ドラマLiar Gameの最終回がスペシャル版になるらしい。通常45分のところを出血大サービスで何と、3時間枠でご提供。要するにそれだけ評判がいいのだろう。甲斐谷氏の漫画を推奨してきた私としては、まさに我が意を得たりといったところだ。実際、ドラマ化の影響で漫画の方も店頭からなくなるなど結構売れているのだとか。
成功の要因は何だろうか。一つは当然、原作の良さがある。優れたコンテンツだからこそ評価を得たと考えていいだろう。もちろん、厳密に考えればご都合主義じゃないかとの意見はあるだろう。だが、フィクションなんてご都合主義なのが当たり前。要はきちんと楽しめる展開になっているかどうかである。そして甲斐谷氏の作品は(スロースタートではあるが)その点ではサービス精神旺盛だ。
ただ、どれだけ原作が良くてもそれだけでテレビ番組として成功する保証はない。ドラマスタッフの功績に帰する部分ももちろんある。けれん味溢れた演出とか、テンポのいい展開とか、漫画原作らしく大げさな描写が評価につながっているのだろう。
そして何よりキャスティングが成功している。いや、正直言うと主人公2人はそんなにいいとは思わない。特に最初の頃はどうにも演技が不安定だった。1回戦の敵役も、決して下手ではないが作風に合わない演技力の持ち主に思えた。成功をもたらしたのは、皆が言っていることだがフクナガ役の鈴木浩介氏による怪演である。「でも守るわけないじゃああん」である。
普段あまりドラマを見ていないのでこんな面白い俳優がいること自体知らなかったのだが、ネットを見る限り世間一般の反応も私と似たようなもの。このまま行けばLiar Gameが鈴木氏の出世作になるのでは、などと言われている。キャリアはそれなりにある筈なのに、今までこの役者の才能を存分に引き出したドラマスタッフがいなかったのだろう。その点も含めて、この作品のスタッフの力量はかなりのモノだ。
実際、フクナガが正体をバラしたあたりからドラマの流れ自体が極めてスムーズになった。不安定だった主人公2人の演技も、鈴木氏に引きずられるように良くなっていった(豹柄を演じている役者も上手い)。ネットで話題になるのも、一度下がった視聴率が再び上昇に向かうのも、この中身を見れば納得の結末である。フクナガの台詞を作り出している脚本も見事だ。
ゴールデンタイムにはみ出してのスペシャル版を決断したのもそうした評判をテレビ局が評価したためだろう。公式サイトにあるファンの書き込みを見ても、かなり熱心なファンがついているのが分かる。ただ、その中心は中学生とか高校生、そしてしばしば小学生まで出てくる。中年の私としては、感想を読むのも少々ツラい。
いずれにせよ、ドラマとしては成功裏に幕を閉じる可能性が出てきたと言っていいだろう。ただ、成功が保証された訳でもない。今後の最大の課題は、原作から外れることを余儀なくされる3回戦以降、ストーリー面で今の質を維持できるかどうか。フクナガも敵役から外れると今ほど使いやすくはなくなる。こうした困難をいかに乗り切るか、今後はその点に注目して見ていきたい。
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