2019 week17

 NFLはレギュラーシーズン最終週が終了。Patriotsが10年ぶりにシード権をつかみ損ねるといった波乱はあったが、それを除けば予想外というほどの事態は起きることなく終わった。最後の椅子も大方の予想通りにTitansとEaglesが手に入れ、来週からは残された12チームのサバイバルが始まる。
 というところで今シーズンを振り返っておきたいのだが、ぜひともやっておきたいのは昔何度かやったことがあるPythagenpatを使ったチームの成績分析だ。Football Perspectiveも今シーズン途中に行なっていたのだが、今年はなかなか印象的な数字になっている。
 Pythagenpatはチームの得点や失点から予想できる勝率を示したもの。以前にも書いている通り、翌シーズンの予想をするうえでは勝率よりも得失点差の方が高い相関性を示す。つまりPythagenpat勝率より実際の勝率が高いチームは実力以上に勝ち星に恵まれており、逆のチームは不運であると考えられる。昨年は1ドライブ差以内の勝ち負けから翌シーズンの成績を予想したが、今年はPythagenpatを使う、と言い換えることもできる。
 以下は2019シーズンの各チームの実際の勝率とPythagenpat勝率、そして両者の差だ。

Packers 0.813 0.616 +0.197
Seahawks 0.688 0.512 +0.176
Texans 0.625 0.488 +0.137
Saints 0.813 0.687 +0.125
Raiders 0.438 0.318 +0.119
Jets 0.438 0.340 +0.097
Dolphins 0.313 0.218 +0.095
49ers 0.813 0.761 +0.052
Jaguars 0.375 0.327 +0.048
Bears 0.500 0.462 +0.038
Ravens 0.875 0.845 +0.030
Steelers 0.500 0.471 +0.029
Chiefs 0.750 0.732 +0.018
Panthers 0.313 0.296 +0.017
Rams 0.563 0.552 +0.011
Bills 0.625 0.616 +0.009
Eagles 0.563 0.555 +0.0078
Broncos 0.438 0.430 +0.0077
Browns 0.375 0.397 -0.022
Cardinals 0.344 0.368 -0.024
Redskins 0.188 0.219 -0.0317
Falcons 0.438 0.469 -0.0319
Colts 0.438 0.479 -0.041
Vikings 0.625 0.682 -0.057
Titans 0.563 0.624 -0.062
Giants 0.250 0.322 -0.072
Buccaneers 0.438 0.514 -0.076
Patriots 0.750 0.829 -0.079
Bengals 0.125 0.258 -0.133
Lions 0.219 0.362 -0.143
Chargers 0.313 0.485 -0.172
Cowboys 0.500 0.689 -0.189

 見ての通りトップ7位までは得失点差に比べてかなり恵まれた勝率を達成していることが分かる。彼らの成績が実力以上に膨らんでいる可能性がある以上、彼らのうちプレイオフに出る4チームはこのポストシーズンで何としてでもリングを手に入れた方がいい。逆に負け越しでなおかつPythagenpatがそれ以上に低い3チームは、来シーズンを決して楽観してはいけないだろう。
 それにしてもDolphinsはこれでGase時代に続いて得失点差から期待できる以上の成績を残し、なおかつそのGase自身はJetsでDolphins時代と同様にまた得失点差以上の成績をあげたわけで、なかなか興味深い結果ではある。個人的にGaseをトップに据えてもチームが強くなるとは思えないのだが、彼には何か異様な悪運がついているようだ。
 逆に下位チーム、特に下から数えて4チームは来シーズンにもっと強くなる可能性がある。今シーズン特に不運だったのはCowboysであり、次がChargers、そしてLionsとBengalsが続くことになるわけで、これだけ不幸だったにもかかわらず勝率5割をキープしたCowboysは来シーズンはかなり成績が上向くと期待できる。残る3チームはさすがに成績が悪すぎるため、単に平均への回帰だけで来シーズン大きく飛躍するところまではいかなさそう。チーム力自体の底上げも必要だろう。
 プレイオフ出場チームのうち不運だったのはPatriots、Titans、Vikingsあたりだ。逆に言えば彼らの実力は表面的な勝率より高い可能性があり、来シーズンもまたプレイオフに戻ってくる確率がそれだけ高くなる。逆にSeahawks、Texans、Eaglesあたりは来年も引き続きプレイオフにたどり着けるかどうか微妙なところである。

 一方、プレイオフが消えたチームにおいては当然のごとくBlack Mondayがスタートしたのだが、ここで「オフの主役は俺たちだ」とばかりに飛び出したのがBrownsである。21世紀に入ってずっとオフの主役を演じてきたチームだから今回も出てくるのは不思議ではないのだが、それにしても見事なスタートダッシュだった。何しろ最終週の日曜日のうちにまずHCのKitchensをクビにしたくらいで、少々フライング気味ともいえる。
 だが本番はその後、現地大晦日に発表されたGM、Dorseyのカットである。Kitchensのクビも任命してたった1年という短さだったが、Dorseyも2年で解雇という前任のSashi Brownとほとんど変わらない期間でチームを去ることになった。いやー実に目まぐるしい。さすがはBrowns、実にdysfunctionalだ
 Brownsのフロント人事については2年前にも触れたのだが、その時の題名が「『計画』の行方」。Sashi解雇によってマネーボールという「計画」の継続性がどうなるかという懸念を記したのだが、次のGMも2年で解雇となるといよいよもって「計画はどこ行った」とツッコミたくなる状況なのは間違いないだろう。そうでなくてもBrownsにとって2010年代が失われた10年であったのは間違いないのに、ここでまた方向転換などやっていて大丈夫なのだろうか。
 以前、ちょっと紹介したBrownsの内幕話を見ると、オーナーのHaslamがしばしばHCから直接オーナーに報告することを認めていたため、組織内の権力争いが生じやすくなっていたことが指摘されている。KitchensはオーナーではなくGMに報告することになっており、それによってフットボール絡みの運営が一元化されることが期待されていたわけだが、結果は失敗に終わった。問題はその失敗を受けて、どうやらオーナーとGMが「フロントオフィスのリストラ」について話し合ったこと。今回のDorsey解雇はそのリストラについて両者の合意が得られなかったのが理由だそうだ。
 いったいオーナーがどのような「リストラ」を考えていたのかは分からないが、Dorseyが合意しなかったことを踏まえるなら、その内容が「HCの報告先をGMから再びオーナーに戻す」というものだった可能性は十分にありそうに思える。だとしたらまたもや権力争いの種がまかれるわけで、Brownsファンの皆さんはご愁傷様。なにしろオーナーはクビにできない。オーナーが問題の根源である場合、ファンにできるのは #SellTheTeam のタグでツイートすることくらいだ。彼らにとって辛い新年になるかもしれない。
 Brownsがアレだったので、他の動きは簡単に。現時点でKitchens以外にクビになったのはGiantsのShurmurだ。既にシーズン中にRedskinsのGrudenとPanthersのRiveraがカットされており、そのRiveraはRedskinsの次期HCに決まった。他に危ないと言われているのはCowboysのGarrettだが、JaguarsのMarrone、LionsのPatricia、FalconsのQuinnは首がつながっている
 フロント側ではDorsey以外に、RedskinsのAllenが首を切られた。他には既にJaguarsがCoughlinをシーズン中に解雇している一方、GiantsのGMであるGettlemanについてはクビにせずキープするという報道があった。やはり現時点でオフの主役はBrownsと見ていいだろう。
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コメント

きんのじ
オフシーズン、Cowboysの放置状態は何の意味があるのだろう?と不思議でなりません(^^;
インタビューの順番とか、遅くして良いことは何もないと思うのですが、確約があるのか?単にオーナーが自信過剰なのか?

野次馬ですが、プレイオフでNEが負けることはあるだろうし良いのですが、リードされながら後半無得点というのは、非常に「らしくない」と感じました。
ここはBradyの衰えが影響してるのか?チーム全体が「らしくない」と感じました...。

desaixjp
CowboysはMcCarthyとLewisにインタビューを予定しているそうで、もうGarrettとは袂を分かつつもりなんでしょう。
Garrettとの契約は1月14日までだそうなので、淡々と期限切れを待つつもりなのかもしれません。
http://www.nfl.com/news/story/0ap3000001094208/article/
それよりも早いとこPrescottと契約延長しないといけないと思うんですが、何を考えているのでしょう。

Patriotsに関しては、個人的に序盤好調すぎたのを見て不安は感じていたのですが、不安通りになりましたね。
このチームはシーズン後半に向けて調子を上げていく展開でない場合、だいたいどこかで息切れする印象があります。
今年はさらにBrady自身の衰えも上乗せされ、その結果がこの有様なのでしょう。
ディフェンスは水物です。いざという時に頼れるのはやはりオフェンスであり、特にQBです。
そのQBが衰えると、いかなPatsと言えどもこうなってしまう、ということでしょうか。

きんのじ
Cowboysさんは適当に様子を眺めるとして...(^-^)

ディフェンスは水ものって、普通は逆(オフェンスは水もの)のように感じ、でもおっしゃる意味もわかる気がして深いなと思いました(^-^)

時代の一ページはめくられた。そんな気がした試合でした(^-^)

desaixjp
強力なオフェンスは何年も続けてプレイオフに出場してきます。複数回優勝することもあります(例:Patriots)。
ですがディフェンス頼りのチームは、たとえ歴史に残るレベルの強さであっても優勝争いに絡めるのはせいぜい2年です(例:Broncos)。
ディフェンスのパフォーマンスを事前に予測するのは困難です。
https://fivethirtyeight.com/features/why-the-nfl-cant-rely-on-defense/
データ分析からも、ディフェンスの方がオフェンスよりも水物であることが分かっているわけです。
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