NFLは第4週が終了。
例年のことだが QBの四半期レビューを行いたい。4試合を経過したところでリーグトップクラスの活躍をしているQBはシーズンを通して活躍することが多く、逆にどん底に沈んでいるQBはシーズンを通してダメなことが多い。これまでの実績を振り返るのにいいタイミングなのだ。
ただし、今年に関してはシーズン序盤からQBの交代が相次いでいるという問題があることは押さえておくべきだろう。ランキングに顔を出している35人のQBの中には、第4週がbyeとなったために試投数が100に達していないGaroppoloや、途中で先発の座についたJonesなど、母数の少ないQBたちがいることを忘れてはならない。
それを前提としたうえで、以下にランキングを載せている(3試合しかしていないチームのQBは42試投、4試合のところは56試投で足切りしている)。左から名前、そしてANY/Aだ。
Mahomes 10.64
Prescott 8.95
Wilson 8.45
Jackson 8.07
Kyle Allen 8.05
Rivers 7.92
Stafford 7.82
Brady 7.70
Garoppolo 7.47
Minshew 7.14
Rodgers 7.02
Mariota 6.99
Rudolph 6.99
Winston 6.95
Jones 6.89
Brissett 6.73
Wentz 6.72
Watson 6.33
Ryan 6.13
Keenum 6.06
Flacco 6.04
Cousins 6.04
Carr 6.02
Mayfield 5.77
Goff 5.76
Manning 5.42
Dalton 5.12
Newton 5.09
Bridgewater 5.00
Roethlisberger 4.67
Trubisky 4.52
Josh Allen 4.51
Murray 4.43
Falk 3.83
Rosen 3.20
トップのMahomesについては驚愕というしかない。昨シーズンの成績自体、持続可能性がありそうには思えない数値だったのだが、今シーズンになってもなおANY/Aで10以上を出してくるのだから、素直に感服するしかない。もちろん何度も繰り返すが、誰であれ平均への回帰に見舞われる可能性はあるし、Mahomesだっていつまでも今のペースでパスを投げられるかは不明。だが少なくとも今シーズンは引き続きいい成績を残せそうだ。
そのMahomesをはじめ、上位陣に数多くの若手が顔を出しているのもまた興味深い。2番手のPrescottは今年が4年目、4番手のJacksonは2年目、そして(試投数が少ないという問題はあるものの)5位に出てきたKyle Allenは2年目のUDFA選手だ。トップ5の中でベテランのサラリーをもらっているのはWilsonだけであり、ルーキー契約QBがここまで上位に集まるのも驚くべきところだろう。
逆にこれまで
Forever Quarterback Era と呼ばれてきた2000年代前半にプロ入りしたQBたちが、誰一人トップ5に入っていないのも驚きだ。昨シーズンは5番手にBreesが顔を出していたのだが、今年の彼はそもそも試投数が足りていないうえに、ANY/Aは7.14とそれなりに高いがトップ5にはいない。2010年代も最後のシーズンになって、ようやくForever Quarterbackの時代が終わりを告げようとしているのかもしれない。
一方、ワースト5を見ると実はこちらも若手ばかりが並んでいる。今年全体1位で指名されたMurray、昨年のドラフト1巡指名であるRosenとJosh Allen、同じく6巡指名のFalk、そしてさらにもう1年前のドラフト1巡指名であるTrubiskyだ。彼らのうちルーキーのMurray、そもそも3番手でしかなかったのに先発に引っ張り出されたFalkについては仕方ない成績と言えるが、残り3人はあまりよろしくない状況だ。特にTrubiskyは昨シーズン少し成績が上向いた後にこの状態だから、ファンの落胆も大きいと思われる。おまけに彼とJosh Allenは今週のゲームで負傷までしまった。踏んだり蹴ったりだ。
もちろん彼らの中にはチーム状態のよくないところに運悪くハマってしまった選手もいる。だが世の中の評価というのはそれも含めて下されるもの。下位に沈んでいるQBたちには、とにかく今の状況から少しでも事態を改善させるための努力が求められる。
さらに、前回に続きQB of decadeの紹介を。今回は2000年代に活躍した選手だ。前回同様、Approximate Valueを基にランク付けをする。以下の順位はQBのみを抜き出したもので、左から選手名、AV、そしてカッコ内は全体での順位を示している。
Peyton Manning 174 (1)
Brett Favre 128 (6)
Donovan McNabb 125 (7)
Tom Brady 120 (12)
Drew Brees 111 (20)
2010年代に比べて何より目立つのはAV上位に占めるQBの少なさ。2010年代はトップ20人のうちQBが過半数の11人を占めていたのに対し、この時期は4分の1に相当する5人しかいない。さすがに全体1位のPeytonは別格の数字を残しているが、他のQBたちは上位でもそれほどすごい数字を残しているわけではない。
それでも上位に占める選手のポジションを見ると、QBの5人という数はWRと並んで最多だ。足元ほどQBが突出して注目を集める時代ではなかったが、パスの重要度が増していた様子は窺える。特にPeytonと組んでプレイしたことのあるMarvin HarrisonとReggie Wayne、Bradyとともに短期間ながら高い記録を残したRandy Mossといった面々が同じくトップ20に顔を出しているのは注目点だ。
それにしても00年台のPeytonは凄まじい成績を残している。彼は10年の160試合すべてに先発し、9回のプロボウルに、そして5回のFirst team All-Proに選ばれた。それだけではない。彼はこの10年に獲得ヤードでもただ1人4万ヤード超を達成し、TD数も同じくただ1人300超を記録した。合計値の大きさに加えてANY/Aも7.35と2000以上のパス試投をしたQBたちで唯一7ヤードを超えるなど、パス効率も高かった。間違いなくこの時代最高のQBだったと言えるだろう。
彼に比べるとキャリア晩年に至るFavreは母数こそ大きいもののパス効率はそれほど立派でもない(ANY/Aで5.99)。McNabbも比較的地味(6.15)であり、Brady(6.65)やBrees(6.61)という10年代にトップを争うことになる両者の方がそこそこいい成績を残している。ただし彼らはPeytonのように00年代を通じて休まず出場し続けたわけではなく、そこがAVの伸び悩んだ一因だ。
足元で彼らの次の世代として活躍しているRoethlisbergerやRivers、Rodgersといった面々は、00年代の前半にはほとんどプレイしておらず、そのためにこのランキングだと上位には入ってこない。そう、注意しておくべきなのは、彼らのように全盛期がある年代の後半と次の年代の前半にまたがるケースが生じてしまう点だ。だからここで出す数字は「たまたま〇〇年代に全盛期が重なった選手」のランキングでしかない。ここに出てこないQBの中にも、優れた成績を残したQBは存在することになる。
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