SB週間

 本題に入る前に1つ。Brownsの暴露記事"http://www.espn.com/nfl/story/_/id/25797430/"が話題になっている。確かに面白いのだが、長いので読むのは大変かもしれない。とりあえず「#dp」で検索し、その周辺だけでも読んでもらえば笑えることだろう。

 今週は(一部の)ファンが待ち望んでいたSB、つまりシニアボウルウイークだ"https://twitter.com/billsdynasty/status/1087206418178990081"。現時点でまだシーズンが続いているのは32チームのうち2つだけ。残る30チームのファンにとっては既にシーズンは終わっているわけで、そりゃ「SB=シニアボウル」"https://twitter.com/huber_mambaken/status/1085494985070239745"という見解が出てくるのも仕方ない。
 正直このあたりはNFLのマーケティングのうまさを褒めるべきなんだろう。一部チームのファン以外が関心を失っても仕方ない時期に次のネタを提供し、さらにオフシーズン最大の見世物であるドラフトまでつなげていく。最大のコンテンツであるゲームが提供できない時にもなおファンをこちらに振り向かせようとする"https://twitter.com/umibouzu217/status/956846079374278656"ところは、ビジネス上手というほかない。
 実のところ、冷静に考えればシニアボウルは単なるカレッジプレイヤーのエキシビションマッチにすぎない。NFLで言うならPro Bowlだったりプレシーズンゲーム並みの質を期待するのが当然で、ゲームとして面白いわけではなかろうし、選手の能力を見極める場としても正直あまり適切だとは思えない。プロのコーチたちがゲームに参加するので彼らにとっては色々と参考になるところはあるんだろうが、ファンが見て楽しいイベントかと言われると返答に困る。
 それでもシニアボウルの練習までが記事になり、それを喜んで読む読者がいるのは事実。中身はどうあれ、コンテンツとして需要があるのは間違いない。さらにその流れをシーズン終了後もコンバイン、FA解禁、そしてドラフトとつないでいくことで、4月いっぱいまではファンを引き留めることがある程度はできるようになっている。NFLはシーズンが短いとよく言われるが、実際にはオフシーズンにもかなり多くのコンテンツを用意し、ファンを飽きさせないよう工夫しているわけだ。
 といってもオフシーズンの動きが目立てばいいというわけではない。いやむしろ「春の勝者は秋の敗者」となる恐れの方が高いように思う。目玉FA選手と多額の契約を結んだり、派手なトレードアップにドラフト資源をつぎ込めば、それは人目を引くし数多く報道もされる。でもそういう行動はチーム力を上げるうえでは必ずしもプラスになるとは限らない、というかマイナスになることの方が多い。
 オフシーズンが大切なのは間違いないし、必要な人材確保のために時にはアグレッシブな投資をする必要もある。だが多くの場合目玉FA選手を競り落としたチームは「落札者の呪い」に見舞われる。そして宝くじのようなドラフトにおいては、トレードアップで指名権を減らすよりもむしろトレードダウンで指名権を増やして「下手な鉄砲も数撃ちゃ当たる」戦略を取った方が期待値は大きい。

 だが最近はそれほど話が簡単でもなくなっている。まずFAやドラフトだけでなく選手のトレードが増えてきており、それがチーム作りで大きな役割を果たすようになってきたことが挙げられる。昔は選手を交えたトレードなんてPatriotsくらいしか積極的にやるチームはなかったのだが、最近はそれも合わせてチーム作りを考えるのが当たり前になりつつある。
 また最近はトレードアップで手に入れた1巡上位で期待通りに活躍するQBが何人か出てきていることも、こうした傾向を強めている。RamsはトレードアップしてGoffを、EaglesはWentzを手に入れ、どちらもSuper Bowlにたどり着いた。またTexansもトレードアップで手に入れたWatsonをシグナルコーラーとしてプレイオフに到達。こうした流れを見ると、むしろトレードアップがいいことのように見えてくるから不思議だ。
 ただしEaglesとRamsは、実際にはトレードアップで失った指名権の一部を別の方法で穴埋めしている。その際に使われたのがいずれもBradfordだったのが面白いところ。RamsはBradfordを送り出して手に入れた2巡指名権をトレードアップのために使っているし、Eaglesはトレードアップで失った翌年の1巡指名権をBradfordと交換で手に入れ直している。彼らが短期間で優勝争いに絡むようになったのも、ドラフト権の喪失をそのような方法で穴埋めできたからだろう。Bradfordは彼らにとって幸運の神だった。
 彼らの成功を見たためか、2018年にはJets、Bills、CardinalsがトレードアップしてQBを手に入れた。この対応が成功だったかどうかを見るためにはもう少し待つ必要がありそうだが、強くなるためにはそうしたギャンブルも必要という認識は、おそらくリーグ内でも広まっているのだろう。ひたすらトレードダウンを続けてtankingしたBrownsと比較し、どちらのやり方が最終的に大きな成功を収めるかを見物するのも面白そうだ。

 またオフシーズン最大のヤマ場となるドラフトの順番もかなり固まって来た。Super Bowlに出る2チーム以外の通常ドラフトはほぼ決定している"https://en.wikipedia.org/wiki/2019_NFL_Draft"し、補償ピックについてもOver The Capが予想を既に出している"https://overthecap.com/projecting-the-2019-compensatory-picks/"。細かいところが固まるのはまだこれからだが、大雑把な方向性は見えてきたと言っていいだろう。
 1巡指名権のうち既にトレード済みなのは3つあるが、いずれもプレイオフ出場チームが放出したものなので、指名権は1巡下位にとどまっている。主力を出して指名権集めに奔走したRaidersが手に入れられたのは、残念ながら全体24位と27位。またPackersはSaintsから全体30位を手に入れることになった。もちろんドラフト当日までにさらにトレードがあるのは間違いないから、今後もまだ順番は変わると思っていた方がいい。
 現時点で2巡指名を複数持っているのはColts、Eagles、Texans、Patriotsの4チーム。逆に1巡と2巡の両方を既に手放しているのがBearsであり、彼らは今年のドラフトでは3巡まで待たなければ指名ができない。おまけにBearsはMackのために来年のドラフト1巡も譲っているわけで、それだけ将来を犠牲にして今に賭けている姿勢が窺える。そう考えると今年のプレイオフであっさり敗退したのはかなり残念と言ってもいいかもしれない。
 3巡を複数持っているのはPatriotsとJetsで、Giantsは昨年の補充ドラフトで指名を行った結果として今年の3巡指名権を失っている。そして補償ピックを見ると3巡指名権を2つ手に入れると見られているのがRamsとPatriots。つまりPatsは今年の3巡で実に4つの指名権を確保していることになる。
 このあたりの指名権は、こちら"https://blogs.yahoo.co.jp/desaixjp/56819085.html"で紹介した「ドラフトのちょっとしたスイートスポット」にもあたる。実際、割安な選手が指名できる11位から128位までの指名権を持っている数を見ると、最多はPatriotsの7つ。彼らがシーズン中だけでなく、オフシーズンに向けてもきちんと手を打っている様子が分かる。
 そのPatriotsの次に多いのはPackersの6つ。RaidersやRams、Colts、Panthersなどがそれに続く5つの指名権を確保している。逆に少ないのはシーズン中の補強に力を入れていたBearsやCowboys(2つ)、そしてもとからあまり指名権を大事にしない傾向が強いSaints(1つ)あたり。後者3チームはいずれもプレイオフで敗れてしまっており、優勝へ残された時間が減っているとも考えられる。
 4~5巡でもトレード済みの指名権が4つずつあるが、6~7巡になるとその数はさらに膨れ上がる。このあたりはトレードの調整用にかなり安易にやり取りされており、ある7巡指名権などは既にSteelersからBrowns、Dolphinsを経てLionsに譲渡済み。当然、ドラフト当日にかけてさらにトレードは増えるだろうから、最終的にどのチームが何人指名するか今はまだ見通せない。そのあたりも含め、ファンにとってはエンタメの一種として消費されることになるのだろう。
 いずれにせよオフシーズンの動きには各チームの目指す方向性が露呈することが多い。Patriotsはこちら"https://www.theringer.com/nfl/2019/1/15/18184041/"でも指摘されているように、その時のリーグのトレンドに反する取り組みを進め「自らのイノベーションによって最新のトレンドを打ち負かす」ことに力点を置いたチーム作りをしている。だからこのオフも、どこかの段階でBelichickの判断に驚かされる場面があると思っておくべきだろう。それもまた一種のエンタメと割り切って楽しむのが、ファンとしてのあるべき姿なのかもしれない。
スポンサーサイト



コメント

非公開コメント

トラックバック