これまでChampionshipでOTに突入した事例は、直近では2014シーズンのPackers @ Seahawksがあり、21世紀に入ってからだと4試合がそうだった。面白いことにいずれもNFCのゲーム。かつてAFCのChampionshipでOTになった事例は1つしかない。両試合ともOTになったのはもちろん初めて、というかプレイオフで連続OTは初めてらしく、最大の勝者は何といってもこれだけ面白いゲームを連続して見ることができたファンということになる。
実力的には勝った側も負けた側もおそらくほとんど差はなかったに違いない。プレイオフは試合数が少なく、おまけにトーナメントということでツキの要素が大きくなる。100回プレイすればホームのSaintsやChiefsの方が勝つ回数は多かったかもしれないが、今回の試合に限ってはどちらもアウェイが拾うことになっただけ、とも言える。
レギュラーシーズンも含めたOTの成績(1940シーズン以降)を見るとChiefsが19勝22敗2分、Ramsは15勝14敗2分、Patriotsは21勝23敗、そしてSaintsが15勝15敗となる。特にOTに強いチームというのが存在するわけでもないことが分かる。もつれたゲームで勝つか負けるかについては、長い目で見れば偶然の働く要素が多いと考えたくなるデータだ。優勝したければ強くなることは当然に必要だが、同時に幸運にもならなければならない。
ANY/Aで見るとRamsが6.57に対してSaintsが5.51とこちらはパス効率通りの結果となった(Goffは6.44、Breesは5.64)。数字を見る限りRamsディフェンスがSaintsのパスオフェンスを抑えきったところが大きな勝因だろうか。Goffの成績自体は平均だが、悪いGoffが顔を出さなくて済んだのは大きい。
Championship前にそれを試みたのがFootball Perspective。今シーズンのApproximate Valueを使い、この4チームがどのように選手を集めて強いチームを作り上げてきたかについて、4回に分けてまとめている。ある年に手に入れた選手(ドラフトとそれ以外)がどのくらいのAVを積み上げたかについて分析したもので、それぞれに特徴が出ているので紹介しよう。
記事中では2015年ドラフトの、特に4巡以降における当たりが大きく寄与していることを指摘している。一般的に戦力になるのは上位指名選手たちであり、下位指名のドラフトはスターターになるだけでも儲けもの。そんな選手たちの中から複数のstealをなし遂げたことがこのチームにとって大きなプラスになっているというわけだ。
Saintsはもともとドラフトで極めて絞り込んだ指名をすることで知られるチームだ。直近の4年間に彼らが指名したのは28人と、例えばBrowns(45人)に比べるとかなり少ない。こうした指名法は基本的にうまく行かないことが多い(Breesを抱えながらなかなか勝てなかったのもそれが理由)のだが、たまに的中した年があるとこのように大きなプラスを得ることができる。
Patriotsとの違いを敢えて言うなら、ドラフト選手の寄与度が彼らより高めというあたりだろうか。その意味ではPatriotsに比べて「今ここ重視」感はある。ただしそれ以外のチームに比べれば毎年均等に戦力を追加しているのは間違いないし、実際彼らは現在6シーズン連続で勝ち越すなど、リーグでも強豪の地位を保持している。長期にわたって強豪であり続けるPatriotsほどではないにせよ、長持ちするチーム作りに取り組んでいると見られる。
グラフを見ても4チームの中で最も横軸が狭く、基本的に若いチームであることが窺える。問題は短期集中型のチーム作りによるプラス効果がいつまで続くか。今いる選手たちのサラリーが上がり、あるいは彼らがFAになるとき、うまく「長期安定」しているPatriotsやChiefsのような形状にグラフを変えられるかどうかが重要だ。もちろんそんなことは無視して目先の勝利に集中する手もある。その意味では今シーズンはまさに大チャンスだろう。
コメント
No title
2019/01/24 URL 編集
No title
勝率との関係についてはよくわかりません。ただランとタイムコントロール、勝率それぞれの相関が高い場合、それが「リードしたチームがランで時間を潰した結果」でしかない可能性があることは踏まえておいた方がいいでしょう。「ランで時間をコントロールして勝った」のか、「勝っていたからランで時間を潰した」のか、そのあたりをきちんと見極める必要がありそうです。
2019/01/24 URL 編集
No title
ありがとうございます
なるほど!です3Qまでをとれればあるいは?ということですねありがとうございます。しかし偉大なパス成功率ですね(笑)
2019/01/25 URL 編集
No title
ランの比率が大きく増えるのはリードしている時で、同点時やリードされている時は圧倒的にパスに頼っているのがリーグ全体の傾向です。
2019/01/25 URL 編集