取り上げるのはNext Gen StatsのxCOMP% +/-だ。xCOMP%は10以上の指標を使って算出された「期待パス成功率」であり、それと現実との差を+/-で示している。例えば今シーズンのPrescottはxCOMP%が62.4であるのに対し、実際のCOMP%は69.6に達しており、+/-は7.2のプラスだ。逆にGoffなどは-5.5とかなり悪い数字である。
だが実際に、シーズンデータが出そろっている2016-18年のデータで調べたところ、+/-のn年とn+1年の相関は+0.287とあまり高くない水準にとどまった。確かに正の相関はあるのだが、例えばTime to Throw(+0.596)やAverage Intended Air Yards(+0.463)などに比べれば低い。いやそれどころかxCOMP%そのものの相関(+0.455)すら下回っている状態だ。
むしろこのデータを調べていると、別の相関係数が高いデータが見つかった。個人的に「プレイコールの能力を示しているのではないか」と思って調べたデータだ。以前「レシーブとパレート」で紹介したレシーバーのcatch rateとyards per catchから近似線を使って各レシーバーのランキング化をしたが、それと同じことをパスを投げる側でやってみようとしたのだ。
ただし見たいのはQB自身ではなくプレイコール。なので使ったのはIAY(Average Intended Air Yards)と、実際の成功率ではなくxCOMP%。シーズンごとにこの2つのデータの散布図から近似線を見つけ出し、個々のQBのxCOMP%が近似線から求められる数値をどのくらい上回る(もしくは下回る)かを調べた。その数字についてチームごとにn年とn+1年の相関を見ると、結果は+0.489。実際には途中でプレイコーラーが変わっているチームがある(Ramsなど)ことまで踏まえるなら、そう悪くない数字だ。
コメント
結局、ごく当たり前と思えることしか言えないとなると、マネーボール的選手評価は難しいということでしょうか。
まだまだ勘と運の領域?
2019/11/10 URL 編集
QBの成績全体を示す指標(ANY/Aなど)のうち、何割がQB個人のおかげで、何割がコーチのおかげなのかを調べることはできそうな気もしますが、その寄与は様々な経路をたどって結果につながっているのではないかと。
「この指標はQBのもの」「この指標はコーチのもの」と単純に割り切るのは、少なくとも今のところは控えておいた方がよさそうだ、というのが私の考えです。
2019/11/11 URL 編集