2018 WC round

 ワイルドカードが始まる前にプレイオフ出場チーム絡みの数字を色々と見ておこう。今シーズンは珍しいことに得失点差上位がほぼそのままプレイオフに出場した。AFCではトップのChiefs(+144)から6位のTexans(+86)までがプレイオフにたどり着き、7番手だったSteelers(+68)があと僅かで届かず。NFCではVikings(+19)より少ないCowboys(+15)がたどり着いたのが唯一の例外で、後はこちらも得失点上位がきちんとプレイオフに出ることになる。
 これが昨シーズンだとAFCで得失点差がマイナスのTitans(-22)とBills(-57)がプレイオフに出る一方、Ravens(+92)とChargers(+83)が出損ねている。その前年にはNFCでLions(-12)が出場する一方でCardinals(+56)が負け越してしまっているし、AFCでもDolphins(-17)がワイルドカードになった一方でBroncos(+36)が出られなくなっている。得失点差マイナスのチームがプレイオフに出てこないのは2015シーズン以来だ。
 次にヤード。以前にも紹介した"https://blogs.yahoo.co.jp/desaixjp/56175141.html"通り、獲得ヤードと喪失ヤードの差がマイナスのチームがプレイオフを勝ち抜いてSuper Bowlを制した例はほとんどない。だからそうしたチームについてはせっかくプレイオフにたどり着いてもその先が厳しいと言えるのだが、今年はこの条件に当てはまるチームがEaglesしかない。あとはSeahawksがちょうどゼロになっているのが目立つくらいで、大半のチームはプラスをキープしている。
 逆に言えばどのチームにもプレイオフで勝ち上がって栄冠をつかむ可能性が残されていることを意味する。実際FiveThirtyEightの記事"https://fivethirtyeight.com/features/with-no-runaway-favorites-the-nfl-playoffs-should-be-wild/"でも、Elo ratingsを使った優勝確率が例年に比べて均等に分布していることを指摘。あまり実力のないチームが幸運によってプレイオフにたどり着いた結果、プレイオフチーム間の実力差が開くという現象が今年は起きていないことが分かる。

 次にドライブ指数で見てみよう(昨シーズンの例はこちら"https://blogs.yahoo.co.jp/desaixjp/56563598.html")。実はこちらの数字はかなり得失点差とは異なり、上位チームでプレイオフにたどり着けなかったところが増える。例えばSteelersは+4.5とColtsと並び7位タイに入っているし、Vikingsは+3.6で10位、Panthersは+0.9で13位となっている。一方でCowboys(-0.9)とSeahawks(-1.2)の2チームがマイナスに沈んでおり、NFCの方は格差が大きいと考えられる。
 このデータで見た場合、実はトップに顔を出すのはRavens(+8.8)だ。昨シーズンに比べればトップといっても数字が小さいのだが、ディフェンスのドライブ指数ではBearsを僅差でかわして1位になったのが貢献している。そのBearsはオフェンスがあまりいい数字でないという問題はあるものの、やはりディフェンスの健闘によって全体のドライブ指数で6位(+6.0)となかなかいいポジションにいる。
 AFCでシード1位となっているChiefsは全体2位(+7.8)、NFCのSaintsは4位(+7.2)だ。どちらもオフェンスはいい数字を出しているがディフェンスが今ひとつなのがトップになれなかった要因。両者に挟まれた3位は、意外なことにTexans(+7.2)。こちらもRavensやBears同様、ディフェンスがチームを引っ張っている。単純にドライブ指数のうちヤードだけ見ると最強なのはBillsなのだが、彼らはドライブ開始地点がリーグ最悪となっている。
 5位のRams(+7.1)はSaintsと似たような数字で、要するにオフェンスはいいがディフェンスは今ひとつ。7位にはColts(+4.5)が顔を出しており、やはりオフェンス頼りの傾向がある。Patriotsは9位(+4.3)で、これまたColtsと同じ傾向。11位のChargers(+3.0)はこの2チームからさらにオフェンス、ディフェンスを少し悪くしたような数字になっている。
 ぎりぎりで滑り込んだ感の強いEaglesのドライブ指数は+0.9で全体の13位。オフェンスはTexansより冴えず、ディフェンスはChargersより冴えないというどちらも微妙な成績となっている。ただしマイナスになったCowboysはEaglesよりさらにオフェンス、ディフェンスが悪く、Seahawksはディフェンスは頑張っているがオフェンスがプレイオフ出場チームの中で最弱だ(ディフェンス最弱はChiefs)。
 ドライブ開始地点のデータが優れているのはTexans(+5.8)、Saints(+5.2)、Chiefs(+5.2)など。両カンファレンスのシード1位はSTも強いようだ。逆にプレイオフ出場チームでこの数字が悪いのはCowboys(-2.1)とChargers(-0.4)。前者はともかく後者はカンファレンスでも強豪と見られているチームであり、でも実は意外に弱点になりそうな部分があることが分かる。彼らの最初の対戦相手であるRavensはこの数字が+1.1なので、STがいいフィールドポジションをもたらせば有利に試合を進められる可能性がある。
 オフェンスとディフェンスのヤード差ではトップがそのRavens(+7.7)で、大きく離れてRams(+4.5)、Bears(+4.2)が続く。実はRavensの下にはSteelers(+7.1)がおり、彼らのプレイオフ脱落がどちらかと言えば不運に由来している可能性を窺わせる。逆にこの数字が低いのは何といってもSeahawks(-1.0)。冴えない数字の多いCowboysでもここはプラスを維持しており(+1.2)、オフェンスとディフェンスの両チームはそれなりに仕事をしている様子が分かる。

 最後にオフェンスとディフェンスのANY/Aの差を見てみよう。以前にも指摘した"https://blogs.yahoo.co.jp/desaixjp/56842108.html"通り、今シーズンは6.42と過去最高のANY/Aが記録されている。オフェンスではChiefsとSaintsの2チームが8以上の数字を出した一方、BillsとCardinalsは4未満にとどまるなど格差が大きかった。オフェンスよりは格差が少なくなるディフェンスでもRaidersがほぼ8という酷い数字になった一方、Bearsは4.12というかなり強力な数字を出している。Mackのトレードは極端な結果をもたらしたようだ。
 ANY/Aの差で意外な上位に顔を出したチームとしては、まずVikings(+1.24)がいる。彼らはSaints(+1.13)より1つ上のリーグ6位に顔を出しており、少なくともパスゲームに関しては十分にプレイオフレベルの力を持っていたのだろう。またFalcons(+1.02)も8位になっており、少なくともRyanとJonesはきちんと仕事をしたことが分かる。+0.66で12位になったSteelersのすぐ下に+0.54のBrownsがいるのも興味深い。
 プレイオフ出場の割にこの数字が冴えないのは何といってもCowboys(-0.32の18位)だ。Eagles(+0.41の15位)を含めNFC東のチームはどうもパスに関しては冴えない成績に終わったように見える。STが強力な数字を残したTexansだったが、ANY/Aの差になると+0.50の14位と地味な成績にとどまっている。
 このデータのトップは何といってもChiefs(+2.62)なのだが、それに続くのはBears(+2.29)というパスオフェンスよりパスディフェンスで数字を稼いだチーム。3位以下にはChargers(+1.66)、Patriots(+1.45)、そしてRams(+1.41)というパスオフェンス主体のチームが並ぶのを見ても基本的にこのデータはオフェンス有利に出やすいのが特徴だと思うが、それだけに今シーズンのBearsディフェンスの突出ぶりが窺える。

 以上を踏まえてワイルドカードの組み合わせを考えよう。まずColts @ Texansだが、ANY/AではColtsが上に来る一方、ドライブ指数ではTexansが上。オフェンスのColtsに対してディフェンスのTexansという構図になるが、STで優位にあるTexansがさらに地の利も生かせるため、割と有利な立場にあると言えそうだ。
 次の試合はSeahawks @ Cowboysという、上記ランキングで冴えない2チームの対戦だ。パス関連ではSeahawksの方が上になるがドライブ指数のヤード差を見るとむしろCowboysの方が上で、要するにどっこいどっこい。STの数字が悪いCowboysが、一方でホーム開催という地の利を持っており、この部分でもどちらか一方が大きく優位とは言いがたい。接戦になる可能性を考えておくべきだろう。
 3試合めはChargers @ Ravens。ドライブ指数でトップに立つRavensがChargersを引き離して強いようにも見えるが、一方ANY/Aの差ではChargers(3位)がRavens(11位)を引き離しており、撃ち合いになればどう転ぶか分からない。それでもドライブ開始地点で冴えないChargersが、アウェイであることまで含めると、厳しい立場にあると考えられる。
 ワイルドカードの最終戦はEagles @ Bears。Bearsが色々なデータでディフェンスの強さを見せつけているのに対し、Eaglesにはあまり特徴がない。ドライブ開始地点でもEagles(+0.8)よりBears(+1.8)の方が優れており、おまけに場所はBearsのホームだ。Eaglesのディフェンスが驚異的な奮闘を見せるといったことがあればともかく、基本はBears優位だろう。
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