FA動向

 せっかくなのでPatriotsのFA"http://www.patriots.com/news/patriots-2018-free-agent-tracker"についても。といっても今年は例年通り静かな状況が続いている(昨年のGilmoreが例外)。解禁直後に目立ったのはむしろ出て行く方だ。

 まずLT最高額でGiantsが持って行ったSolder。いや確かに悪いLTではないけどリーグ最高額をもらうほどの選手か? 彼がもらった賞といえば新人年にAll-Rookie Teamに選ばれた"https://www.pro-football-reference.com/awards/nfl-all-rookie-2011.htm"くらいで、オールプロはもとよりプロボウルすら経験していない。あと個人的にPatriotsのOLのパフォーマンスは選手の実力もさることながらScarnecchiaのおかげもあると思っているので、あまり過大評価しない方がいいんじゃなかろうか。
 次にCBでリーグトップ10に入る契約を手に入れたButler。こちらはGilmoreを取った時点で想定された流れであり、驚きはない。以前にも指摘した"https://blogs.yahoo.co.jp/desaixjp/56594018.html"通り昨シーズンの彼のパフォーマンスはそもそも平凡なものであり、そんなCBと高額契約を結ぶのはリスクが大きいと考えるならチームを去るのも仕方ないだろう。新天地での活躍を祈る。
 それからAmendolaに関してはこちら"https://blogs.yahoo.co.jp/desaixjp/56623163.html"でも紹介した通り、これまた高額契約過ぎる。そもそもEdelmanの控え的立場の彼が年平均6ミリオンとEdelman(5.5ミリオン)以上をもらうというのは、どこかおかしい。少なくともPatriotsはそんな額は払えないし、普通は他のチームでもそこまで支払うことには躊躇を覚えるのではなかろうか。やはりFAは「落札者の呪い」"https://blogs.yahoo.co.jp/desaixjp/55243777.html"が働く仕組みに思えてならない。
 そしてLewisだ。4年20ミリオン"http://www.nfl.com/news/story/0ap3000000921107/article/"という契約はRBとしてはこれまたリーグでもトップクラスの高額契約になる。過去7シーズン(うち2シーズンは全くプレイせず)でスクリメージからやっと2301ヤードしか稼いでいないRBがもらっていい金額だろうか? おまけに彼はこの契約中に30歳を迎える。別のポジションならともかく、RBで30代はきついだろうに。
 さらにBademosiもTexansと契約した"https://www.patspulpit.com/2018/3/16/17130000/"。こちらは2年6.25ミリオンとなり、やはりPatriotsが支払った1年1.3ミリオンに比べれば割高。CBとしてはスナップカウントで20%しかプレイしていないがSTでは63%も参加している選手なので、そちらが多少手薄になるという問題はあるが、でもSTに年3ミリオン強を出すのは無理だと考えればこれもやむなしか。
 というわけで、出て行く選手はどれもこれも「そんなに払って大丈夫か」と相手チームに問い質したくなる契約ばかり。もちろんサラリーをもらう各選手にはそれぞれ新天地で活躍してもらいたいところだが、特にいなくなることにショックを受けるようなメンツでもない。例年の光景といえるし、むしろこれで補償ドラフトがどうなるかの方が気になる。SolderやButlerは3巡相当との声もあり、将来の楽しみがそれだけ増える。

 一方で来る方の話は少し遅れて出てきた。これまたいつもの通りで、FA第1波ではほとんど動かず、第2波で低コストな選手を集めるという流れを今年も狙っている様子が窺える。
 それにしても、これ"http://www.nfl.com/news/story/0ap3000000921491/article/"どうやってBrownsを騙くらかしたんだ、と言いたくなるトレードだな。何か暗黒のフォース"https://twitter.com/JoeBoston617/status/974481417655783424"でも使ったのか? Bill Barnwellが付けたグレード"http://www.espn.com/nfl/story/_/id/22680603/"も、このトレードに関してはPatriotsがA、BrownsはD+と大きな差が生じている。元々Brownsは彼をカットするつもりだったそうだが、だとしてもPatriotsにとって悪いことはないトレードだ。
 ドラフト6巡を送ってMcCourtyと7巡を手に入れる格好だが、ドラフトもこの順位だとほとんど価値に差はない。要するにただでCBをもらったようなものである。おまけにこのCB、少なくともPFFの昨シーズンの評価"https://www.profootballfocus.com/nfl/players/jason-mccourty/5127"は、チームを去ったButler"https://www.profootballfocus.com/nfl/players/malcolm-butler/9040"より上。そしてButlerが年平均12ミリオン超かかるようになるのに対し、McCourtyは3ミリオン弱だ。もちろん年齢(McCourtyは今シーズン31歳、Butlerは28歳)など弱点はないでもない。それでもチーム作りの点で開きかけた穴がすぐ埋まった印象は強い。
 それ以外にもLewisがいなくなった分はJeremy Hill"https://www.patspulpit.com/2018/3/16/17131730/"ですぐに手当てした。Patriotsはもともと安いRBを揃えてパフォーマンスを高める手段を取っており、それは昨シーズンも同じ"https://patriotswire.usatoday.com/2018/02/20/this-stat-about-patriots-running-backs-earnings-shows-bill-belichicks-cap-wizardry/"。おそらくHillに求められる役割もこういうものだろう。またSolderの穴埋めとまではいかないが、OLのデプス強化としてはMatt Tobin"https://www.patspulpit.com/2018/3/16/17131768/"を早々に手配している。
 そして昨シーズンから課題だったEdgeの手配についてはこちら"https://twitter.com/ZackMooreNFL/status/974442065353461760"でも指摘されていたClaybornと契約する見通しだ"http://www.nfl.com/news/story/0ap3000000921866/article"。これに怪我人たちが戻ってくれば、ほとんどFlowersに頼り切りだった昨シーズンよりはデプスが増す。DLにおいては何よりもデプスが重要だ。
 同様にデプスの強化に役立つと期待されるのは、これまたBrownsからトレードで手に入れたDanny Sheltonだ"http://www.nfl.com/news/story/0ap3000000920518/article"。ドラフト上位指名だが期待されたほど活躍していない選手を安くトレードで手に入れるというやり口は、以前からPatriotsが得意としているところ。Branchのオプションを行使しなかった分をここで穴埋めしているわけだ。

 残るFA選手たちで気になるのは、まず控えのOTであるWaddleやFlemingの動向。彼らを残してSolderの穴埋めを図るのか、Tobinなどと競争させるのか、あるいはドラフトに向かうのか、今後の動きが興味深いところだ。またSTのスターであるSlaterをどうするかも気にかかる。彼も今シーズンは33歳になるし、昨シーズンはスナップカウントもかなり減っている。そろそろ次のSTの要を作り出す時期が来ているのかもしれない。
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コメント

No title

ペッツファン
初めまして!実は数年前からこちらのブログのファンです。
いつもブログの更新を楽しみにしてます。
統計からフットボールを説明する、というブログの方向性がとても面白いです。

例年、FAは過熱し過ぎですよね。
FAで冷静な判断が取れるところがNEの強みだと思います。

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desaixjp
はじめまして。フットボールの統計分析も最近はかなり定着してきたように思います。
それでもまだベースボールなどに比べれば遅れていると言われても仕方ないでしょう。
FAやドラフトでアグレッシブになりすぎるのはチーム作りにとってリスクが大きいのですが、それがあまり知られている様子もありません。
AFC東の勢力図がなかなか変わらないのも、それが一因でしょう。
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