キャップヒットと成績予想

 以前、こちら"https://blogs.yahoo.co.jp/desaixjp/56576357.html"で選手サラリーの内訳と成績との相関係数を調べてみたことがあった。2017シーズンにおいてはキャップスペースや下位カテゴリーが成績との相関が高く、それに次ぐのがルーキー契約やデッドマネーだった。
 2018シーズンがどうなるかはまだわからないが、ドラフトやFAがほぼ一巡した現在の各チームの内訳はこちら"https://overthecap.com/texture/"で確認することができる。とりあえず、昨シーズンと同じ傾向が今年も見られるとしたら、果たしてどのチームが相対的に有利で、どのチームが不利になるのかについて調べてみた。

 まず正の相関が最も高かった下位カテゴリーのキャップ比率(勝率との相関が+0.435)について、両カンファレンスのプレイオフ候補を見てみるとAFCはPatriots、Bills、Raiders、Jets、Steelers、Titansが、NFCはLions、Saints、Redskins、Giants、Cowboys、49ersとなる。実際は49ersよりEaglesの方が上位に来るのだが、プレイオフ候補となると同地区の他チームに負けている彼らは外れることになる。
 次にマイナス相関が最も大きいルーキー契約のキャップ額(勝率との相関が-0.430)で同じように調べてみると、AFCではBills、Patriots、Texans、Chiefs、Steelers、Jetsが、NFCでは49ers、Lions、Seahawks、Falcons、Vikings、Giantsが上位だ。
 あとそこそこの相関があるのはキャップスペースの金額と勝率(-0.420)。この切り口でいえば上位に来るのはAFCがRaiders、Steelers、Chiefs、Chargers、Patriots、Jaguarsで、NFCがRams、Saints、Panthers、Eagles、Falcons、Lionsと並ぶ。キャップスペースに関しては比率と勝率の相関も実はそこそこある(-0.422)。また下位カテゴリーの金額と勝率も、弱いながらも相関している(+0.371)。
 さらに弱い相関を見れば、デッドマネーの金額と勝率が-0.315ある。こちらの順番はAFCがBengals、Colts、Broncos、Titans、Raiders、Patriotsで、NFCがBuccaneers、Vikings、Redskins、Falcons、Packers、Ramsだ。ルーキー契約の比率と勝率(-0.328)、デッドマネーの比率と勝率(-0.251)、そして上位カテゴリーの比率と勝率(+0.218)も弱い相関がある。
 以上、9種類のデータが勝率と0.2以上の相関があった。というわけでこの9種類のデータについてまずはz-scoreを算出し、それぞれに相関係数を掛け合わせて合計を出す。17シーズンの実績を基に、いわばキャップの内訳から予想する2018シーズンの有力候補だが、計算してみると以下のような順番になる。

patriots 4.28
lions 2.47
raiders 1.98
falcons 1.95
steelers 1.82
broncos 1.13
seahawks 1.06
panthers 0.82
vikings 0.78
redskins 0.67
eagles 0.66
saints 0.62
giants 0.56
bills 0.56
chiefs 0.52
bengals 0.48
jets 0.09
buccaneers 0.09
texans -0.04
packers -0.18
dolphins -0.81
49ers -0.88
cardinals -0.90
rams -0.96
titans -1.06
cowboys -1.21
jaguars -1.39
ravens -1.81
bears -1.81
chargers -1.89
colts -2.99
browns -4.64

 割と納得のいく上位陣(Patriots、Falcons、Steelers)がある一方、いくら何でもそんなに上位に来るとは思えないところ(Lions、Raiders)も出てくる。下位陣についても、まだ納得感があるチーム(Browns、Colts、Bears)が顔を出している一方で、Jaguars、Ravens、Chargersはいくら何でも低すぎる。そもそもどんなに高くても0.5に及ばない相関係数しかないものを組み合わせたところで、信頼度が低いのは仕方ないのかもしれない。
 それでも面白いところはある。PatriotsとBrownsのチーム作りの現状がどうやら真逆らしいこと、QBへの投資額の多寡でチーム作りの方向性を分けるやり方もあるが、今回の切り口だとQBのコストが高いチームが上位(Raiders、Falsons)にも下位(Colts、Chargers)にもいること、ただ上位には低額QBを使って他のポジションに資金を振り分けているチームがあまりないことなど。これをどう解釈するかは今シーズンの結果を見てから考えた方がいいのかもしれない。
 ちなみにESPNのNFL Football Power Index"http://www.espn.com/nfl/story/_/page/Football-Power-Index/espn-nfl-football-power-index"と、上記で算出した指標との相関係数は+0.421とかろうじてそこそこの相関に顔を出した程度にとどまっている。悪い数字ではないが、それほど高いわけでもない。選手のキャップ内訳だけからチームの成績を予測するのには限界があるようだ。
 それは即ち、キャップの使い方にも色々あるということを意味する。キャップ戦略に様々な種類があるからこそ、2017シーズンの相関係数という一つの評価軸だけでチームの力を図るのが難しいのだと思われる。キャップ戦略が重要なのは間違いないし、どうすればうまくいくかについて一定の傾向が存在する可能性もあるが、少なくとも「これが必勝法」と言えるほどわかりやすい回答があるかどうかはまだ不明と考えておくほうがよさそうだ。
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