事によるとNFLにとって収入のおよそ3割はスタジアムの観客からもたらされるものであり、その金額は年40億~50億ドルに到達するという。現時点では最も多くのファンを入れているCowboysで2万5000人、少ないSteelersとEaglesでは5500人にとどまっているそうで、現時点までにCovid-19がなければ得られていたであろう観客収入の半分以下しか手に入れられていないのは間違いないだろう。
 シーズン中盤から後半にかけてもっと観客を増やすことは可能だろうか。おそらくリーグはそれに期待しているだろうが、春先のパンデミック時に欧州でサッカーの試合が「生物学的爆弾」と化していたことを踏まえるなら、おそらく前途は簡単ではない。皆が静かに試合を見守ってくれるならいいが、「大声になり飛沫が飛びやすくなる」環境が生まれる可能性が高いだけに、判断は難しい。やはり以前にも指摘した通り、来シーズンのサラリーキャップには影響が避けられないだろう。

 ゲームの内容的には面白かったのがSNFのSeahawks @ Cardinals。ホームとはいえよくCardinalsは勝てたものだ。AFCでは全勝チーム同士の対決となったSteelers @ Titansで前者が勝利し、これで唯一の全勝チームとなっている。昨シーズンは早々にRoethlisbergerがシーズンエンドとなり、厳しい状況に追い込まれたが、今年はその分を取り戻すような勢いで頑張っている。
 逆に相次ぐ不運に見舞われているのはCowboys。Prescottのシーズンエンドに続き、今週の@ Washingtonでは2番手QBのDaltonが頭部を負傷しで脳震盪となった。地区の低迷ぶりからDaltonが普通に機能すればまだ優勝の可能性はあるのではないかと思っていたが、今のところ話はそう簡単ではなさそうだ。
 それにしてもNFC東の状況は酷い。地区首位のEaglesが2勝4敗1分で、4チーム合わせた成績は7勝20敗1分と惨憺たる状態だ。一方、NFCの西地区は現時点で全チームが勝ち越しをキープするという素晴らしい成績。得失点差で見てもいずれのチームも30点以上のプラスであり、全チームが30点以上のマイナスを記録しているNFC東とやはり対照的だ。ここまで地区ごとに極端な成績になるのも珍しい。
 得失点差も含めて昨シーズンと比べ躍進著しいのは、Steelers以外ではBuccaneersが目立つ。昨シーズンはリーグ平均以上のディフェンスを抱えながらも不安定すぎるオフェンスのせいで負け越しに終わったが、今シーズンはNFC南で地区首位を走る5勝2敗だ。EPA/Pで見るとディフェンスが一段と向上し、オフェンスも大きく改善したことにより、両方をまとめるとリーグトップレベルの力を持っている計算になる(こちらのTeam Tiersのタブ参照)。開幕戦では不安ばかりだったBradyはその後持ち直し、足元のDAKOTAはMahomesに次ぐ7位にまで上昇している。昨シーズンの成績低下を見て、彼もついに崖から落ちたかと思っていたのだが、そうではなくこちらのエントリーで指摘したように、ベテランQBといえども必ずしも崖を転がり落ちるとは限らない、という事例の方に当てはまりそうな感じになっている。
 一方、Bradyが去った後のPatriotsは足元3連敗。Newtonは3つのインターセプトを喫してベンチに下げられ、彼のDAKOTAは今では26位とかなり低いところまで低下しているし、チームのパスオフェンスEPA/PはJets、Broncosに次いでリーグの下から3番目に落ち込んでいる状態であり、要するにGiantsやFootball Teamより悪いパスオフェンスになってしまっている。まあベテランミニマムQBでは仕方ない、のかもしれない。今のところ袂を分かったBelichickとBradyのその後の姿は対照的だ。
 そのDAKOTAでもう一つ気になるのはJacksonの数字がかなり低迷していること。気がつけばNewtonのすぐ上の25位にまで低下しており、同期の中でAllen(4位)、Mayfield(19位)に次ぐ3番手と化している。彼より下にいるのはDarnold(31位)のみ。昨シーズンのMVPだけでその能力を評価するのはまだ早いと思ってはいたが、それにしてもこのブレの大きさは気になるところだ。プレイスタイルも合わせ、若いころのNewtonを思い出す。

 さて、Pro-Football-Referenceのデータ検索機能がStatheadに入れ替わったため、選手のデータをまとめるのが難しくなった。便利なサイトだったのだが、さすがに月8ドルの金を払ってまで使いたいとは思っていない。データを集める作業が面倒になってしまうのは残念だが、致し方ないだろう。
 というわけでむしろEPA/Pを中心に、ドラフトから4年間というルーキー契約期間の成績をまとめてみたいと思う。例えば今年が4年目のQBたちを見ると、4年分の規定試投数に到達している選手は実は1巡指名の3人しかいない。KizerやBeathardなどがそこそこプレイ回数を記録しているが、水準的には低いレベルだ。従ってこの時点で評価すべき選手は以下の3人とする。数値は左からANY/A、EPA/P、CPOE、DAKOTAだ。

Mahomes 8.54 0.337 2.7 0.183
Watson 7.00 0.184 3.1 0.129
Trubisky 5.54 0.046 -1.8 0.051

 数値がはっきり分かれているのが、この2017年ドラフト組の特徴。超一流のMahomes、十分に優れた成績を残しているWatson、そして残念ながら成績はリーグ平均以下で、おそらく来年はチームにいないであろうTrubiskyである。CPOEでWatsonがMahomesよりわずかに高い以外は全てこの順番に並んでいるあたり、本当に分かりやすい年だった。
 それでもこの年が最近では稀に見るほど豊作であったことは否定できない。直近4年におけるDAKOTAのランキング上位(プレイ1000回以上)を見ると、Mahomesが1位、Watsonが7位と、2人ともかなり上位にいる。彼ら以外で2010年代後半にドラフトされた選手は、トップ10には誰もいない。一方、2000年代にプロ入りした選手たちが未だにトップ10のうちBrees、Rivers、Roethlisberger、Brady、Ryanと半数を占めている。
 彼らの前後を見ると、例えば2016年組ではGoffが16位、Prescottが18位、Wentzが19位といずれも地味な順位になっている。2018年組はJacksonの12位がトップで、以下Mayfieldが24位、Allenが27位、Darnoldは34位と、ずっと残念な成績だ。Mahomes、Watsonと2人の有能なQBを生み出した2017年組は、それだけで立派なものだと言っていい。少なくとも足元4年に関して言えば2004年組と彼ら以外で上位に2人のQBを輩出しているドラフトクラスは存在しない。
 1巡指名が3人にとどまっていたことを見ても、この年が特に豊作と予想されていたわけではないのは間違いない。5人指名された2018年に比べれば地味な年だったはずだが、2020年時点になるとどう見ても前者の方がいいQBが多かったと判断せざるを得ない。同じように5人が1巡指名された1999年が結果的にあまり豊作でなかったのを見ても分かるように、ドラフト時点の評価と実績の間にはどうしてもずれが生じるのだろう。
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