最大の問題はDezの契約"
https://www.sbnation.com/nfl/2015/7/15/8124905/"にある。彼が2015年に結んだ1年平均14ミリオンという契約は現時点においてもトップ10に入るクラスの高額契約で、当時においてはさすがにCalvin Johnsonには及ばずともDemaryius Thomasと並ぶほどの水準ではあった。直前の3年間、連続して1000ヤードと2桁TDを記録したことを踏まえるなら、この時点での契約がそれほど悪かったとは思わない。
だがその後は拙かった。2015シーズン前半に負傷した彼は7試合目から復帰したのだが、1試合平均のレシーブ回数やパスキャッチ率が新人当時すら下回るキャリア最低までダウン。それでもたまたま怪我の影響が残ったためと考えれば翌シーズンの復活に期待するのもアリだが、実際には16シーズンは796ヤード、パスキャッチ率はキャリアで2番目に低い52.1%にとどまった。もはや一流ではないとの見解が出てきたのはこのためだ。
私がCowboysフロントならこのシーズンが終わった時点でDezのトレードを考える。目的はドラフト権というよりデッドマネーを作らずにロースターを空けることにあるので、交換するドラフト順位は低くてもかまわない。既に16シーズンの時点で彼のキャップヒットは13ミリオン(キャップ総額の8.4%)に達しており、17シーズンには10%を超えることが分かっていたからだ"
https://overthecap.com/player/dez-bryant/623"。これだけのキャップヒットを正当化できるのはリーグでもトップレベルのWRのみ。怪我以降の成績が振るわず、年齢的にも賞味期限の迫っているDezにそれを期待するのは難しい。
問題はそれより前に彼を切れたかどうか。負傷後の彼の成績が落ちていることは15シーズンの時点で気づくことは可能だっただろう。しかし母数の少ないこのデータで彼が一流WRではなくなったと判断が下せたかどうかは分からない。実は15シーズン終了時なら保証額は32ミリオンで済んでおり、それだけ少ない負担で切ることはできた。トレードする場合でも相手からずっといい条件を引き出すことが可能だっただろう。この時点でDezをカットするかトレードに出すことができたなら、それはかなり有能なフロントだと見てよさそうだ。
もっと早く、新人契約が終わる時点でのカットはどうか。これは正直かなり難しい。この時点で翌年から急激に彼の成績が落ちることを予想するのは困難だし、それまでの実績は本当に文句なしのレベル。たとえ金に渋いPatriotsでも、当時のDezからリーグトップクラスのサラリーを要求された場合、むげに断ってトレードに出せたかというと微妙だ。何しろ直前の3年間、レシービングTD数ではリーグトップを記録した選手である。
実際3~5年目に3300ヤード以上、30TD以上のレシーブを記録した選手は、パスルールが変わった1978年以降でたった11人しかいない。その中にはBryant以外にMossやMarvin Harrison、Jerry Rice、Terrell OwensといったHOFerや、Calvin Johnson、Antonio Freeman、Andre Risonといった一流WRたちが名前を並べている。これだけの選手をサラリーが高いからという理由だけで切り捨てるチームはそうは存在しないだろう。よほど桁違いな契約でもない限り、手元にとどめる判断が普通だ。
こちら"
https://twitter.com/Jason_OTC/status/985033029394534400"では分かりやすくサラリーがインフレを起こしている選手としてWilsonとAmendolaというDolphinsに移籍した選手の名が挙げられている。Wilsonは年平均8ミリオン、Amendolaは6ミリオンだが、前者は4年で1544ヤードの7TD、最も多い年でも554ヤードしか記録しておらず、後者は9年のキャリアでいい年でも700ヤード未満、年齢は32歳だ。このツイートで指摘している「現実的なスケール」で言うなら、どちらも半分以下の契約で済ませるべきところだった。
この2人以外にもWatkinsの年16ミリオンといった驚愕の契約がある。彼は4年のキャリアで1000ヤードを越えたことが1回しかなく、2桁TDはゼロ。トータル3052ヤードは、同じく4年のキャリアを持つJordan Matthewsの2955ヤードとほとんど変わらないのに、後者の契約は年平均1ミリオンだ。この2人に16倍ものサラリー差がつくのはどう考えても異常。Chiefsの契約は明らかに間違いであり、一方Patriotsの契約は明らかにダンピングと言える水準だ。
こういう契約を見せられると、各チームのフロントの能力差が否が応でも浮き彫りになる。こちら"
https://twitter.com/Jason_OTC/status/985034930764894208"では特にキャップマネジメントの下手なチームとしてSaints、Dolphins、Panthers及びLionsの名が挙がっているが、確かにWRに高額投資をしているチームの中にはDolphinsがいる。彼らのキャップスペースに余裕がなさすぎることは以前から指摘しているし、多額のデッドマネーを残したうえでSuhをカットしたのもフロントの失敗と言えるだろう。
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