この時期の実例としてTurchinが取り上げているのは、聖書に書かれたものが多い。Plagues of Egyptは出エジプト記に記載されているもので、その中には「家畜に疫病をはやらせる」「腫物を生じさせる」といった病気と関連ありそうなものが多い。他にもペリシテ人の疫病なるものはサムエル記に、ダビデ王の時代の疫病も同じくサムエル記に記されている。
The plague among Achaeans at Troyはイーリアスに描かれているアカイア軍を襲ったアポロンの疫病のことだ。Crete depopulated by the plagueはミケーネ文明で生じた大幅な人口減のことだと思うが、疫病が原因という主張が何に基づいているのかはよく分からない。いずれの論拠にしてもどこまで信用できるか微妙なものだが、疫病が増えたと思わせる論拠がこの時代にそこそこあることは確かなようだ。
Turchinが紹介しているものは単に事例をピックアップしたものにすぎず、統計的な裏付けまでは存在しない。あくまで彼の個人的blogで取り上げるレベルの話にとどまっている。もっとアカデミックな取り組みとしては、SeshatのCrisis and Recovery Databaseというプロジェクトが動いているそうで、このblogに関しては、大雑把な頭の整理として作ったものと見るべきだろう。
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