2019QBASE

 気がついたらFootball OutsidersがQBASEを発表していた"https://www.footballoutsiders.com/stat-analysis/2019/qbase-2019"。今年のドラフト対象となっているQBについてはこちら"https://blogs.yahoo.co.jp/desaixjp/56865998.html"やこちら"https://blogs.yahoo.co.jp/desaixjp/56902890.html"で言及しているが、QBASEについても見ておこう。
 記事中でも指摘されているが、今年の数値は全体として低い。600以上のQBASE予想を出している選手が上位指名予想QBたちの中では皆無であり、つまりColt McCoyやAndrew Walterの予想水準"https://www.footballoutsiders.com/stat-analysis/2016/qbase-2016"に到達していないQBたちばかりがエントリーしていることになる。想定内ではあるが、将来のフランチャイズが欲しいチームにとって今年はやりにくい年になりそう。
 その中で相対的に評価が高いのはMurray(595)とHaskins(527)。前者が後者より上に来るのはこちら"https://fivethirtyeight.com/features/the-nfl-is-drafting-quarterbacks-all-wrong/"の予想でも同じだが、差はそれほど大きくない。以前にも指摘した通り、成功率の高さはともかく試合数の少なさが不安要因と見なされているのだろう。試合数をあまり重視していないように見えるCPOEに比べて2人の評価が低いのは当然か。
 カレッジで1年あるいは2年の先発しかしていないQBたちに限れば、彼らのQBASEはそれほど悪くない。問題はそういうタイプのQBたちの大半がbustで、かろうじてSmithとNewtonが先発レベルの活動をしている(それでもリーグ平均並み)ところ。Trubiskyが大化けすれば先発経験の少ないQBにも明確な成功例が表れることになるが、少なくとも現時点までの彼の成績はまだリーグ平均以下だ。
 QBASEは試合数が増えれば数字自体も上昇するが、個人的には試合数が増えると予想の精度が上がるという関係が存在するのではないかと思っている。ただ、現実問題としてそもそもカレッジの試合数が少ないQBが成功した事例が少ないことを踏まえるなら、QBASEのように先発試合数の少なさがそのままマイナス要因と見なす方がいいのかもしれない。その辺りも含め、MurrayやHaskinsが上位指名された場合の彼らの今後は注目だろう。
 次に高いのはFinleyの398。私自身は彼について「数字だけで判断するならこの中でもっともマシ」である一方、年齢的に「成長の余地があまりなさそう」だと見ているのだが、QBASEの記事にも似たようなことが触れられている。ただQBASEは年齢を評価対象に入れていないわけで、その意味では私よりも彼の将来性を厳しく見ていると考えられる。やはりそれほど魅力的な候補ではないのだろう。
 パス成功率の低さが目立つLockは271、Jonesは263と、どちらも冴えない数字だ。CPOEの予想でも彼らの評価は低かったが、パスの正確さに対する懸念はこうしたスタッツベースの分析だとどうしてもマイナスに作用する。あるカレッジコーチは、正確さに欠けるQBをリクルートしてはならないと断言している"http://footballscoop.com/news/mike-leach-quarterback-isnt-accurate-shouldnt-recruit/"。正確さを教え込むことはできないからだそうで、だとするとこの2人を取るのはハイリスクだ。
 残る2人はマイナスの世界に突入している。Stidham(-45)とGrier(-151)だ。私は彼らについて「中途半端」と書いたが、前者はカレッジ最終年に成績が低下したことが、後者はスカウトの評価の低さ及び対戦相手の楽さが、そして両者とも先発経験の少なさが低い評価の要因だという。
 このうちGrierの評価についてはCPOEと大きく違っている。QBASEが使用していないaverage depth of targetのデータを含めていることなどがCPOE側の高評価の一因だとか。以前CPOEを紹介した時に、試合数や試投数の少なさによる影響がうまく反映されていないのではとの指摘をしておいたが、そうした違いがGrierのところで大きく出てきたようだ。
 あとCPOEをQBASEとの違いとして大きいのが、前者は2012シーズン以降のデータを使って算出しているのに対し、後者は1997シーズンまで遡っているところだ。前者の方がより詳細なデータを利用できるという強みがある一方、参照した母数が小さいためにノイズをシグナルと見間違っているリスクが高い。いずれを重視するかに際しては、そうしたデータごとの特徴を踏まえて考えた方がいいんだろう。

 もう一つ、これまたFootball Outsidersが例年算出しているデータだが、Failed Completionsの結果が出た"https://www.footballoutsiders.com/stat-analysis/2019/failed-completions-2018"。成功したパスのうち、1st downならyards to goのうち45%、2nd downなら60%、3rd及び4th downなら100%を達成すればsuccessというのがFootball Outsidersの定義であり、failed completionとはこのsuccessにならなかったパスを示す。
 この割合が堂々のトップに躍り出たのがFolesで、実に通ったパスの41%がfailと見なされる結果になった。これだけ高い数字は珍しく、これに匹敵するのは2015年に記録された数値くらいなのだが、その記録を出したのもFolesだった。つまり彼は「パスは通すのだが、ほとんど進まない」QBということになり、しかも他のQBと比べ突出している。何しろFolesの次にこの数字が大きいManningでも30.3%しかない。
 彼ら以外にこの数字が悪いのはTannehill(チームをクビになった)、Rosen(クビになるとの噂が飛び交っている)、そしてPrescottやStaffordといった面々がいる。同じくFootball Outsidersが算出しているALEX(こちら"https://www.footballoutsiders.com/info/glossary"参照)の低いQBたちが多く、彼らはfirst downよりもパスを通すことを重視しているQBたちと言えそうだ。
 逆にFailed Completionの割合が低いのはMahomes。昨シーズンの活躍ぶりを考えれば違和感はない。2位と3位に顔を出しているのはWinstonとFitzpatrickというBuccaneersのQBたち。彼らについては以前からリーグ屈指のgunslingerと指摘"https://blogs.yahoo.co.jp/desaixjp/56861326.html"しており、その称号にふさわしい結果と言える。彼らについてはALEXの高さも見所だ。
 といってもFailed Completionsはあくまで通ったパスであり、パス失敗よりはマシな結果であることを忘れてはいけないだろう。実際、Failed Completion率ではリーグ最悪のFolesも、パス全体に占めるsuccessの割合を見ると最下位ではなく下から3番手にとどまる。より悪い成績なのはRosen(38.8%)やAllen(38.0%)といった新人たちだ。彼らはそもそものパス成功率がFolesより圧倒的に低く、チームにとってはFolesよりもダメージの大きい選手と言われても仕方ない。
 FolesはBortlesに取って代わることになる。この交代がQBのレベルアップになるのは間違いないだろう。ただしFolesの能力を、例えば70%を超えていた昨シーズンのパス成功率のみを基準に判断するのは、おそらくあまりよろしくない。とにかくFolesについては母数が少ないまま評価が大きく揺れ動いてきたのが特徴であり、だから極端な数字に注目して一喜一憂するよりは長い目で見るように心がけるのが望ましい。
 なおこの記事中ではレシーバーのFailed Receptionsや、ディフェンスのFailed Completionsもまとめられている。前者については毎年上位に顔を出していたLandryの順位が少し下がったところに彼を巡る環境の変化が表れているという。一方、引退寸前のGronkowskiがFailed Completion率の少ない方から数えて上位に入っているのは、ある意味驚き。衰えた昨シーズンにおいてなお彼はリーグでも上位のdeep threatだったのだろう。
 ディフェンスの数字は取り扱いに注意が必要だそうだ。Chiefsのディフェンスはこの切り口から窺えるほど改善している訳ではないし、Brownsディフェンスはそんなに悪くはない。またディフェンスのこの数値は年ごとにブレの大きなものであり、先行き予想には使いにくいそうだ。ただ例外もあり、Packersディフェンスは毎年酷いFailed Completionsを記録しているのだとか。彼らがリストラと取れる行動をしているのも故なきことではないようだ。
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