基本的に英国人の書いたものは「英国の視点」で見たこの戦役についての説明だ。それは第4章の題名が「敵――フランス=バタヴィアの戦力」となっているのを見てもわかる。他国の動きについての説明がないわけではないが、その多くは現場における各軍(ロシア、フランス、オランダ)の動向を簡単に述べているだけで、その背景分析や彼らの考えについて深く踏み込んだ話は書かれていない。あくまで英国の読者向けの本と見ていいだろう。
一方The Secret Expeditionはやはりオランダ側の視点が中心。英国本が例えばアバクロンビーの性格にまで踏み込んで書いているのに対し、こちらはそういう部分はあっさり流し、代わりに上陸を受けてやって来たフランスの増援は到着が早かったのか遅かったのかといった点を詳しく記している。この本については後で個別にレビューを書いてみたい。
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