2020 week1

 NFLは第1週が無事終了。何はともあれよかったよかった。そして全チームが試合をやったことで、こちらの気分も盛り上がってきた。プレシーズンが行われていたなら、ここまで気分が変わることもなかっただろうが、それも含めて例外的なシーズンと割り切るべきなんだろう。
 もちろん現時点での試合結果やスタッツをあまり重視しない方がいい。「1週だけなら誤差かもしれない」わけで、その意味では開幕戦におけるMahomesの低いY/Cもあまり懸念する必要はないのだろう。とはいえ、現時点で各チームや選手の状況を推し量るうえで使えるデータはこの第1週の分しかないことも事実。大騒ぎする必要はないが、それでも目にとまったデータをいくつか取り上げてみよう。

 まずはBreesだ。おじさんQB対決にはしっかり勝利したのだが、Next Gen StatsのxCOMP% +/-を見ると-8.8と、意外すぎる結果になっている。以前「QBの衰え? 」で紹介したように、Breesの+/-はかなり高い数字を恒常的に出すのが当たり前であり、その流れは2019シーズンも続いていた(+6.3)。たった1試合とはいえ彼がここまで低い数字を出すのは珍しい。
 Breesの特徴は正確無比なショートパスをとことんつないでオフェンスを進めるところにある。この試合も彼のIAY(Intended Air Yards)は4.7とリーグ内でもかなり短く、代わりにxComp%は68.8%と比較的高い数字になっていた。だが実際に通すことができたのは60.0%。上記の記事で+/-が低下していたBradyが2019年に成績急落に見舞われていたことも考えると、BreesにもいよいよFather Timeの魔の手が迫っているのかもしれない。今後もパスの正確さの低下が続くのであれば、だが。
 逆に彼の相手となったBradyは+/-で+0.3と、ほぼ期待値通りのパスを通した。ただ一方でインターセプト2つはいただけない。全体の成績が下がる中でも、インターセプトだけは簡単には食らわなかったのが彼の長所だったのだが、このゲームでは2つのインターセプトから計14点を失い、大きな敗因となっている。たまたまこの試合は運が悪かったのか、それとも何か問題があるのか、そのあたりはこれから見ていくことになるんだろう。
 Brees同様、+/-の数字の悪さが目立つのがWentz(-10.3)だ。IAYが12ヤードとリーグでもトップクラスだったことを考えるなら仕方なさそうにも見えるが、xComp%は67.5%と決してそんなに低くはない。コーチ陣がうまいプレイコールを行い、レシーバーたちが巧妙にディフェンスを外していたにもかかわらず、パスそのものがうまくターゲッティングされていなかったのではないか、と思いたくなるような数字だ。対戦相手のHaskinsが+/-で-12.4とこちらも酷い状態だっただけに、この数字は残念である。
 逆にこの数字が最も高かったのはMinshewで、+16.4に達した。Breesよりもさらにショートパスに絞り込み(IAYは4.5ヤード)、代わりに異常に高い成功率(95%)を達成することで、結果としてうまくアップセットを導いたようだ。といっても彼の昨シーズンの+/-は-5.2とあまり冴えない数字であり、この開幕週の試合が彼の実力を示したものかどうかはまだわからない。もしこの数字を継続できれば、彼は次のBreesにもなれるかもしれないのだが、さて。
 Minshew以外ではJackson(+15.8)、Cousins(+14.9)、Rodgers(+14.2)、Wilson(+13.7)などの+/-が高かった。実績のあるRodgersやWilson、昨シーズンのMVPであるJackson、そして勝敗はともかくパス関連のスタッツは高いCousinsと、あまり違和感のない名前だ。もちろんパス成功率だけで勝敗は決まらないのだが、将来において頼れるQBになるかどうかという視点で見るとそれなりに重要なので、引き続き見ていく必要があるのは確かだろう。もちろん1試合分のデータだけで結論に飛びつくのはやめておいた方がいい。
 今シーズンにチームを移ったQBを見ると、TaylorとNewtonは勝利、BridgewaterとRiversは敗北と、それぞれ対照的な結果になった。とはいえ勝利したQBを見るとディフェンスが相手をかなり低い点に抑え込んでおり、むしろチーム力の勝利という感じ。Riversは自身も足を引っ張ったので仕方ないが、Bridgewaterはそつなくプレイしていたようなので、その意味では残念だった。新人で開幕先発の座をつかんだBurrowは、まずはほろ苦いデビュー、といったところか。
 QBの成績をEPA及びCPOE(Completion % above expected)という2つの基準で見ると、こちらのページにある「Quarterbacks」に分かりやすい分布図が載っている。基本的に右上ほどいい成績で、左下は厳しい数字だったと見ていい。実はこれで見るとRiversはそれほど悪い数字ではなく、他のQBたちよりは頑張った計算。勝ったチームの中ではTaylor、Haskins、Breesあたりはあまり貢献できなかった、という結果になる。
 チームのオフェンスとディフェンスのEPAをまとめた分布図は「Team overall」を参照。同じように右上ほどよく、左下が悪い。今のところリーグで最もいいチームはSeahawksやRavensであり、悪いのはBrownsとFalconsということになる。ディフェンス最強はFootball Team、オフェンス最弱はEaglesだ。もちろん1試合しかしていない、対戦相手がかなり違う各チームを横並びに比較しているデータなので、これまた無批判に受け入れるようなものではない。

 最後にPatriotsについて。今年のチームは昨年とは大きく変化しており、特にディフェンスのメンバーの離脱が多かったこともあって、基本的には再建モードに入っているのではないかと見ている。実際、Patriotsのサラリーについて詳細に分析している人物も、今年はrebuilding yearだと述べており、昨年までのチーム状態と大きく違うのは間違いない。言ってしまえば去年までは「優勝できなければ失敗」だったのが、今年は「プレイオフに行くかどうかが成否の分かれ目」くらいになっている。
 オフェンスについては、Newtonを雇った時点でラン中心に大きくシフトすることは想定できた。実際、開幕戦のランプレイは42キャリー217ヤードと、どちらも32チームでトップになった。最初にリードを奪い、相手を追いかける展開にはならなかったことが大きな要因だが、ランオフェンス自体が効果的だったのも事実。というかこの試合、パスのEPA/Pが-0.10にとどまったのに対し、ランは+0.32と得点に大きく貢献した。Newtonもドロップバックでは合計EPAが-2.3だったのに対し、ランだと+6.1。圧倒的にランのチームとなっている。
 ちなみに去年のPatriotsはパスだとリーグ平均並み、ランで平均より少し良いくらいのポジションだった。早いダウンでWPAが偏っていない局面におけるパスプレイの比率は昨年まではリーグ平均を上回っていたが、今年は現時点でリーグ平均よりかなり低い。もちろんたった1試合の時点で結論は出せないし、事前の評価が低いチーム相手にあまり準備してきたプレイは見せなかった可能性もあるが、それでも今年はパスよりランに頼る度合いが増えるのはおそらく確かだろう。
 そう考えると重要なのはOLとプレイコールだ。後者については別段心配してはいない。相手の弱点を研究し、それに合わせてプレイスタイルを変えるのは、今のコーチングスタッフがこれまでずっとやってきたことであり、はまると大きな効果を上げてきたのも事実。一方のOLについては、スナップカウントを見るとMason、Thuney、Wynn、Andrewsの4人は100%プレイに参加しており、その部分は安定している。CannonがオプトアウトしたRTのみがまだ安定していないため、ここをどうするかが重要になるのだろう。
 ディフェンスについては、正直この相手だけにどこまで実力があるのか現時点では読み切れない。オフェンス機能不全のチーム相手にしっかり抑えることはできそうなので、そういうチームとの対戦時には期待できるが、本当に強い相手だとどうなるかはまだ不透明。DB陣は今のところいいメンバーがそろっているので、問題になるのはフロントだろう。上記の記事によればLBの穴埋めとしてSをボックスに投じるといった対応が行われているそうだ。
 まずは(おそらくレベルの低い)AFC東で勝ち残れるかどうかが最初の課題で、特にBillsとの競争が注目されることになるんだろう。お手並み拝見か。

 ちなみに前Patriotsの選手たちを見ると、不調のBrady以外にCollinsが序盤で退場になり、GostkowskiはFG3つとXP1つを外した。ある意味、Belichickの正しさを示している、のかもしれない。
スポンサーサイト



コメント

非公開コメント