ESPNが2018シーズンのNFL FPIランキングを発表した"
http://www.espn.com/nfl/story/_/id/23591971"。一目見て気づくのはAFCとNFCのチーム力格差が一段と拡大していることだ。トップ10チームのうちAFCはPatriotsとSteelersの2つのみ。逆にボトム10チームでは7チームがAFC。特にAFC東はPatriots以外は全部ボトム10に顔を出しており、強烈な格差社会と化している。
両カンファレンスの格差はスケジュールにも表れている。1試合当たりの対戦相手平均FPIを見ると、NFCではPackers(-0.21)と49ers(-0.01)がかろうじてマイナスになっているだけで、残る14チームはいずれもプラス、つまりリーグ平均より厳しいスケジュールが待っている。一方AFCでスケジュール強度がプラスになっているのはBrowns(+0.34)とChiefs(+0.21)だけ。カンファレンス内の対戦が多い分だけAFC側が得をしていることが分かる。
スケジュールが最も楽なのはTexans(-1.26)、次がPatriots(-1.16)で、平均-1以下を記録するのはこの2チームだけだ。どちらも地区内やカンファレンス内対戦が極めて楽であることが要因で、実際トップ7はこの2地区(AFC東と南)のチームが占めている。逆に最もハードなのはCardinals(+1.06)で、次がBuccaneers(+0.90)。NFCの南と西は、49ersを除き他のチームも厳しいスケジュールが待っている。
FPIにスケジュール強度も加えたランキングをすると以下のようになる。
Patriots +6.16
Steelers +4.85
Eagles +4.53
Packers +3.51
Vikings +3.47
Rams +3.09
Saints +2.96
Falcons +2.44
Chargers +2.14
Panthers +1.81
49ers +1.81
Jaguars +1.68
Cowboys +1.25
Chiefs +1.19
Texans +0.96
Ravens +0.84
Titans +0.23
Raiders +0.16
Seahawks -0.22
Lions -0.40
Broncos -2.58
Bengals -2.71
Colts -2.81
Bills -2.83
Redskins -2.85
Bears -2.87
Buccaneers -3.50
Giants -3.50
Dolphins -3.95
Jets -4.56
Cardinals -4.86
Browns -5.44
単純なFPIランキングと比べると順番がいろいろと入れ替わっているのが分かる。特に目立つのはFPIで28位だったのがスケジュール込みだと23位まで順位が上がるColtsと、逆に22位から27位まで下がるBuccaneersだろう。いずれも対戦相手(特に地区内)のスケジュール強度が大きく影響しているのが特徴だ。
この結果通りになるならAFCのプレイオフチームはPatriots、Steelers、Chargers、Jaguars、Chiefs、Texansとなり、6チーム中4チームが昨シーズンと同じ。NFCはEagles、Packers、Rams、Saints、Vikings、Falconsとなってこちらは実に5チームが同じだ。ただし中身をもう少し詳しく見ると話はそう簡単ではない。
AFCは2強、中でも特にPatriotsが突出しており、上位陣は例年通りになることが予想される。一方ワイルドカード争いを見るとTexansとそのすぐ下にいるRavensとの差はほとんど誤差の範囲だし、Titans、Raidersもそれほど離されているわけではない。また南地区と西地区はトップと2位の間の差が1未満にとどまっており、逆転の可能性は十分ある。2強以外はドングリの背比べといった趣だ。
一方NFCはEaglesが一歩抜け出している以外は実に接戦。北地区の1位と2位はほとんど誤差程度の差しかないし、それにRamsとSaintsを加えた4チームはほぼ団子状態だ。ワイルドカードでもFalconsの後をPanthersと49ersが横一線で追いかけており、シード順争い、ワイルドカード争いのいずれも激しくなる可能性を秘めている。
見ると分かる通り、5割未満チームの方がヒット率が高いのはOLとDLである。他のポジションはすべて5割超チームの方が高いヒット率を示しているのだ。つまりラインに多額のサラリーを投じるチームほど弱いという傾向が存在するわけだ。
なぜそうなのかは不明。もしかしたらNFLのラインのプレイ水準は誰を取ってもそう変わらない水準なのに、僅かな差を理由に実力以上のサラリー格差がついているのかもしれない。あるいは因果が逆で、弱いチームが再建に際して真っ先に手を付けるのがラインというパターンが多いだけかもしれない。もちろん単なる偶然とも考えられる。
それにこのポジション分類だとEdgeがDLとLBの両方にまたがっていると見られる。であればこのデータから一定の結論を出そうとするのは拙いかもしれない。面白いデータではあるが、どう分析すればいいかは慎重であるべきだろう。
これであそこのパワハラ体質が変わるかどうかは分からないが、学連がそこまで責任を負う必要はないしそもそも負えない。むしろ一部で問題になっているレフェリーの判定ミスに対するペナルティーについてどうするかを考えた方がいいのかもしれない。今回の件を乗り切ることだけを考えるのではなく、さらに学連としてできる手は打っておいた方がいいだろう。
いずれにせよ話が大きくなりすぎてもうアメフト村の範囲で収まらなくなっているのは事実。日本のアメフト関係者としては、とにかく自分たちに降りかかる火の粉をできるだけ少なくするよう対応するしか手はあるまい。後はNFLが取り組んでいるような怪我の削減に向けた対策に一段と力を入れるようにして、そのことを世間にアピールしていくしかなさそうだ。それにしても酷い騒ぎだった。
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