しかし逆に言えばEagles以外にアウェイ3連戦チームがいないともいえる。ほんの2年前は違った。1シーズンの中でFalconsやBengals、Broncos、Vikings、Patriots、Eagles、49ersといったチームがアウェイ3連戦を戦う羽目に陥っていた。1990-2010シーズンの間にアウェイ3連戦は延べ110チームが行っており、1シーズン平均で5回強はそういうケースが発生していた計算になる。
論文によれば2003-12シーズンの10年間にbye明けのチームと対戦した回数は最も少ないCardinalsがたったの3回だったのに対し、最も多いFalconsは18回にも達していたという。2013シーズンにもBillsがbyeもしくはTNF後の相手と5試合も対戦したのに対し、そういう対戦が1試合もなかったチームが3つ存在した。バランスが悪すぎるとBillsが公式サイトで不満を表明したほどだ。こちら"
http://www.espn.com/blog/nflnation/post/_/id/166141/"によれば2002-14で最もbyeあるいはTNF明け対戦が多かったBills(29試合)は、最も少なかったBengals(14試合)の倍以上に達しており、確かに不公平と言われても仕方ない。
論文ではbye明けチーム同士が必ず対戦するというルールを使い、さらに他の不公平もできるだけ減らしたスケジュールを実際に作っている(6/11)。2012-14シーズンにbye明けとの対戦は多いチームで2~3試合あったが、論文内で作ったスケジュールだとゼロ。TNF明けとの対戦も同じく最多で2~3試合だったのが2試合までに抑制できている。両者を合わせた数だと4~5試合あったのが2試合になり、休息期間に関する不公平感を大きく改善できることが分かる。
一方、アウェイ3連戦は多いシーズンで6チームとなり、常に改善するわけではない。またアウェイ2連戦を短期間に繰り返すケースも増えている。bye同士の対戦を最優先にすると、別のところで不公平感が強まるわけだ。加えてアウェイといってもどこまで遠くに出かけるか次第で影響は異なる。実際にはbye明け以外にも様々な要素を想定して取り組む必要があるだろう。
今年のスケジュール策定に際しては、まず40~50試合ほどの「動かせない対戦」(スタジアムやテレビの都合など)を決め、そのうえでコンピューターを使い最も不公平度の低いスケジュールを作成したのだそうだ。確かに、例えばPatriotsの-13日という日付もbye明けチームとの対戦を除けば+1日に、Eaglesの-11日も+3日になるわけで、あまり極端な偏りにならないよう工夫した跡が見られる。偏りをゼロにするのは不可能だが、従来より改善しているのは確かだろう。
2000-16年までにドラフトで指名されたQBたちのうち、1~2巡指名でキャリアのApproximate Valueがトップ16以内に入っているQB、及び3巡以降の指名でトップ32に入っているQBを「成功」、1~2巡指名だがトップ32に入らなかったQBを「失敗」と見なし、彼らのドラフト前のスカウティングレポートをできるだけ調べてどのような特徴があったのかを探り出した。
まず特徴的だったのはaccuracy、つまりパスの正確さで、成功QBのうち83%は好ましい評価をされていたのに対し、失敗QBの55%は否定的な評価だったという。また意思決定の能力だと成功QBの50%が好評価を、失敗QBの67%が否定的評価を受けていた。さらにディフェンスよ読む能力についても成功QBの73%が好評価を、失敗QBが63%の否定的評価をされていたという。
一方、身体的特徴についてはそうした明確な差は見当たらなかった。例えば肩の強さだと好評価を受けていたのが成功QBで87%、失敗QBで85%とどちらも多かった。身体サイズの場合は成功QBが63%、失敗QBが74%で好評価となっていたし、スピードであれば成功QBが91%、失敗QBも80%が好評価を受けていた。こうした分かりやすい物理的な特徴は、成功や失敗との相関がほとんど見受けられないのである。
身体的には恵まれているが、パスの正確さや意思決定、ディフェンスを読む能力において大学で苦労していたQBがNFLで成功するのは困難、という結論になる。だがNFLではこれまで身体的な特徴を重視したQB指名が行われていたのは否定できない"
https://blogs.yahoo.co.jp/desaixjp/56629433.html"。なぜならNFLチームが多く利用しているスカウティング組織は、身長や体重、スピードを強調する傾向があるそうで、それに引きずられている面があるのだろう。
NFLが他の北米プロスポーツに比べてアナリティクスの採用が遅れているのも一因だろうし、また失敗したGMやコーチがすぐ解雇されてしまうため「失敗に学ぶのが難しい」という点もあるそうだ。もちろん足元でアナリティクス革命が進んでいるという見解はある"
https://blogs.yahoo.co.jp/desaixjp/56885122.html"し、昨年のMayfield全体1位指名など身体的特徴ではなく別の観点からQBを評価する動きも出ているので、今後は変化が起きてくるかもしれない。
実際、QBについて身長肩スピード以外の観点で評価する取り組みは広がっている。例えばSBNATIONは今年もドラフト候補QBに関してadvanced statsの観点から分析をしている"
https://www.sbnation.com/nfl/2019/4/15/18304541/"。昨年同様、カレッジの成績はプロでの成績の「天井」になるという観点から見たもので、高い評価を受けているのはMurray、Haskins、Grierなど。逆に「やめとけ」と書かれているのがJones(身長6フィート5インチ)だ。
QBが成功するか否かの「90%は肩より上にかかっている」。見えにくい特性ではあるが、QBを見るときには首より下ではなく、その上に乗っかっているものの中身を見るべきなんだろう。
コメント
No title
そういう面から見た場合、QBの身体能力は活躍に大いに影響する。と言えそうに思うのですが、どうなんでしょう?
2019/04/21 URL 編集
No title
パスルールが変わった1978年以降に指名された1~2巡QB136人のうち、35歳以上で2桁試合に先発できた選手は17人しかいません。
まずは目先、生き残ることのできるQBであるかどうかを最優先で選ぶのは仕方ないのではないでしょうか。
2019/04/21 URL 編集
No title
一番異常なのはRAIDERSではありますまいか?
5週のCHICAGO戦はホーム扱いですが、ロンドン開催なので
実質3~5週は連続ロードみたいなもの。
さらに6週BYEを挟んだ後の2週もロードですから
夏場の阪神か?(泣)とのファンの嘆きももっともに思えます。
RAIDERSのスケジュールについては
http://drbcs.dreamlog.jp/archives/52079779.html#comments
に面白い考察があります。
2019/04/25 URL 編集
No title
そもそも国外でのゲームにおけるホームの割り当ては明らかに偏りがあり、今シーズン国外ホームとなる5チームは過去に2試合以上、同じく国外ゲームをホームにさせられています。
どうも国外でのゲームについては、そもそもスケジュールの公平を期すという考えがNFLにはないように感じるのですが。
2019/04/25 URL 編集