ドラフト

 久しぶりにNFLの話題。相変わらずNew Englandのドラフトは予測不能だ。今年は初日にたった1人しか指名せず、他のドラフト権は次々とトレードで放出。逆に二日目には一気に8人も指名している。さぞやルーキーの契約は楽に進むことだろう。控えとST候補を確保できればそれで十分という判断だったようだ。
 しかし何より今年のドラフト最大の特徴は、TEの指名がなかったことだろう。過去7年、Belichick時代においては決して欠かすことなく指名を続けていたTEが、とうとうゼロである。一方で指名することの少なかったLBが2人いるのも目立っているが、こちらは順位(6巡と7巡)から見ても単なるST候補なのであまり驚く必要はあるまい。シーズンが始まる頃には残っていない可能性もあるし。
 一方、トレードしたドラフト権は一部は来年のドラフト権に、そして一部はRandy Mossに化けた。という訳で早速Mossのデータを調べてみよう。前に他のWRを調べた時と同様、左から年平均DPAR、同DVOA、同パスアテンプト数、同レシーブ数、レシーブ率、年平均獲得ヤード、同YPA、同TD数である。

Moss 21.2 +0.1 133.0 73.6 55.3% 1069.2 8.04 9.8

 他のWRと比べるとどうだろうか。Mossが来る前にはナンバー1と2だと思われていた2人のWRと比べてみよう。

Stallworth 12.1 +6.1 87.4 46.6 53.3% 710.2 8.13 5.8
Welker 9.6 +4.8 76.0 48.0 63.2% 560.5 7.38 0.5

 流石に実績ではトップクラスだ。問題はこの5年間、Mossの成績が基本的に右肩下がりだったこと、及びレシーブ率の低さあたりだろう。このチームのプレイスタイルに合う選手だとも思えないのだが、代償がドラフト4巡でおまけにサラリー再構築にも応じるそうだから、悪い契約ではなさそう。失敗してもリスクは最少、成功すれば大儲けだ。レシーバーに関しては。
 そう、確かにこれでBradyのターゲットはもの凄く豊富になった。でもこのチームの課題がパスオフェンスだったとは思えない。確かにBranchとGivensよりは信頼性に欠けるWRに足を引っ張られたことは確かだが、それなら穴埋めのWRはもっとレシーブ率が高くないと拙い。補強の方向性が理解できない。
 そして、最大の問題はいくらWRをかき集めても、昨シーズン終盤に崩壊したランディフェンスの向上にはつながらないこと。紙細工ランオフェンスに対しては多少の助けになるものの、Dillonがいなくなったことを踏まえるなら収支トントンでしかない。どうもBelichickはThomasの補充だけでLBの穴埋めは終わったと考えているようだ。正直言ってかなり不安。昨年のようにキーになる選手が一人負傷すればそこからディフェンスが崩壊するリスクが残っていると思う。
 もう一つ、ディフェンス崩壊のリスクがあるのはDB。Samuelに多額のサラリーを払うのはおそらく間違った選択なので、最悪の場合、彼が出て行くことも視野にいれなければならない。そのためのドラフトが1巡指名のBrandon Meriwheatherなのだろう。ただ、Samuel以外にもDBには年寄りHarrisonとか、プレイが不安定になってきたWilsonとか穴になりそうな部分が多々ある。Belichickは割とドラフトでのDB指名は積極的にやってきた筈だが、今年は必要ないと思っているのだろうか。2年前の悪夢再現にならなければいいのだが。
 唯一ほっとしたのが、来年のドラフト指名権を2つゲットしたこと。これを見る限り、BelichickとPioliは来年もこのチームで指揮を執るつもりなのだろう。今年限りの一発勝負ドラフトでなく、長期ビジョンに基づく指名なら歓迎だ。

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