次に補償対象は的中したのだが、指名巡が間違っていたのがGiantsの5巡とPatriotsの6巡。ただし事前予想の段階でGiantsの4巡、Patriotsの5巡を含むいくつかの指名権については下にずれる可能性があることを指摘している(Players On The Cutoff Bubbles参照)ため、的中はしなかったが想定の範囲だということはできる。
重要な違いは、32人枠に入ると予想していた2つの指名権(GiantsとEagles各1つずつ)が消えてなくなったことだろう。そのうち1つはMike Wallaceの分であり、これについてはやはりKorteは事前予想の段階で予想と違う結果が出てくる可能性に言及している(Qualifying/Valuation Questions参照)。EaglesとWallaceとの契約が補償対象になるかどうか、という判断に絡む問題だ。
EaglesはWallaceと契約するにあたり、まず体重200ポンドの彼が「250ポンド以下の体重を維持できればボーナスを与える」という条項を入れた。体重260ポンドの人間に10ポンドの減量を課すならともかく、Wallaceの場合は名目的にはボーナスだが実際にはほぼ保証額とみなしていい条項である。EaglesのGMがこのような契約を結んだのは、契約のうちボーナス部分が増えればWallaceが補償対象FAから外れる可能性があると踏んだからだそうだ。
そしてKorteの予想が外れた最後の1つがGiantsだ。こちらについてはKorteは事前に予想できていなかった。5巡で予想していたドラフト権が6巡になった例としては上にも紹介したPatriotsの事例があったが、それ以外にGiantsの5巡指名も同じく6巡に下がってしまい、それが補償対象FAの相殺に影響を及ぼしたのだ。
記事の最後に事前予想段階と実際に発表されたGiantsの補償対象FAの相殺表が載っている。当初、KorteはKennardが5巡指名権に相当すると考えた。この場合、6巡相当と予想されるMartinによって相殺されるのは7巡のCockrellであり、Kennardの補償ドラフト権はGiantsの手元に残ることになる。だから事前予想段階ではKennard分の補償ドラフト権としてGiantsは5巡を手に入れらると見ていた。
しかしKennardの補償が6巡相当だと話は違ってくる。手に入れたMartinと相殺されるのはKennardとなり、代わりにGiantsの手元に残るのはGeno Smithによって入手できる7巡相当の分だけになる。しかもSmithの分は32人枠からはみ出てしまうため、実際には期待していた補償ドラフト権が期待より1つ減ることになる。なかなか興味深い話だ。
補償ドラフトが固まったのを受けてOver The Capのドラフトページ"
https://overthecap.com/draft/"も更新されている。このページには予想されるルーキーたちのキャップヒットも載っているため、各チームがルーキーたちのためにどのくらいのキャップを空ける必要があるかも推定できる。ドラフト当日までドラフト権トレードが行われるから、正確に見積もるのは無理だけど。
Bills 53.8
Patriots 51.7
Jets 49.4
Dolphins 43.4
この方法を使えば、選手を手に入れる際にドラフト権の順番は下がるものの、数自体は失わずに済む。Patriotsは2011年以降、この方法で計13人の選手を手に入れており、その中にはAquib TalibやMartellus Bennett、Kyle Van Noyといった選手たちもいる。一方、同地区内の他チームを見るとこの方法で手に入れた選手数はBillsが0人、Dolphinsが3人、Jetsは1人しかいない。Patsのやり口をまねる余地は、まだ色々とあるのではなかろうか。
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