NFL第11週は
最初のTNFから後味の悪い展開になった 。相手のメットを奪って殴りつけたGarrettは無期限の出場停止、そのGarrett相手に暴力をふるったPounceyが3試合、相手QBを押し倒したOgunjobiが1試合の出場停止となり、さらに他の選手たちに罰金などが課されるそうだ。激しいスポーツではあるが、こういう乱闘はさすがに珍しい。
ファンからは批判の声が数多く出ているし、リーグもかなり厳しい処分を下している。ゲームとは関係ない暴力に対してペナルティを課すのは当然だろうし、それが重いものになるのも仕方ないだろう。ただでさえ怪我の多いスポーツで、ゲームと無関係の暴力で怪我でも負ったりしたら、選手にとっても興行主であるリーグにとってもマイナスでしかない。応援しているファンにとってもそうだろう。多数のファンにとっては。
でも一部のファンは明らかに乱闘を楽しんでいた。でなければ
これ や
これ や
これ 、
こんなの とか
こんなの とか
こんなの がネット上に出てくるとは思えない。NFLが興行だと考えれば、一部とはいえファンの反応を引き出しているこの乱闘も、もしかしたら出し物の1つということになるのではないか。もちろん今回の乱闘がWWEばりの演出である、などと言うつもりはない。不測の事態だったのは確かだ。それでもファンがリーグに払っている金の中には、そうした「不測の事態」に対する対価が含まれているような気がしてきた。
Over The Capには
この件に関する記事 が掲載されている。それを見るとドラフト上位指名の選手たちの6割以上はGarrettのようなスタンダードな契約ではなく、ロースターボーナスをできるだけ増やすような契約を結んでいることが分かる。Garrett自身、あるいはその代理人がもっと慎重であれば、今回のトラブルによる減収額をもっと減らすことができていた、というわけだ。
とはいうものの、この金額はルーキー契約という低く抑えられた契約内での差にすぎない。
GarrettのPass Rush Win Rateはリーグでもトップクラス であり、このまま行けば彼が次の契約で巨額のマネーを得ることはおそらく間違いないだろう。彼にとって大切なのは過去の契約を悔やむことではなく、反省の意を示して試合に復帰できるよう努力する(それによって高額のサラリーを得られるようにする)ことだろう。
データを見る限りは何とも言えない。今シーズンの10試合で彼のANY/Aがリーグ平均(6.3)を下回ったのは5試合と半分だ。ただし直近5試合だとうち4試合でリーグ平均以下のANY/Aを記録しており、崖を転がり落ちているように見えなくもない。ただし、そうした事例は過去にもあった。2012シーズンのプレイオフから13シーズン前半にかけ、彼は9試合中8試合でANY/Aが5.1以下を記録した(ちなみに13シーズンのリーグ平均は5.9)。
直近10試合の合計ANY/Aで見るとBradyは足元で6.44を記録。2015年のAFCCG終了後のこの数字は6.12だったし、2014シーズンのSuper Bowl終了後は6.41だった。14シーズンのChiefs戦で大敗した時点では5.83に数字が低下していたし、13シーズンでDolphinsに勝った時点では5.25になっていた。MVPレベルの活躍をしていた2016シーズン以降はあまり見られない数字なのは確かだが、彼のキャリア全体で見れば今が最悪という状況ではない。
今週は1940年代のQB of the decadeなのだが、ここまで古い時代になるとパッサーとして優れた選手の数自体が少なくなってくる。50年代はAdjusted Yardsの合計が1万以上の選手が6人いたのに、40年代になるとその数はたったの2人まで減少。5000以上までハードルを下げても6人しかいない。というわけで以下ではその6人を紹介する。左から名前、AYだ。
Sammy Baugh 13682
Sid Luckman 10820
Otto Graham 9960
Tommy Thompson 6732
Frankie Albert 6233
Bob Waterfield 5258
上3人は歴史に名を遺す偉大なQBで間違いないのだが、40年代には4年しかプレイしていないGrahamが3位に入ってしまうあたりにこの時代の特徴が表れている。全体の数字が低くなっている理由の一つは選手たちのキャリアが非常に短かったことも一因で、例えば前回も少し触れたWaterfieldは、1945年から52年までのキャリアしかなく、40年代には5年しかプレイしていない。それでもプレイオフに6試合出場し2回優勝したことが寄与したのか、彼はHOFに選ばれた。
それに比べればトップのBaughはキャリアが長かった。1930年代から50年代までプレイした彼は、40年代に2回1st team All-Proに選ばれ、1回チャンピオンにもなっている。6.09のAY/Aはこの時代としては立派なものだし、前回紹介した1950年代の上位QBたちと比べてもむしろいい方である。彼が1945年に記録したパス成功率70.3%、QBレーティング109.9は、今から見ても驚愕の数字だ。
一方2番手のLuckmanはむしろシステムQBのイメージが強い。Bears Tというフォーメーションを生かして勝利に徹した彼は40年代に4回も優勝し、Bearsの黄金時代を築き上げた。BaughがPeyton ManningならLuckmanはTom Bradyといった印象だが、実はパッサーとしての能力で見るとむしろLuckmanの方が上だったとも考えられる(ANY/Aは6.53)。Bearsの最多パスヤード記録は、Cutlerに抜かれるまで長期にわたってLuckmanが保持し続けていた。
3番手のGrahamはたった4年の記録と考えるなら驚異的な数字なのだが、彼が所属していたのが対抗リーグであるAAFCであった点は割り引いて考えるべきだろう。AY/Aが9.39というのは2010年代のNFLでも達成困難な数字(Mahomesレベル)であり、これはやはり弱いディフェンス相手に下駄をはいていたと解釈するのがおそらく正しい。
4位のThompson、5位のAlbertは、今ではほとんど名を知られてない選手たちだ。Thompsonは途中で戦争に行ったせいもあってキャリアは9年にとどまったが、うち2回優勝をしている。Albertも戦争に駆り出されたためにプロ入りが遅れ、キャリアはたった7年で、うち40年代にプレイしたのは4年間だけ。この時期のQBランキングには戦争の影が色濃く落ちている。
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