2019 week13

 NFLは第13週が終了。全試合のうち4分の3が終わり、いよいよシーズン最終Qだ。既にSaintsがプレイオフ出場を決め、これから生き残りが佳境に入る。一方、既に来年のドラフトに関心が向いているチームもあるだろう。0勝だったBengalsがようやく初勝利を挙げ、現時点ではその次に2勝のGiants、そして3勝9敗チームとしてRedskins、Dolphins、Falconsが続いている。3勝8敗1分のLions、Cardinalsまで含めて既に負け越しが決まったチームが7つあるわけで、ファンの気持ちは既にカレッジの選手の見極めに向いているかもしれない。
 そのカレッジはレギュラーシーズンが終わり、ボウルゲームの季節が訪れた。最終的なAPランキングを見ると、やはり目立つのはAlabamaの9位。現在のプレイオフシステムが採用されて以来、常にプレイオフ出場4チームの一角に選ばれ続けていた彼らだったが、今年はとうとう脱落である。シーズン終盤にエースQBのTua Tagovailoaが大怪我を負って欠場したのが響いた面もあるが、それにしても衝撃だ。
 結果、プレイオフに出場するのはOhio State、LSU、Clemson、Georgiaの4チームとなった。Bamaは消えたがそれでもSECから2チームが出場と、相変わらずこのカンファレンスが強い。彼らとClemsonでトップを争う状況には変わらないわけで、サラリーキャップのないスポーツだと勢力が固定化しやすいことが改めて感じられる。とはいえ予想できる将来にこのようなあり方が大きく変わる可能性はほとんどないだろう。
 話を戻すが、ドラフト絡みでもTagovailoaの負傷が大きく影を落としている。彼が無事だったなら当然ドラフトの目玉になったと思われるが、足元のモックドラフトでは1巡の中位くらいまで順番が下がっている。今年のドラフト上位候補の中にはそれなりにQBをほしがっているチームもあると思うが、QBの目玉が少ない場合は選ぶのに苦労するかもしれない。
 現時点でトップ候補とされているのはプレイオフにも選ばれたLSUのJoe Burrow。シニアの彼がNFLドラフトに参戦するのは間違いないだろう。OregonのJustin Herbertも同じくシニアで、Burrowよりプレイは多い。AlabamaのTagovailoaはまだジュニアであり、その気になればもう1年カレッジでプレイできるのだが、さてどうするのか。
 ドラフト上位になりそうなチームのうち、QB需要が強いのはまず何といってもDolphinsであり、それ以外ではDaltonの成績不振に悩んでいるBengalsあたりが候補になる。しかしそれ以外を見ると意外にQB必須というチームは多くない。Giants、Redskins、Cardinalsは昨シーズンにQBをドラフトしたばかりで、彼がもう1度QBを指名する確率は現時点では低そうだ。FalconsとLionsの現先発QBはDaltonほど酷い成績ではなく、今年のチーム成績だけで早々に切り捨てるのはさすがに考えにくい。
 モックドラフトでBurrow以外の1巡候補QBの指名順位があまり上がらない理由には、こうしたチーム側の事情もあるのだろう。もちろんCardsがRosenを1年で見捨てた例もあるので、他の上位チームがQB指名に踏み切る可能性はゼロではない。しかし「上位指名QBの実力を1年で見切るのは難しいし、それに他に穴埋めすべきポジションは多い」というチームであれば、1巡で別のポジションを取りに行くのは自然な行動に思える。
 それでもQBはドラフトの目玉になるため、海のものとも山のものとも分からない話が今の時期は流れやすくなる。例えばTagovailoaをPatriotsが指名するという話などがその一例だ。現実味がどこまであるかはともかく、ネタとしては面白いのだろう。

 さてQB of the decadeもこれで最後。1920年代だ。もちろん、この時代にはApproximate Valueどころかリーグの公式記録すら存在せず、さらに言えば現代的な意味でのQBも存在しなかった。だからそのどちらかを使って20年代を代表するQBを見つけだすのは難しい。だからと言って純粋な主観で選ぶのも困難。そもそも見たこともない選手たちについてどんな主観を持てというか。
 ではこの時代のQB、というかpasserを選ぶうえでの手掛かりはまったくないのか。そんなことはない。公式記録はないが、当時の新聞などには試合における個々の選手の成績について載っているものもある。米国にはそうした古い資料をまとめている人もおり、例えばPro Football Researchers Associationなる組織が発行しているCoffin Cornerという雑誌には、Statistical Leaders of the 20'sという記事があり、公式記録がつけられる前についてシーズンごとにパス、ラン、レシーブの上位陣の数字が載っている。
 他にもStrong Arm Tacticsという本にも成績上位者のパス成績が載っている(p79-89)。そしてこうしたデータをまとめて閲覧できるのがFootball @ JT-SW.comというサイトだ。スタッツページには1920年からのデータがシーズンごとに掲載されている。パス成績を見れば試投数と成功数、ヤード、TD、Intまで掲載されているため、Adjusted Yardsも計算できる。データが不完全なのは承知のうえで、このサイトを使った1920年代のpasser上位を紹介しよう。左から名前、AYだ。

Benny Friedman 3926
Red Dunn 1567
Curly Lambeau 1463
Ernie Nevers 1171
Wild Bill Kelly 1085

 ほとんどの人はもう彼らの名前は知らないだろう。だが少なくとも彼らのうち3人はHOFerだ。まずはトップに出てくるFriedmanだが、1982年に死去した彼がHOFに選ばれたのはようやく2005年になってから。忘れられたプレーヤーとなっていた人物だったが、記録が掘り起こされることで21世紀になってHOFにふさわしいという判断が下されたわけだ。
 彼の凄さは何よりもあの当時にキャリアトータルで66のTDパスを投げた点にある。また公式記録ではないが、1927年に記録した少なくとも1721ヤードという数字は、おそらく1942年にCecil Isbell(2021ヤード)に破られるまでシングルシーズン記録だった。30年代の記録まで合わせるとFriedmanは8年のキャリア全体で7442ヤードを記録していたことになり、これは30年代から40年代にかけて活躍したHerberの公式記録(13年で8041ヤード)と比べてもむしろ優れた数字である。当時としては突出して素晴らしいpasserだったのは間違いないだろう。
 3位のCurly Lambeauは今でもPackersのスタジアムに名前を残している超有名人である。選手としてよりむしろHCとして有名な彼だが、数字が残っている範囲では初めてシーズン1000ヤードのパスを達成した選手でもあり、1920年代のパス上位陣にも何度も姿を出している。彼が選手としてプレイしたのは1929年までだったが、フォワードパスを主要な武器として使いこなしていた数少ないチームを率いていたのが彼だった。
 4番手のErnie Neversは、5年間という極めて短いキャリアだったがその全てで1st team All-Proに選ばれるという凄まじい活躍をした選手である。ただし彼のポジションはFBであってQBではない。また彼はランも得意で、キャリア5年の間にパス上位に5回顔を出した以外に、ラン上位でも2回名前が出てきている。
 残る2人はさすがにかなりマイナーな名前だ。Red Dunnは1931年まで8年間プレイした選手で、キャリアの後半はPackersにいてちょうどLambeauとHerberの橋渡しのような役目を果たした。Bill Kellyは20年代の後半から4年間プレイした選手で、3つのチームを渡り歩いている。5人中4人までは主に20年代の後半に活躍している。
 以上でQB of the decadeは終わりなのだが、個々の選手はともかく、彼らの数値は100年の間にどれだけNFLが変わっていったかを示している。長い歴史を象徴するような数字だ。
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