では実際の三十年戦争における攻城戦はどういうものだったのだろうか。こちら"
http://www.syler.com/SiegeWarfare/index.html"にはイタリア戦争が始まった1494年から三十年戦争の終わる1648年までの攻囲戦について詳しい説明が載っている。大砲の発達によって中世風の城壁が無意味になり、それに対応して低く分厚い土製の城壁が16世紀にイタリアから欧州各地へと広まったこと、及びそれに対する攻撃側の対応が実に細かく書かれている。ヴォーバン登場前の攻囲戦がどんなものかはこちらを読んでもらえばほぼ分かるだろう。
大坂の陣終了後に欧州に渡った日本人の話をフィクションとして描くなら舞台は三十年戦争、という発想は間違っていない。また何度も言う通りマンガはフィクションなのだから、戦闘描写が史実と違ってもそれ自体に問題はない。だが知っている人が見ればPike and Shotでないことは分かってしまうし、それが引っかかってしまう。何しろ中世末期から近代初期の欧州は、火薬兵器の登場と進化によって急激に戦場の現実が変化しており、結果として少し年代が違うと全く描写が異なってしまう時代だ。実はフィクションで取り上げるにはかなり「ハードルの高い」時代であることを、改めて感じさせられた。
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