Folesとタグ

 Super Bowlが終わり、既に各チームは来シーズンに向けて動き出している。まだリーグ新年度には入っていないものの、既に選手のカットを始めたところが出てきた"http://www.nfl.com/news/story/0ap3000001017154/article/"ほか、Folesについて来シーズンのオプションを巡るやり取りも行われている"http://www.nfl.com/news/story/0ap3000001017109/article/"。
 各チームのフロントにとってはシーズンオフこそが繁忙期。それにあわせてOver The Capも忙しくなっている。既にQB"https://overthecap.com/2019-potential-cuts-quarterback/"をはじめ、RB"https://overthecap.com/2019-potential-cuts-running-back/"、WR"https://overthecap.com/2019-potential-cuts-wide-receiver/"、TE"https://overthecap.com/2019-potential-cuts-tight-end/"、OT"https://overthecap.com/2019-potential-cuts-offensive-tackle/"に関して「カットされる可能性がある選手一覧」を掲載している。
 QBで真っ先にカット候補に挙がっているのがJacksonに先発の座を奪われたFlacco。Flaccoのこれまでの契約は最近のNFLの中でも失敗作の最たるものであり、偉大なGMであるNewsomeでも間違いを犯すことを示す一例だ。それでも彼に関してはいくらかのトレード価値が残されているのではと書かれているあたり、他の明確に先発失格なQBたちよりマシではある。
 2番手に出てくるBortlesにはトレード価値はあるまい。彼との契約は「サラリーキャップにおける目障りなもの」とまで言われてしまっており、カット以外にはサラリーを減らして他のQBと競争させる道くらいしかないという。3番手のTannehillも同じで、サラリーを減らす手は残っているが「おそらく次へ進むべき時」と言われている。昨年のオフにやらかしたリストラ(という名の負担の先送り)のせいで、彼の契約もまた酷いことになっているためだ。
 何のためにRaidersがトレードまでして手に入れたのかよく分からないMcCarronについても、カットの候補に挙がっている。単なる控えQBならもっと安いオプションが見つかるだろう、というのがここでの指摘だ。Eli Manningについてはカット候補に出しているものの、実際はGiantsに残る可能性の方が高いという見立て。昨年4巡で指名したLaulettaはフィールド外のトラブルでチームから罰金を科せられているそうで"http://www.espn.com/nfl/story/_/id/25770396/"、ポストEliのためにも今年はきちんとドラフトでQBを指名する必要がありそう。
 最後にOver The Capがカット候補に挙げているのはKeenumだ。ただし一番最後に紹介していることからも分かるように、実際にカットされる確率はそれほど高くないように思える。彼はなお7ミリオンの保証額をもらうことになっており、単に去るだけの選手にこれだけのサラリーを与えるとは考えにくい、のだそうだ。もちろんもっと魅力的な選手が市場に出てくれば話は別だが、そうでない限りもう1年彼にやらせてみる可能性は十分ある。

 こうした情報を前提に、このオフのQB市場について想像してみよう。需要側を見るならスターターがいなくなるのはJaguarsとDolphinsにとどまりそう。RavensはFlaccoをJacksonに交代させるだけだし、GiantsやBroncosは現在のQBに引き続きプレイさせることが考えられる。加えて「先発失格」ではなく怪我によって2019シーズンの先発QBのポジションが空くRedskinsも需要側に入る。それ以外にNewtonが手術を受けて19シーズンを休むのではないかとの推測も出ていたが、現時点では戻ってくると思われているようだ"http://www.espn.com/nfl/story/_/id/25913355/"。
 では供給側はどうだろうか。ベテランでは最初に紹介したFolesと、Ravensを去るであろうFlacco、さらにFAとなるTaylor、Bridgewaterあたりが先発候補になりそうな選手たちだ。加えてドラフト1巡で3~4人のQBが指名されると見られており"http://www.nfl.com/draft/2019/mock-drafts"、このまま行くと昨年に続いて需給の緩い状況が続きそう。新人に頼る場合でも、同時にそれなりのつなぎQBを手配することが可能に見える。
 需給が緩いということは売り手にとって不利だ。一番割を食うのは市場に出てくるベテランQBたちの中でも最も高額契約が期待できそうなFolesだろう。彼は昨年もトレードの噂が出たものの、結局引き受けるところがなくて引き続きEaglesのバックアップを務めた。結果的にはチームにとっても彼を残して正解だったのだが、今年はそうはいかない。Folesをどう扱うかはEaglesにとってこのオフ最初の大きな課題になるだろう。
 もともとEaglesはFolesに対して2019シーズン以降の契約をどうするかについてオプションを持っていた。チームがこのオプションをピックすればFolesは19~21シーズンに20ミリオン、29ミリオン、29ミリオンのベースサラリーを得られることになっており、そしてEaglesはこのオプションを行使した。彼をチームに残すことが目的ではなく、彼を契約下においてトレードできるようにするためだ。それに対しFolesは2ミリオンを支払うことでチーム側のオプションを無効化した。つまり現時点でFolesとEaglesの契約は新年度には期限切れとなり、Folesは晴れてFAになる。
 ここまでの動きは予想通りで、問題はこれからだ。実はEaglesはFolesに対してフランチャイズタグを貼るつもりだ、という報道がある"http://www.espn.com/nfl/story/_/id/25908384/"。タグを貼ることで彼を引き続き契約下におき、そのうえでトレードに出すというのが彼らの狙い。トレードの対価はドラフト3巡程度を想定しているという。タグを貼る期間は2月19日~3月5日であり、トレードの解禁は3月13日から"http://www.espn.com/nfl/story/_/id/25923707/"となっている。
 このEaglesによるタグの使用は、果たして適切なのだろうか。もちろんそれにはリスクとリターンがある。FAで出て行かれるのではなく、トレードに成功すれば今年のドラフト指名権が増えるというメリットがある。またFAの場合、Folesが同地区の他チームに移籍する可能性があるのに対し、トレードならそれを防ぐことが可能。一方、FAの場合は補償ドラフトがあるものの、どの巡になるかはこちらでは決められないうえに、指名権が使えるのも来年になってからだ。
 だがタグを貼ることにはリスクもある。元代理人が指摘している"https://www.cbssports.com/nfl/news/agents-take-if-eagles-use-the-franchise-tag-on-nick-foles-heres-a-look-at-possible-risks-rewards/"ように、フランチャイズテンダーに署名するということは、Folesに長期契約を結ぶつもりがなく、2020年には改めてFAになることを意図していると取られる可能性があるからだ。潜在的なトレード相手がそれを嫌がる可能性がある。
 Folesがフランチャイズテンダーに署名しない場合にも問題は発生する。トレード先の選択に対してFoles側に事実上の拒否権が発生するのだ。Eaglesにとっていいトレード相手でも、Folesが行きたくないチーム(例えばこれから再建に入るような弱体チーム)であれば彼が署名を拒否することでトレードをご破算にさせることが可能。実際に過去にもそういった例があったという。
 トレードが成立しても期待したようなドラフト権が得られないかもしれない。昨年、DolphinsはLandryに対して16ミリオン近いフランチャイズタグを貼ったが、結局それを昨年の4巡及び今年の7巡と交換でBrownsにトレードに出した"https://www.sbnation.com/2018/3/9/17048396/"。もしタグを貼ることなく、Landryが現在と同額の契約(年平均15.1ミリオン)をFAで手に入れていれば、Dolphinsは今年の3巡補償ドラフトを手に入れていたはず。むしろそちらの方がドラフト価値は大きいとも考えられる。
 もっと問題になるのはそもそもトレード自体に失敗するケースだ。その場合Eaglesは控えQBに対して25ミリオン、つまりWilsonより少し低く、NewtonやRoethlisbergerより少し高い金額をキャップヒットに計上することになる。安いルーキー契約を生かしたチーム作りは不可能と化す。それに、そもそもタグを貼るということは新年度入りの時点で彼の約25ミリオンをキャップ内に抑える義務が生じることも意味する。ただでさえキャップマネジメントが楽ではない"https://overthecap.com/salary-cap/philadelphia-eagles/"Eaglesにとっては、タグを貼ること自体が大きな負担になるのだ。
 それに対し、FolesがFAとして出て行く場合のリスクはずっと小さい。おそらく最大の問題は同地区他チームに移籍することであり、それ以外では補償ドラフトの順番が変わる程度だ。同地区との対戦は結局のところ16試合中の2試合に過ぎず、そのリスクを恐れてチーム作りの基礎をひっくり返してしまうのは、果たして賢明な策と言えるだろうか。
 上に紹介した元代理人は「フランチャイズタグに存在する潜在的な落とし穴」を理由に、EaglesはFolesにタグを貼らないと予想していた"https://www.cbssports.com/nfl/news/agents-take-making-sense-of-nick-foles-contract-with-eagles-and-what-happens-next/"。だがその後で彼にタグを貼るという報道が出てきたため状況は少し複雑になっている。この元代理人はFolesが締結できる契約として年平均20~23.5ミリオン程度を想定しており、またMooreも「20ミリオン以下」"https://twitter.com/ZackMooreNFL/status/1093043379120861189"と述べるなど、Folesの評価はフランチャイズタグで想定される金額より低い。
 それでもタグを貼りに行くだけのメリットがあるのか、今年の3巡指名権はそこまでリスクを冒してでも取りにいくべきものなのか。個人的には極めて疑問だ。タグを貼る期限の到来までによほどトレード成功の確信が持てなければ、結局Eaglesはタグを貼らずに済ませるのではなかろうか。
スポンサーサイト



コメント

非公開コメント

トラックバック