昆虫食

 もやしもんアニメ化決定記念ということで昆虫食の話を。なぜもやしもんで昆虫食なのかとの声もあろうが、読んでいる人ならわかるように登場人物の中に「かつてギリシアでは蝉を食っていた」と熱く主張する人物がいるため。
 昆虫といえども後生動物の仲間。植物よりは人間に近い存在である。中身も基本的には動物性タンパクと思われるし、きちんと火を通せば食っても問題なさそう。実際、日本でも過去には昆虫を食べる機会が多かったようで、イナゴはよく佃煮にして食われていたそうだし、私の祖父も山で何かの幼虫を取って生で食っていたらしい。従兄弟がそれを食わされそうになって泣き出したことがあったとか。さらに、今でもハチの子やザザムシなどは食材として売られている。
 昆虫食に関して有名なのはこちらのサイト"http://www.bekkoame.ne.jp/~s-uchi/musikui/musikui.html"だろう。実際に昆虫を調理して食べている人が豊富な写真とともに昆虫食について説明しているブログもある(苦手な人は見ない方がいい)。サイトの管理人は陸上自衛隊のマニュアルに載っている昆虫食の間違いについてもツッコミを入れるなど、かなりこの道には詳しい人のようだ。
 一般的な説明を読むならこちら"http://www.eat-insect.com/"が良さそう。日本と海外でどのような昆虫が食べられているかを説明している。このサイトによれば昆虫の栄養素は「基本的に半分以上はたんぱく質(中略)。また、必須アミノ酸や鉄分などのミネラル・ビタミンも豊富に含んでいる」とのこと。「一種の完全食品」とまで持ち上げている。
 まあこれだけなら一種のゲテモノ食いとなるのだが、人によっては昆虫食にもっと重要な意味を見出しているようだ。たとえばこちら"http://www.athome.co.jp/academy/entomology/ent05.html"では昆虫を「21世紀の食糧」としている。先進国を中心に人口が減少に転じる地域も出てきたとはいえ世界的に見れば人口はまだ増えている状態。その中で必要な動物性タンパクを確保する手段の一つとして昆虫が注目を集めているんだそうな。
 さらに、家畜の多くが穀物を飼料としているのに対し、昆虫の中には人間が食べない植物や排泄物などを食べて成長するものもあるため、食料資源を効率的に活用できる面もある。問題は、家畜に比べて小さいため必要な栄養分を賄うだけの量を集めるのにコストがかかりそうな点か。それも飼育のやり方次第ではあろう。日本でもよく食べられていたカイコなどは、ほぼ完全に家畜化されているだけに低コストで必要量を集められるかもしれない。
 実際、こちらの論文"http://surc.isas.jaxa.jp/SpaceUtilizRes/SUR22_Proceedings/161Yamashita-a.pdf"では宇宙で農業を行う場合に考えられるメニューの中に「カイコのサナギ」がしっかり顔を出している。基本的な植物性食糧を得るために必要な一人あたり植物栽培面積が200平方メートルなのに対し、カイコの餌になるクワの栽培面積なら64平方メートルで済むのだとか。宇宙で使える手段なら、地球上で効率よく食糧を得るための手段にもなるだろう。
 とまあ今回は人によってはえらく気色悪く思われる話を紹介した。最近はバイオエタノールブームの陰で穀物の値段上昇が始まっているそうだ。もしかしたらそれが食糧価格全体の上昇につながり、動物性タンパクの取得が難しい時代が来るかもしれない。正直、日本のような金持ち国がそうした事態に至るのはよほどの非常時でなければないとは思うが、そういう時には昆虫食の可能性も考えておいた方がいいのかもしれない。一番手っ取り早く入手できる食糧源としてはゴキブリがあるそうだ。

 なお、漫画でランヌが食っていたカブトムシの幼虫については「腐葉土臭がひどくてそのままでは食べられたものではない」"http://musikui.exblog.jp/2899724"んだそうな。ボナパルトが思わず述べた感想は正しかったようだ。

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