FA市場再起動?

 ドラフトの次にヤマになると思われていた5月7日"https://blogs.yahoo.co.jp/desaixjp/56936144.html"。大物FAの動き第2弾がこの時期から動くという報道がいくつもあり("https://www.theringer.com/nfl/2019/5/7/18534748/"や"https://ftw.usatoday.com/2019/05/nfl-free-agents-ndamukong-suh-eric-berry-ziggy-ansah"など)、多くの人が盛り上がりつつ待ち構えていた状態だったが、少なくともその始まりは地味だった。
 現地8日の夜になってようやく出てきたニュースが、AnsahがSeahawksと契約を結ぶというもの"http://www.nfl.com/news/story/0ap3000001030328/article/"。元々SeahawksはAnsah獲得のフロントランナーだと伝える臆測記事"http://www.nfl.com/news/story/0ap3000001030288/article/"が出ており、要するに予想の範囲内の出来事だった。
 といっても契約自体はまだ結ばれていない。現地木曜日にAnsahがシアトルに飛んでそこでようやく契約に署名をするそうで、だから契約の内容についてもあまり詳細は分かっていない。こちら"http://tv5.espn.com/blog/seattle-seahawks/post/_/id/32770/"によれば1年契約で5.5ミリオンの保証額と、それ以外に8ミリオンを得ることが可能という情報が伝わっているという。つまり最大13.5ミリオンというわけで、Seahawksがトレードで放出したClarkの5年105ミリオンに比べればやはり割安な契約ということになる。怪我明けだからこその数字だろう。
 ただ他の有力候補たちについてはなかなか契約情報が出てきていない。思ったほどすぐに大きな動きが出てこないのは、例えばFA選手側が複数チームの反応を見たうえで契約を結びたいと思っているのが原因かもしれない。そうではなく、各チームともそれなりにニーズを満たした状態なので慌てて契約する必要性を感じていないという可能性もある。それでなくてもFAはルーキー契約よりは割高。無理に取りに行くものではないと思うチームが増えているのかもしれない。
 別にそんな理由はなく、たまたま上手く合意できた事例がここまで一部しか出てきていないだけかもしれない。もう少ししたら一気に他の大物たちが動く可能性もある。こちらの記事"https://www.si.com/nfl/2019/05/07/comp-picks-may-7-deadline-free-agents-suh-ansah-ajayi"などに紹介されている有力候補たちが、少し待てば続々と次の就職先を決める事態が訪れることも考えられる。もうしばらくは様子を見た方がいいのだろう。
 一方、補償ドラフト権が外れる直前に一部で注目を集めていたのがEaglesだ。こちら"https://twitter.com/Pumping_Water/status/1124435774508814336"のツイートにあるように、補償ドラフト対象FAの期限が訪れる前に彼らがAjayiにテンダーを行うのではないか、との推測が流れていたのだ。このテンダーは2年前にPatriotsが行ったことがあるものの、普通は滅多に使われることのない手法である。
 Patriotsがこのテンダーを使ったのは補償ドラフト権との絡みだった"https://blogs.yahoo.co.jp/desaixjp/56337195.html"。Blountにこのテンダーを提示することで彼が補償ドラフト対象FAから外れるのを回避。その後、BlountがEaglesと契約したことにより補償ピック対象選手をさらに増やしたのである。実際にはピックそのものは増えず、他のFA選手で得ることができるピックを守るために使われたのだが、いずれにせよ補償ドラフトを睨んだ対応だったのは間違いないだろう。
 EaglesはWallaceを補償ドラフト対象から外すべくあの手この手を使ったチームだ"https://blogs.yahoo.co.jp/desaixjp/56896263.html"。だが今年の補償ピックの相殺チャート"https://overthecap.com/compensatory-draft-picks-cancellation-chart/"を見ると、7巡相当のAndrew Sendejoを獲得したせいで、4巡相当のJordan Hicks流出分が相殺されるというもったいない状況が生じている。7巡レベルの選手がもう1人、補償ドラフト対象FAとして流出すればSendejoの相殺分はそちらで吸収でき、Hicks分の補償ピックが手に入ることが期待できる。当然、Eaglesはそのために何らかの対応を取るはずだ、と予想した人がいたのである。
 Nick Korteも同じ可能性を考えていた"https://twitter.com/nickkorte/status/1125400104746110976"。だが結局、EaglesはAjayiにテンダーを行わなかった。代わりに彼らがやったのはRamsをカットされたBlake Countessを拾ったこと"https://www.philadelphiaeagles.com/news/eagles-claim-former-draft-pick-blake-countess-off-waivers"。こちらはカットされた選手なので補償ドラフト権の対象にはならない。そして追加のDBを手に入れたことで、晴れてSendejoをカットし、4巡補償ピックを取り戻そうとするのではないかとの観測が出てきたのだ"https://twitter.com/nickkorte/status/1126215335705583616"。
 そう、実際問題として補償ドラフト権の出入りは、5月7日を過ぎてからでもまだ調整する余地は残されているのだ。シーズンの第10週にロースターに残っていることで、初めて状況は確定する。もちろんPatriotsのようにテンダーを使う方法もありだが、Ajayiの場合はテンダーを行うと2ミリオンを超える金額になってしまい、怪我上がりのRBのコストとして見合うのかという問題もある。Blountの時の金額(1.1ミリオン)に比べてリスクが大きい。

 一方でESPNの2019シーズンFPI第1号が発表された"http://www.espn.com/nfl/story/_/id/26686576/"。プレイオフ出場確率の高いチーム上位を見るとAFCはPatriots、Chiefs、Colts、Browns、Chargers、Steelers、NFCはSaints、Rams、Eagles、Bears、Packers、Vikingsとなる。どちらも昨シーズンの出場チームと入れ替わるのは2チームにとどまっており、4チームは前年と同じ。つまり現時点ではあまり大きな変動はなさそうだと見られていることが分かる。
 一方でFPIの最も高いChiefs"http://www.espn.com/nfl/story/_/page/Football-Power-Index/espn-nfl-football-power-index"がPatriotsより低い出場確率になるなど、単純に実力評価の高低だけで予測がなされていないことも分かる。もちろんその理由はスケジュール強度にある。以前、昨シーズンの成績を元にした今シーズンのスケジュール強度を調べた"https://blogs.yahoo.co.jp/desaixjp/56916616.html"際にも指摘しているが、対戦相手の難易度がチームごとにかなり異なっているのがそうした差の生じる背景にある。
 FPIのデータはあくまで2019シーズンの予想であるが、中身を見ると昨シーズンの実績と重なる部分も結構ある。具体的にはAFC東地区の低迷ぶりで、Patriots以外はリーグのワースト10に並んでいる状態。当然ながら彼らと対戦するAFC東、AFC北、NFC東のチームが楽なスケジュールで上位に顔を出している。具体的にはAFC東の4チームが全部9位以内に、NFC東の全チームが8位以内に、そしてAFC北の4チームが6~12位までの範囲に入っており、要するにこの12チームで楽なスケジュール上位陣を占有している状態だ。
 実はNFC東にもかなり低評価のチームが2つある。このメリットを受けているのはNFC東、AFC東の他にNFC北があることになるのだが、そのNFC北のスケジュールはそれほど楽ではない。地区内の競争が激しいことに加え、インターカンファレンスでAFC西とぶつかることになっているのがスケジュール強度を上げている。むしろ地区内が楽で、インターカンファレンスでもまだマシなAFC北と対戦するNFC西の方が楽なスケジュールのチームが目立つ。
 昨シーズンの成績を元に予想したスケジュール強度と、今回のFPIに基づくスケジュール強度を比べると、前者ではリーグで3番目にハードなスケジュールとなっていたCardinalsが、今回はリーグ14位まで楽になったのが目立つ。他にも4番目に厳しいスケジュールだったのが12番目になったBears、8番目から16番目まで改善したVikings、13番目に楽なところから7番目に楽なところまでアップしたCowboysなどが、改善の目立つチームだ。
 逆に前回の予想より厳しくなっているのは15番目にハードなスケジュールから4番目にまで厳しさが増してしまったPanthersだ。他には9番目から3番目に悪化したTitans、6番目に楽だったはずが12番目に落ちたBengalsなどの名前が挙がる。全く順番が変わらなかったのは1番楽なPatriots、4番目に楽なBills、11番目にハードなFalcons、そして最もハードなTexansだった。
 もちろんこれはあくまで第1弾の予想FPIに過ぎず、この数字はこの後もどんどん変わっていく。特にシーズンが始まれば当然のように大きな変動に見舞われるものと考えておくべきだろう。結局のところ事前の予想が100%的中することはない。あくまで現時点でデータから期待できるレベルの数字と割り切ってみるべきだろう。
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