2018 week1

 第1週が終わった。何よりも注目すべきなのはFitzpatrickがANY/Aランキング(14試投以上)でトップに躍り出たことだろう。パス成功率は75%、4TDでインターセプトはゼロ、レーティングはもう少しでカンスト(156.3)と、まさに超一流QBの成績だ。俺たちのSaints defenseが帰ってきた! と見るべきなのか、あるいは先発不在とともに運命のFitzpatrick Cycle"https://imgur.com/r/nyjets/62BHgMJ "が回り始めたと捉えるべきなのか。いずれにせよ部外者にとっては楽しみな展開である。
 逆にANY/Aが低かった方から見るとまずは-3.71というなかなか見られない数字を残したPeterman。ゲームも惨敗に終わり、各種予想におけるBillsの評価の低さ"https://blogs.yahoo.co.jp/desaixjp/56762277.html"を裏付けるような結果となった。Allenの先発抜擢は早そうだ。あとMariota(+0.81)やFoles(+1.64)あたりがこの数字というのはチームにとっても困るところ。もちろんまだ1試合の結果に過ぎないので結論に飛びつく必要はないが。
 ちなみにDYARで見てもトップと最下位は同じ"https://www.footballoutsiders.com/quick-reads/2018/week-1-quick-reads"。ここではFitzpatrickのプレイが1976年のゲームと、Petermanのプレイが1997年のゲームと比較されている。これだけ珍しいものを1つの週にまとめて見られるのは、ある意味で貴重な経験と言えるだろう。
 怪我から復帰したQBたちは明暗分かれた。Rodgersは途中カートで運ばれながらも後半に復帰し逆転を演出。Tannehillは不安定さもあったがどうにか役目は果たした。一方Luckは今週最多のドロップバック(55回)を記録したがANY/AではTannehill以下にとどまり、Watsonは獲得200ヤードに及ばず、BradfordはANY/Aが2.78ととても残念な結果に終わった。
 試合そのもので目立ったのは開幕からいきなり引き分けとなったSteelers @ Brownsと、逆に44点差がついたBills @ Ravens。前者は不調のRoethlisbergerと、その彼よりも低いANY/Aをたたき出したTaylorによる自滅合戦の様相がある。どちらもFGに1回ずつ失敗しているあたりもシュール。というかこちら"https://twitter.com/billbarnwell/status/1038894665804775424"のデータが最もシュール。一方、後者の試合では4人ものQBが入り乱れてプレイしたが、合格点と言えるのはFlaccoのみ。ある意味、昨シーズンのプレイオフを巡る遺恨試合のような組み合わせだったが、結果は一方的すぎた。
 プライムタイムの試合を見ると拙攻合戦のTNF、思い切り盛り上がったSNF、そして2試合続けて一方的な展開を見せられたMNFという具合で、相変わらず日曜夜以外の観客が不憫な展開。とはいえまだ1試合。たとえ歴史的に見てアレな結果"http://www.footballperspective.com/ryan-fitzpatrick-and-nathan-pederman-had-historic-week-1-stats/"が出たとしても、まだこれからどうにでも転ぶ段階であり、あまり一喜一憂しすぎないことだ。何はともあれシーズンの始まりを言祝ぐのがいいんだろう。

 とはいえ喜べないネタもある。SteelersファンにとってはBellがホールドアウトしたままついに開幕週にも出場しなかったことが気に掛かっているに違いない。彼が契約に不満を抱いているのは周知の事実だが、まさかレギュラーシーズンが始まってもチームに加わらない事態に至るとは思ってもみなかった。
 Over The Cap"https://overthecap.com/leveon-bell-miss-the-season-holding-out"によれば今シーズンのBellには契約に関する選択肢はあまりない。タグを貼られた選手が7月15日以降に長期契約を結ぶことはできないし、来シーズンにタグを貼らないでくれと交渉することはできるが、25ミリオンの契約になることを考えるならおそらく何もしなくてもタグはないと見られている。現時点での解雇もSteelersは考えていないだろう。あり得るとしたら契約額の引き上げくらい、というのがOver The Capの分析だ。
 彼は1試合欠場するごとに85万5529ドルの罰金を科せられるが、一方で試合に出れば怪我のリスクが生じる。もし今シーズン、彼が怪我をしたら次の契約は2年25ミリオン程度にとどまるだろう。元気であれば40ミリオンは手に入れられる可能性があるだけに、多額の罰金を払ってでも怪我をするリスクを避けるという理屈は成り立つ、との指摘もある。ただし、この2年40ミリオンという数字はGurley以上のサラリーを支払うチームの存在が前提。本当にそういうチームがあるかどうかはまだ分からない。
 もう一つ、彼に絡んでは「タグ3年目問題」とでも呼ぶべきものが存在する。Football Perspective"http://www.footballperspective.com/can-leveon-bell-return-and-power-pittsburgh-to-a-super-bowl-bob-sanders-style/"によれば、彼が最後の6試合に出場しなければチームはBellに対して今年と同じ14.5ミリオンのフランチャイズタグを貼ることができるようになるという。つまり3年連続のタグが現実的になるという指摘だ。だがOver The Capはシーズン全休の場合でも3度目のフランチャイズタグに関する規定が適用されるとしており、どちらが正しいのかよく分からない。
 個人的には、RBがゲームに与えるインパクトが一時期よりは増えている"https://blogs.yahoo.co.jp/desaixjp/56667206.html"といっても、1人のRBだけでゲームの動向を変えるほどではないと思っている。RBに払うサラリーはやはりRBから得られるリターンを考えながら決めるべきであり、その意味で高額サラリーが長期的に正当化される確率は決して高くない。だからBellの交渉法がかなりハイリスクなのは否定できないだろう。
 でも一方で「溺れる者は藁をもつかむ」ことも確かだ。オフェンスの不調に悩むチームが高いと分かっていてもBellに高額のサラリーを提示してくる可能性はある。というか若手QBが大量投入されたその翌年という時期は、「彼に武器を与える」という名目でスキルポジションの選手が高額契約の対象になる確率が高まりそうだ。Bellが敢えてリスクの高い賭けに出るのも分からなくはない。
 Steelersとしては控えから先発になったConnerの成績次第だろう。少なくとも開幕週の彼はラン135ヤード、レシーブ57ヤードと文句ない出来だった。シーズン途中でBellが加わる場合でも、その時点でConnerが活躍を続けていれば、敢えてBellを使う必要もないしオフに改めてタグを貼り直すことも考えなくて済む。いずれにせよSteelersトリプレッツの時代が終焉を迎えつつあるのは確かだろう。

 あとOver The Capにはこんなエントリー"https://overthecap.com/2018-nfl-rosters-snaps-gained-and-lost"もある。53人のロースターが固まった段階で、各チームに属する面々のスナップカウントを昨シーズンと比較したものだ。当たり前だが新人と入れ替わった選手が大勢いるため、全体としてはスナップカウントの減っているチームが多い。
 経験の多いベテランを最も派手にパージしたのはCardinals(攻守合計で1万2404スナップ)で、次が実はGiants(1万2378スナップ)となる。割と派手にパージしていた印象のあるBillsは9943スナップで、上記2チームに比べればそれほどでもない。逆に最も少ないのはFalcons(2863スナップ)で、次がSteelers(3153スナップ)となる。基本、弱いところほどパージが多い印象だ。
 次にスナップを増やした数に注目すると、最も多いのはBrowns(9260スナップ)で、Raiders(8402スナップ)、Giants(8232スナップ)が続く。彼らはパージも多いチームであり、ベテランを放出した穴をベテランで埋めようとしていたことがわかる。逆に穴埋めが少ないのはChargers(1742スナップ)、Ravens(1760スナップ)、Steelers(1801スナップ)などだ。
 ゲインとロスの差で見るとネットのロスが最も多かったのはCardinalsで、以下Colts、Billsが続く。いずれもパージが多かった一方、穴埋めベテランはそれほど多く集めなかったところだ。逆にパージしたベテランのスナップ数より手に入れたベテランスナップ数の方が多かったのはSaintsとBrowns。前者は元からドラフト軽視で知られるチームであり、後者はGMが変わって大きく方針を変えたことが影響したのかもしれない。
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