2020 week2

 NFLは2週目が終了。毎年のことだが、2試合が終わると連敗したチームについて懸念する声が出てくる。これらのチームの大半はプレイオフにたどり着けない、という指摘だ。実際、昨シーズンまでの12チームがプレイオフに出場するという仕組みが始まった1990シーズン以降で見ると、0-2でシーズンを始めた延べ247チームのうちプレイオフにたどり着いたのは30チームのみ。確率は12.1%にとどまる。
 ただ、もっと時期を細かく分けて調べてみると、話は少し違ってくる。1995シーズン以降の25シーズンの期間は平均10.4%のプレイオフ確率しかないのだが、1990-94シーズンで見るとこの数字は22.2%と倍以上に高まっている。理由は簡単で、1994シーズンまでNFLには28チームしか存在しなかったから。1995年にJaguarsとPanthersが加入し、以後1999年に新Browns、2002年にTexansが加わってプレイオフの門が狭くなったのが理由である。
 知っての通り、今年からプレイオフの出場枠が14チームに増加する。28チーム中12チームがプレイオフに出られた時代は、リーグ全体の42.9%がプレイオフにたどり着いていた。32チーム中の14チームだとこの比率は43.8%と当時より高くなる。こちらの記事でも指摘しているように、去年までよりは楽観的になる理由があるのだ。過去の事例から判断するなら、0-2スタートとなった11チームのうち2~3チームくらいはプレイオフに滑り込むと考えられる。
 ではどのチームが滑り込めそうなのだろうか。単純にSRSの高いチームを候補とするのなら、BroncosとTexansの2チームの名がまず上がってくることになる、のだが、一方AFCでSRSの高い順番にチームを並べるとTexansは上位7チームには入ってこない。かといってNFCの0-2チームは全てSRSがマイナスに沈んでおり、こちらも簡単に勝ち上がれそうには見えない。
 SRSではなくFiveThirtyEightのELOを見ると、0-2チームで最も高いのはFalcons。今週は敗北したにも関わらずELOが3ポイント上昇という、なかなか見られない現象を引き起こした。プレイオフ確率も21%と2連敗しているチームの中では最も高い。彼らの後に続くのがEagles、Texansの各19%で、さらにVikingsが18%となっている。
 逆に2-0チームがプレイオフにたどり着く確率は1990シーズン以降だと61.9%。チーム数が少なかった1990-94シーズンに限れば72.2%と、予想通りだがかなり高い。現在11チームいる2連勝のうち7~8チームは普通にプレイオフにたどり着けるという計算だ。ESPNのFPIで見るなら最も確率の低いBearsはプレイオフ44.8%と半分以下になっているが、残りはいずれも5割以上をキープしている。
 もちろん2試合時点でプレイオフがどうなるかを完全に予測できるわけもないし、現時点での確率も時間が経過すればいくらでも変化はしていく。それでも2連敗があまりいいことでないのは確かだ。こちらの記事ではチームごとにパニックレベルを記している。特にレベルが高いのがJets(リーグ最悪のチームに見える)とFalcons(大量リードを失って敗北)なのだが、理由は真逆。個人的にはFalconsよりJetsファンの方が厳しいと思う。
 EPAでオフェンスとディフェンスを見た場合、パニックに陥るべきなのはむしろEaglesかもしれない。もちろんJetsも厳しく、あとはLionsとTexansファンの顔面が青くなりそうな並びだ。逆にほくほく顔なのはRavensで、それを追うのがPackersとRamsファンである。

 1週目の感想で触れた何人かのQBのうち、今週も触れざるを得ないのがまずはBreesだ。Next Gen StatsのxComp% +/-を見ると、先週とほとんど変わらない-8.4という残念な数字が出てきた。このデータはこちらの「Quarterbacks」に載っているCompletion % above expected(CPOE)と似たようなデータと考えられるが、HaskinsやWentzと並んでBreesは現状、リーグ最下位クラスの成績に低迷している。
 前回のくり返しになるがBreesはショートパスを高い成功率でつなぐのが特徴だ。実際、彼のIAY(Average Intended Air Yards)は5.0とリーグの中でも最も短い。それだけショートに投げ込んでいるのだから、それに見合う高いパス成功率を出さなければいけないというのに、期待される成功率73.1%に対して彼が実際に成功させたのは64.7%にとどまっている。もしかしたら、彼もまたベテランQBの崖に来てしまった、のではないかという懸念が浮かび上がりそうな数字だ。
 同じく前週の数字が悪かったHaskins、Wentzも、今週時点でそれぞれ-10.6、-8.8とあまり改善は見られなかった。どちらも今週は一方的に敗北しており、QBのプレイが安定しないことが敗因につながっている可能性がある。特にWentzの2週で4IntはCousinsと並んでリーグ最多であり、チームにとってはマイナスだろう。こちらの記事でも、敗者の2番手にWentzを挙げている(トップはディフェンス)。
 問題はこの+/-で下から4番目に出てくる名前。Patrick Mahomesが-6.6という数字で登場している。もちろんたった2試合の時点であり、その意味ではBreesやWentzを含めてまだ挽回の余地は十分にあるのだが、それにしても彼の名がこの位置に出てくるのは極めて珍しい。実のところ彼はそんなに正確なパッサーではないし、2018年の+/-は+1.2、19年は-0.6とリーグ平均並みだったわけだが、それでもこんなに悪い数字を出してきた例はあまり記憶にない。単なる偶然なのかどうか、そこが気になる。
 いや、本当に気にするべきはそちらよりIAYかもしれない。2試合終了時点での彼のこの数値は6.1と、リーグで3番目に短い(彼より短いのはBreesとDarnoldのみ)。ロングパスに強みを持っていたMahomesの数字とは思えないレベルだ。さすがに今週のY/Cは10ヤードを超えたものの、彼が率いたChiefsオフェンスが4Qで20点以下しか取れなかったのは過去に1回のみ。得点力の高さを誇っていたChiefsにとっては、ロングパスが停滞している今の状況が偶然なのかどうかは気になるところだろう。
 逆に足元でロングパスと高い成功率を両立させているのは、何と言ってもLamar Jacksonだろう。IAYは9.4、+/-は+12.2とどちらも極めて高い。他にRodgers(9.6と+6.2)、Ryan(9.6と+5.4)あたりもなかなかいい数字を出している。3人ともMVPを取った経験のあるQBであり、やはりこの+/-とIAYという数字はQBを見るうえで無視できないデータのような気がする。
 一方、EPA/Pという切り口で見た場合、高い数字を出しているのはWilson、Tannehill、Allenあたりである(パスだけではなくQBのプレイとして)。特にTannehillが昨シーズンに続いて健闘しているのは興味深い。Dolphins時代からは考えられないレベルの覚醒ぶりなのだが、さてこれは偶然なのか、それとも何か他に理由があるのか。考えられるとしたら「Titansのコーチングスタッフがとても有能」もしくは「Dolphinsのコーチングスタッフが酷すぎた」というパターンだろう。
 ちなみにEPA/PとCPOEを組み合わせた「EPA+COPE composite」というデータ(こちらの『Quarterbacks』を選ぶと下部に出てくる)でQBを評価するなら、2試合終了時点で最もいい成績を残しているQBはWilsonであり、以下Tannehill、Jackson、Allen、Rodgersが並ぶ。一方ダメな方から並べるとワーストワンがHaskinsであり、以下Wentz、Taylor、Stafford、Lockという順番になる。
 この並びはANY/Aのランキングと半分は似ている。compositeによる上位5人はANY/Aでトップ6に全員が顔を出しているのだ。だが下位のランキングはかなり異なっており、双方のランキングでワースト5に揃って顔を出しているのはWentzのみ。もちろんたった2試合の時点なのでデータのばらつきも大きく、双方の指標にずれが出ているのもそれが理由かもしれない。あるいは双方の指標には一定の特徴があり、いい選手はともかく悪い選手については評価が分かれる、のかもしれない。
 いずれにせよもっとデータが揃うのを待つ必要があるだろう。以前から書いていた通り、ANY/Aの場合はシーズンの4分の1が終わった時点でトップクラスの活躍をしているQBはシーズンを通じて活躍することが多いし、ランキング下位も同じだ。そういう傾向がcompositeにも見られるかどうか、これから調べてみたい。
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