補償ピック

 NFLが補償ドラフトの中身を発表した"http://www.nfl.com/news/story/0ap3000001018652/article/"ので、オブラ・ディン号のネタバレ考察は1回休み。Over The CapのNick Korteが自身の予想との答え合わせをしている"https://overthecap.com/evaluation-of-the-2019-compensatory-picks-projection/"ので、今回はそちらをチェックしてみよう。32人中28人についてはチームと補償ピック巡が的中しており、さらに32人枠に入らないところまで含めれば39人のうち33人は正解だったという。
 違っていたのは、まず補償ピックでも最後の2人。RedskinsとCardinalsのこの2枠に関して、彼の事前予想"https://overthecap.com/projecting-the-2019-compensatory-picks/"では32人枠から外れると見ていた。実際には彼らが滑り込んだ分だけ、当初予想32人のうち2人分が実際には補償対象から外れたことになる。そのため32人枠外で最も可能性が高いと見ていたのがRedskinsとCardinalsが滑り込む形になり、Cardinalsは全体1位とMr. Irrelevantの両方の指名権を持つことになった。
 次に補償対象は的中したのだが、指名巡が間違っていたのがGiantsの5巡とPatriotsの6巡。ただし事前予想の段階でGiantsの4巡、Patriotsの5巡を含むいくつかの指名権については下にずれる可能性があることを指摘している(Players On The Cutoff Bubbles参照)ため、的中はしなかったが想定の範囲だということはできる。
 重要な違いは、32人枠に入ると予想していた2つの指名権(GiantsとEagles各1つずつ)が消えてなくなったことだろう。そのうち1つはMike Wallaceの分であり、これについてはやはりKorteは事前予想の段階で予想と違う結果が出てくる可能性に言及している(Qualifying/Valuation Questions参照)。EaglesとWallaceとの契約が補償対象になるかどうか、という判断に絡む問題だ。
 EaglesはWallaceと契約するにあたり、まず体重200ポンドの彼が「250ポンド以下の体重を維持できればボーナスを与える」という条項を入れた。体重260ポンドの人間に10ポンドの減量を課すならともかく、Wallaceの場合は名目的にはボーナスだが実際にはほぼ保証額とみなしていい条項である。EaglesのGMがこのような契約を結んだのは、契約のうちボーナス部分が増えればWallaceが補償対象FAから外れる可能性があると踏んだからだそうだ。
 Eaglesは他の手段"https://twitter.com/RoobNBCS/status/979109836716683264"も含め、Wallaceを補償対象FAから外そうと色々試みたという。Korteは一応、これらの取り組みがうまくいけばWallaceは補償対象FAでなくなり、EaglesがFAで失った選手の相殺対象にはならないという前提で予想した。ただしリーグ側がそうでないと判断しても「驚くことはない」とも述べている。つまり彼についてもまた予想された範囲内の結果だったことになる。
 ちなみにWallaceが補償対象FAになることで彼を失ったRavensの補償ドラフト権が1つ増える可能性もあったが、実際にはWallaceは32人枠には入らず、Ravensの補償ドラフトは3巡の1つにとどまった。それでもRavensはこれまで最も多くの補償ドラフト権を得たチームの位置は譲っていない"https://profootballtalk.nbcsports.com/2019/02/22/ravens-have-most-compensatory-picks-in-history/"。彼らの次に多いのはPackersとCowboysだそうだ。
 そしてKorteの予想が外れた最後の1つがGiantsだ。こちらについてはKorteは事前に予想できていなかった。5巡で予想していたドラフト権が6巡になった例としては上にも紹介したPatriotsの事例があったが、それ以外にGiantsの5巡指名も同じく6巡に下がってしまい、それが補償対象FAの相殺に影響を及ぼしたのだ。
 記事の最後に事前予想段階と実際に発表されたGiantsの補償対象FAの相殺表が載っている。当初、KorteはKennardが5巡指名権に相当すると考えた。この場合、6巡相当と予想されるMartinによって相殺されるのは7巡のCockrellであり、Kennardの補償ドラフト権はGiantsの手元に残ることになる。だから事前予想段階ではKennard分の補償ドラフト権としてGiantsは5巡を手に入れらると見ていた。
 しかしKennardの補償が6巡相当だと話は違ってくる。手に入れたMartinと相殺されるのはKennardとなり、代わりにGiantsの手元に残るのはGeno Smithによって入手できる7巡相当の分だけになる。しかもSmithの分は32人枠からはみ出てしまうため、実際には期待していた補償ドラフト権が期待より1つ減ることになる。なかなか興味深い話だ。
 以上、いくつか間違いがあったとはいえ、全体としては高い的中率だったとみていいだろう"https://twitter.com/Jason_OTC/status/1099060864659931136"。補償ドラフトを睨んだ第10週前時点での選手のカット"https://blogs.yahoo.co.jp/desaixjp/56814527.html"も想定通りの効果をもたらしており、KorteによるNFLの制度分析がかなり精度の高いものであることが示された。今後も引き続き、彼の予想は十分に役立つことだろう。
 補償ドラフトが固まったのを受けてOver The Capのドラフトページ"https://overthecap.com/draft/"も更新されている。このページには予想されるルーキーたちのキャップヒットも載っているため、各チームがルーキーたちのためにどのくらいのキャップを空ける必要があるかも推定できる。ドラフト当日までドラフト権トレードが行われるから、正確に見積もるのは無理だけど。

 なお今回の補償ドラフト権をApproximate Valueに計算しなおすとこちら"https://twitter.com/DanPizzuta/status/1099037520648695808"のようになる。Super Bowlに勝ったチームが最多の、負けたもののそこまでは進んだチームが2番目に多いAVを得られる計算だ。Patriotsは今年のドラフトで実に12個ものドラフト権を持っており"https://twitter.com/patscap/status/1099058245862334464"、それだけ色々なことができる状態にある。
 ドラフト全体"https://twitter.com/patscap/status/1099056601300955138"についてAFC東の他チームを見ると、Billsのドラフト指名権は10個、Dolphinsは7つ、Jetsが6つとなっている。Patriotsは数が最多で、地区最下位のJetsはその半分しかない。されにそれぞれのドラフト権についてAV"http://www.footballperspective.com/draft-value-chart/"を調べると、AFC東のドラフト価値は以下のようになる。

Bills 53.8
Patriots 51.7
Jets 49.4
Dolphins 43.4

 地区最下位のJetsより圧倒的な地区首位だったPatriotsの方が高くなっている。地区内ではかろうじてBillsがPatsを上回っているだけで、Dolphinsなどはかなり低い。今シーズンのDolphinsに関してはタンキングを狙っているとの説もある"https://larrybrownsports.com/football/miami-dolphins-planning-tank-next-season/482706"が、そのために必要なドラフト資源が十分とは言えないわけだ。
 ドラフト資源をできるだけ保ちつつ戦力を増やす方法としてpick-swap tradesがある、と指摘しているのがこちらのツイート"https://twitter.com/evansilva/status/1096078210691936256"。Patriotsは昨年、5人の選手をトレードで手に入れたが、いずれのケースもこちらからはドラフト権を1つ渡し、相手からは選手&ドラフト権の組み合わせをもらっている。当初は「条件付き」と言われていたGordonのトレードも、実際には7巡と一緒にもらうことが分かっている"https://www.patspulpit.com/2019/2/19/18230186/"。
 この方法を使えば、選手を手に入れる際にドラフト権の順番は下がるものの、数自体は失わずに済む。Patriotsは2011年以降、この方法で計13人の選手を手に入れており、その中にはAquib TalibやMartellus Bennett、Kyle Van Noyといった選手たちもいる。一方、同地区内の他チームを見るとこの方法で手に入れた選手数はBillsが0人、Dolphinsが3人、Jetsは1人しかいない。Patsのやり口をまねる余地は、まだ色々とあるのではなかろうか。
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