Super Bowl LIV

 Super Bowl LIVはChiefsの50年ぶり優勝で幕を閉じた。ちなみにChiefsとしての優勝はこれが2回目だが、前身のDallas Texansが1962シーズンのAFL Championになっているので、チームとしては3度目の栄冠である。同様にSuper Bowlでは勝ったことのないTitans(の前身のOilers)、Chargers、BillsもAFL時代に優勝を経験している。
 最終的な点差は少し開いたが、ゲーム自体は終盤までもつれるいい展開だった。2001シーズン以降の19回のSuper Bowlのうち、最終Qで決着のついた(いわゆるGame Winngin Drive)試合は12試合と過半数を占めている。ちなみにそれ以前の35試合のうちGWDとなったのは8試合だけだ。面白いゲームが多いという最近のSuper Bowlの流れは今シーズンも続いているといえよう。
 ゲームのMVPにはMahomesが選ばれたが、彼の個人成績は実は大したことはない。ANY/Aは4.74と、13点しか取れなかった昨年のBrady(5.78)を下回り、勝ったQBとしては2015シーズンのPeyton Manning(2.11)以来の低水準となった。負けたGaroppolo(4.38)よりはいいものの、Super Bowlの勝者としては2001シーズン以降では3番目に低い数字となっている。
 それでもこのゲームからあえてMVPを選ぶのなら、Mahomesという選択はそれほど悪くないように思える。EPA box scoreを見るとトータルEPAではDamien Williamsが8.9とMahomes(8.5)よりわずかに多いのだが、彼のTDと、稼いだ距離のおよそ4割はゲームが決まった後のプレイによるもので、おそらく評価は低い。Chiefsディフェンスもそれなりに頑張ったが、49ersのオフェンスEPA(1プレイあたり+0.10)をマイナスに抑え込むほどではなかったことまで踏まえれば、Mahomesが選ばれるのもおかしくはない。
 EPAのデータを見て特徴的なのは、Late downs (3rd & 4th)の成績だ。Chiefsが平均+0.59と高い数字を出しているのに対し、49ersは-0.35と完全に抑え込まれた。3rd down efficiencyはChiefsの6-14に対して49ersは3-8、4th downは2-3の0-1で、両方足し合わせるなら49ersが33%しかコンバージョン成功しなかったのに対し、Chiefsは47%成功している。
 以前にも書いたとおり、3rd down conversionは将来予想をするにはあまり向かない。Football Perspectiveでも過去にGaroppoloの3rd down成績がいいことを紹介していたが、それが持続可能とは見ていなかったし、その通りになった。一方、このデータは過去の結果を説明するには役立つ。このゲームに限って言えば、Chiefsディフェンスは3rd downで頑張った、あるいは49ersオフェンスが3rd downでだめだったことが、試合結果に響いたようだ。

 ディフェンスも見てみよう。今シーズン、Chiefsの平均失点は19.3点に対し、49ersは19.4点とほぼ同じレベルだった。だがEPAで見ると49ersの95.95(リーグ2位)に比べてChiefsは-60.50(17位)と、両チームの間には結構大きな差がついている。パスディフェンスだけに絞るならChiefsは-34.19の8位ともっと順位を上げるが、それでも49の66.15(2位)に比べればずっと低い。当初からオフェンスのChiefs、ディフェンスの49ersと言われていたのも、この数字を見るともっともに思える。
 だがこれらの数値はスケジュール強度を計算に入れていない。Pro-Football-ReferenceのSRSに基づくスケジュールは両チームともほとんど同じだが、そうではなく例えばパス成績に絞って両チームが対戦した相手のパスオフェンス/ディフェンスの強さはどうだったのだろうか。そういう計算をFootball Perspectiveがまとめている。
 そこで算出されているAdjusted RANY/Aを見ると、Mahomesの数値は+2.15(リーグ3位)となる。Garoppoloの+0.93(10位)に比べて高いのだが、この順位は普通のANY/Aの順位とほとんど変わらない。印象と比べて大きく違いが出るのはディフェンスのAdjusted RANY/Aだ。1位のPatriots(+2.44)に次ぐ2位が49ers(+1.73)なのはいいんだが、3番手に驚いたことにChiefs(+1.45)が入っている。スケジュール強度まで含めてみると、Chiefsのパスディフェンスは実はリーグでも屈指の存在だったことになる。
 ちなみにプレイオフに出た全チームの数値は以下のようになる。左からチーム名、主力QBのAdjusted RANY/A、ディフェンスのAdjusted RANY/A、そして攻守合計の数字だ。

Chiefs +2.15 +1.45 +3.60
Ravens +2.19 +0.65 +2.84
49ers +0.93 +1.73 +2.66
Saints +2.11 +0.46 +2.57
Patriots -0.10 +2.44 +2.34
Titans +2.37 -0.04 +2.33
Vikings +1.37 +0.75 +2.12
Seahawks +1.59 -0.26 +1.33
Packers +0.54 +0.28 +0.82
Bills -0.52 +0.95 +0.43
Texans +0.64 -0.58 +0.06
Eagles -0.23 -0.12 -0.35

 さすがプレイオフだけあり、一部を除いて優秀なチームが集まっている。その中でもぶっちぎりで優秀なのが実はChiefsだったことがわかるだろう。オフェンスでもディフェンスでも12チームのうち3位に入っており、実にバランスの取れたチームである。それに比べると49ersはディフェンスは2位だがオフェンスは7位、あるいはRavensはオフェンス2位でディフェンス6位と、どちらも比較的バランスが悪かったことが窺える。
 今回のSuper Bowlは大半のアナリティクス系サイトでChiefsがfavoriteになっていたが、このデータもその一種とみることができるだろう。一般に思われている以上にしっかりしていたChiefsディフェンスを相手に、彼らのシーズン中の失点とほぼ同じだけの点数を積み上げた49ersオフェンスは、最低限の仕事は果たした。49ersにとって数少ない勝機がディフェンスの踏ん張りにあったことは否定できず、その彼らがMahomesを抑え込めなかった時点で勝敗は決したと考えられる。

 今回の結果でSuper Bowlにおける成績はAFC(旧AFL)とNFC(旧NFL)がそれぞれ27勝で並んだ。ChiefsはこれでDolphins、Colts、Ravensと並ぶ2回目の優勝、49ersは逆に2敗目となる。Andy ReidはHCとして21年目に初めて優勝したが、この記録はNFLでは最長だ。さらにChiefsは同じポストシーズンに3試合連続で10点差を逆転するという新記録を打ち立てた。
 これで2010年代は終了。21世紀に入ってずっと続いてきたForever Quarterbackの時代が本当に終わりそうな感じがしてきた。既にEliは引退を表明し、Brady、Riversあたりはチームを変わる可能性があり、そしてBreesもまだ現役を続けるかどうか表明していない。JacksonのシーズンMVPも含め、見慣れた名前ではなく新しい名前が輝く時代がやってきたのだなという実感を感じるシーズン終幕だった。
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