そのBillsよりも勝率の低いチームが、まだ1勝しかしていないColts、Raiders、Giants、Cardinalsそして49ersだ。中でも得失点差がマイナス66のRaidersは、単に負けが込んでいるだけではなく一方的に負けているわけで、かなり危機的。他にもGiantsではTNFでSolderが炎上していたが、今更彼のサラリーをあげつらっても仕方ない。何しろPatriotsファンが見ても彼のサラリーは高すぎた"
https://blogs.yahoo.co.jp/desaixjp/56624539.html "のだから。
NFLにおける「チーム再建」はNBAやMLBとは違う、というのが最初の指摘。NBAの場合は分かりやすいtankingがしばしば行われるが、それは1人のスターが入ることでチームががらりと変わるスポーツだからであり、またドラフトで将来活躍できる選手を指名しやすいからである(だからNBAではドラフトにくじを採用している)。MLBの場合はそもそもサラリーキャップがなく、収入の少ないチームが活躍した選手を高値で放出して代わりをマイナーの無名選手で埋めるケースがある。でもNFLの場合はどちらも当てはまらない。
筆者はBrownsのような「全面的な立て直し」策は評価していない。NFLにおいてはロースターを作り上げる時間が限られており、そのためゼロから全てを築き上げるのは極めて困難だから、というのがその理由だ。確かにスターターだけで22人という数はバスケットボールや野球よりも多く、もし53人のロースターをドラフトだけで埋めようと思えば7年以上かかる(その間に半数近くはルーキー契約を終えてしまう)。
今いる53人が全員使い物にならないということはほとんどあり得ない。だとすれば全員を放り出すのではなく、使えるピースをうまく残しながら不足分を穴埋めしていくことが必要だろう。つまり常に小規模な再建を続けることが最も望ましいわけで、それをやっている典型例がPatriotsだ。
もちろん簡単に埋まらない不足分は存在する。QBが典型だし、他にこの文章ではOLの能力不足やパスラッシュの欠乏にダメなセカンダリーという組み合わせも挙げている。逆に言えばそういった欠点だけ埋めれば、他のポジションには無理に手を付ける必要はないということだ。EaglesとRamsはQBをドラフトした翌年にはプレイオフに出た。2009シーズンのJetsは新人QBでプレイオフを勝ち進んだ。FlaccoもRyanもRoethlisbergerも若い内から成功を収めた。
2018年に再建のためのドラフトをしたのなら、19シーズンには競争力を身につけていなければならない。その時点を過ぎてもなお苦闘しているのだとしたら、それはチーム作りの方法が間違っている。それがこの文章の主張だ。今いる選手の評価もその視点で行うべきであり、1年後に貢献できるかどうかを見て選手を手元にとどめるか放出するかを考える。Giantsの例で言えば26歳のBeckhamを残すのは当然の判断になるが、Broncosが31歳になるDemaryius Thomasを残すべきかとなると、おそらく話が違ってくる。
QBこそが不足分の場合であっても、NBAのように無理にtankingする必要はない。JetsやBillsがやったようにトレードを駆使してドラフト順位を上げることは可能だし、あるいはBroncosのように新人ではなくKeenumに手を伸ばす方法もある。1シーズンを犠牲にし、山のように黒星を積み上げなくても、不足分を埋めるための対策は打てるのだ。もちろん有能なQBをドラフトで手に入れることが1番ありがたいのは確かだが、ドラフトはcrapshootでもある。対応策は1つではない。
ではGiantsの場合は? OLやセカンダリーも穴埋めは必要だったが、QBに問題があることは明白だった。この3つのポジションのうちFAで埋めることがほぼ不可能なのがQB。そしてGiantsは望んだわけではなかっただろうが、QBが豊富と言われるドラフトで全体2位の指名権を持っていた。まさに2019シーズンやそれ以降はチームのファクターとして計算できなくなるベテランに別れを告げるべき時だったし、実際彼らはPierre-Paulをトレードに出している。
だがEliは残り、プレイを続けている。代わりに指名したBarkleyはいい選手だが、そもそもRBはGiantsにおいて不足していたポジションではない。GiantsはQBの問題ゆえにオフェンスが振るわず、結果としてBeckhamはチーム状態に不満を抱いている。彼のように3~4年は活躍が期待できる選手は、よほど採算に合わないサラリーを要求されているのではない限りチームに残すべきであり、Mackを放出したRaidersのような対応はおかしいのだが、実際には彼のトレードが話題に上るなどGiatnsの対応はちぐはぐなままだ。
今シーズンのGiantsが昨シーズン同様に大きく負け越せば、2019年のドラフトで今度こそQBを指名できるかもしれない。だがその場合は余計な1年を無駄にしたことになる。もし中途半端な負け越しだった場合は、QB指名のためドラフト資源を大量につぎ込むか、あるいは微妙なベテラン(最良のケースでBridgewater)でもう1年プレイすることになる。たとえうまく行ったとしても、Giantsは「全盛期のBeckhamを使える期間」を1年失ったことになる。
Giantsの判断が正当化されるとしたら、18年ドラフトQBたち(除くMayfield)が全員バストだと評価していた場合だろう。これについては現時点ではまだ何とも言えない。いずれにせよGiantsは「競争力を持つための再建」をしなければならないのだが、実際には毎週何らかの破綻が起きているとニュースで報じられるばかり。現時点ではGiantsフロントにできるのは、来年には事態が好転することを望むだけであり、要するにチーム作りに失敗している、というのがこの記事の結論だ。
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