NFLは両conferenceのchampionship gameが行われ、どちらも普通にシード上位が勝った。32チームになった2002シーズン以降におけるccgのホームチーム勝率は25勝11敗の.694。妥当な結果に終わったと見るべきだろう。今回は2試合とも1ドライブで追いつけない点差がついたが、そうした事例は過去36試合のうち21試合を占めている。要するに
今年はありふれたccgだったのだ。
ANY/Aで見ても勝ったChiefs(9.51)と49ers(7.67)が、負けたTitans(7.14)とPackers(5.86)を上回っており、さして違和感のない結果となっている。
EPA box scoreを見るとChiefsのパスは1回平均+0.59、Titansは+0.27で圧倒的にChiefsオフェンスが強かった。ちなみに主にHenryが担ったTitansのランEPAは1回平均-0.05にとどまり、試合にはほぼ貢献できなかった。
一方、49ersとPackersのゲームでは何より
Garoppoloが8回しかパスを投げなかったことが注目されている。パスヤードの少なさという点では過去2試合のTannehillも同じだが、Garoppoloがこの試合ドロップバックで3.7EPAを稼いだのに対し、TannehillはRavens戦で1.6、Patriots戦で1.5と2試合で計3.1EPAしか稼いでおらず、それよりはこの試合のGaroppoloの方がましという結論になる。
もちろんTannehillのパスよりもヘンリーのランの方がトータルのEPAは大きい(2試合で計5.9)。だがそれよりもさらに貢献度が高いのはもちろんTitansのディフェンスで、例えばPatriots戦ではBradyを-2.8、Michelを-4.3と大きくへこませたし、Ravens戦ではJacksonのパスを-5.9に、ランを-2.4に抑えた。Titansの快進撃は何よりディフェンスの活躍にあり、彼らがccgで負けたのはHenryの成績低下ではなく、ディフェンスがChiefsオフェンスを抑えられなかったことに原因がある。
それに比べると49ersのccgはオフェンスの役割が大きかった。特にMostertの積み上げた+14.5というEPAは、ランの数値としては桁違いに優れたものだったといえる。逆に49ersディフェンスはRodgersに+10.9、Jonesに+0.3の数字を許している。前半に大量リードを奪い、後半の守備が緩くなった面はあるだろうが、勝利への貢献度が最も高かったのはランオフェンスだと言って問題はないだろう。NFLとしては珍しいタイプのゲームだった。
これは
week19の記事のコメント欄で紹介した
「前半の成績」だけに絞っても同じ。Garoppoloが7回のドロップバックで40ヤード(ANY/Aは5.71)にとどまったのに対し、Mostertは14キャリーで160ヤード、3TDを奪っている。ANY/Aと同じ計算をすれば15.71とGaroppoloの数字より実に10ヤードも大きい。
Pro-Football-ReferenceのEPAに至っては前半のGaroppoloのドロップバックが-0.06EPAにしかならなかったのに対し、Mostertのランは実に+15.46EPAに達している。
次のゲームにあたるSuper Bowl LIVでは、一応Chiefsを応援しようと考えている。もちろんReidにリングを取らせたいというのが最大の理由だ。49ersには元PatsであるGaroppoloがいるのだが、それよりもリーグ屈指のHCがロンバルディ・トロフィーを掲げる場面を見る方が個人的には好みだ。パス成績はHC次第で大きく変わると私は見ており、実際に多くのQBたちに実力以上の成績を挙げさせてきたReidへの評価はもっと高くなっていいと思う。
彼のbye明けの成績を見ると、そうした結果も十分に期待できそうに思える。
さてそのHCがらみで、
Football Perspectiveに厳しい記事が載っていた。このほど選出された「100周年記念殿堂入りメンバー」に対する批判だ。
筆者によるとNFL FilmsのSabolなどContributorsの選出はGoodだったが、選手の選択はBad、コーチに至ってはUglyだったという。
特に手厳しく非難しているのがJimmy Johnsonの選出。確かに彼は1990年代のCowboys Dynastyを築き上げた人物ではあるが、実のところこのチームは彼がいなくても優勝できる選手が集まっていた(Switzer参照)わけで、むしろ評価するならそうした選手たちを集めた事実上のGMであるオーナーの方が貢献度は高いといえる。それを証明してしまったのが、Johnsonの2つ目の仕事であるDolphinsでの成績。4年間、MarinoというAll-Time Teamに選ばれるほどのQBを抱えながら彼の成績は36勝28敗とそれほど立派なものではなく、プレイオフは2勝3敗に終わった。
記事の筆者はコーチを評価する理由として、彼らがゲームにイノベーションをもたらしたかどうか、また彼らから派生するcoaching treeがどれだけ繁栄しているかといった点を重視している。HOFに選ばれているコーチの中で最も勝ち星が少ないのはBill Walshの92勝なのだが、その後のリーグに及ぼした影響を踏まえるならWalshが選ばれないのはむしろおかしい。だがJohnsonはWest Coast Offenseのような革新的な何かをNFLにもたらしたわけではない。
記事の最後のほうには「CBSのCowherとFOXのJohnson選出は政治的に見える」との指摘もある。確かにテレビマネーのための選出と言われても仕方ないメンツだ。
All-Time Teamの選出に対しても不満は聞こえてきたが、私はそこまでおかしいとは思わなかった。一方、今回の100周年HOFerはそれに比べてもかなり残念な結果に見える。100周年記念と称して政治的配慮を伴うバラマキをやった、というのが実感だ。
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