高額契約

 Super Bowlも終わったし、本当はそろそろNFL以外のテーマに移ろうかなと思っているんだが、なかなかニュースが止まらない。今回はこれ"http://www.nfl.com/news/story/0ap3000000915489/article"。Garoppoloがリーグの最高給取りになったという話だ。額は5年137.5ミリオン、うち保証額は怪我の分も含めて74ミリオン"https://www.sbnation.com/nfl/2018/2/8/16991954"、完全保証額は48.7ミリオンだ"http://www.nfl.com/news/story/0ap3000000915729/article"。
 ある意味では妥当と言える。昨年、まずはCarrが、次いでStaffordがサラリー記録を更新したのだが、その時点での彼らのANY/A+を見ると前者が100、後者が102とリーグ平均並みにすぎない。それに対し現時点でのGaroppoloのANY/A+は驚愕の120。彼が最高給取りにならずに誰がなる、といってもいいだけの実績がある、と主張することもできる。
 一方でGaroppoloの現時点での先発試合数がたった7試合しかないことを考えるなら、この投資はものすごいギャンブルだと見なすことも可能だろう。少なくともCarrは契約更改時点で既に47試合、Staffordに至っては109試合もの先発を経験していた。積み重ねを評価するのであれば、キャリアトータルでまだドロップバック数288しかないGaroppoloが彼らを上回るサラリーをもらうのはどうかしている(ただし保証額ではGaroppoloよりStaffordの方が上)。
 背景にはおそらく、Smithのトレードと契約更改の話"https://blogs.yahoo.co.jp/desaixjp/56588524.html"があるんだろう。彼がResdskinsで4年94ミリオン、保証額70ミリオンの契約延長をすると伝わったことから、今後のQBマーケットがさらに高騰する可能性が出てきた。それを睨んだ49ersが、どうせ長期契約を結ぶなら現時点で最高額を提示した方が後になって最高額を要求されるより結果的に安く契約できると踏んで一気に大型契約に踏み切った、のではなかろうか。
 そうでなくても彼らはサラリーを大幅に余らせている。2020シーズンまでに少なくとも総額の89%以上を使わねばならない"https://blogs.yahoo.co.jp/desaixjp/56584399.html"のだから、そろそろ大型契約を結んでもいい時期になっていると考えたなら、その大型契約を優秀だろうと思われるQBに投じるのは合理的だ。もちろん「少ない母数で判断する」ことに伴うリスクはあるが、リスクなしに良いとこ取りを狙うのが無理なのはこの世の常だ。
 個人的には49ersはまずフランチャイズタグを貼り、それからその額をベースに長期契約の交渉をするかと思っていた。逆に私がGaroppoloなら、そして自分のプレイに自信があるのなら、18シーズンはタグのままでプレイしてさらに実績を積み上げ、来年にいよいよリーグ最高額の契約を目指すという流れに持って行こうとしただろう。だが来年を待つことなく早々に最高額が提示されたとなると、そりゃ飛びつきたくもなる。
 この契約は長期的に見て双方にどんな影響を及ぼすのだろうか。まず49ersの中でQBへの投資額は10%を超える。特に初年度のキャップヒットは37ミリオンと現時点で20%に達する計算だ"https://overthecap.com/player/jimmy-garoppolo/3001/"。つまり49ersは、安いQBと強いディフェンスに力点を置いて短期間のみ強力なチームを作るより、エースQBを抱えて長期にわたって継続的にプレイオフ争いができるチームを目指すということだ。
 ちなみに優勝を狙うチームにこの2つの道があることはOver The Capも指摘している"https://overthecap.com/newyorkjets2018offseason"。49ersの目指す道は採用しているチームの多いルートであるが、このルートはQBに期待したほどの実力がなければ破綻する。彼らはGaroppoloがその実力を持っていることに賭けたのだ。Kaepernickの時は賭けに失敗したが、さて今回はどうなるか。
 一方GaroppoloにとってはこれからNFC西で生き残りを図らねばならないことが確定したと言える。次に彼がこの地区を出て行く時は、華々しいキャリアを終える時か尾羽打ち枯らしてジャーニーマンになる時だろう。そして直近4年の合計で見ると、同地区ライバルの総失点はSeahawks(1位)、Cardinals(9位)、Rams(13位)といずれも強力なディフェンスが持ち味だ。決して油断はできない、ハードな生き残り競争にさらされることになりそうだ。

 そしてGaroppoloの契約は、当然他のQBたちにも影響を及ぼす"http://www.nfl.com/news/story/0ap3000000915518/article"。まず真っ先に名前が挙がるのがCousins。FAの彼はおそらく複数チームの取り合いになるだろうし、そうなればGaroppoloの金額を超える可能性はとても高い。これまでのキャリアANY/A+が109というのも、CarrやStaffordより高額になることへの説得力を増す。
 問題は彼がGame Changerと言えるほどの選手であるかどうかだ。109という数字はその意味で実に微妙な線であり、1標準偏差(115)以上という超一流QB(Rodgersが119、Bradyが118、Breesが115)たちに比べればどうしても見劣りする。過去の例で見ればChad Penningtonがちょうど109だったのだが、さて彼は最高給QBとしてふさわしい人材と言えただろうか。
 実際のところは、QBがGame Changerになるには他のポジションにゲームを変える直前までは踏ん張ってもらわなければいけない。プレイオフでのNO @ Minを思い浮かべてもらえばいいのだが、あれだけBreesが頑張って逆転しても、最後にディフェンスが持ちこたえられなければゲームには負けるのだ。歴代QBの中でも1標準偏差を超える116のANY/A+を記録しながら優勝とは縁遠いままだったRomoもまた、チームのせいでGame ChangerになれなかったQBだろう。
 その意味でCousinsは金額だけでなく移籍先のチームをきちんと選ばなければならない。自分が加わることで他のポジションが弱体化してしまうようなチーム、あるいはQBよりも先に他のポジションを強化しなければいけないチームに行くと、最終的に給料泥棒呼ばわりされるリスクが高まる。たとえQBが十分に仕事を果たしていても、ゲームに負ければQBのせいと考える人が一定数いるからだ。
 実際、上に紹介したOver The CapのJetsに関する記事では、Cousinsを取りに行くのはやめた方がいいとしている。他のポジションが穴だらけ(穴がないのはDTとSくらい)なJetsはまず何より浮かせたキャップスペースを使って穴を埋めることを優先すべきであり、その間は安いルーキー契約QBを使う方が望ましいと指摘する。JaguarsやRamsと同じ道を進むべきという見解だ。結果としてルーキーQBがGame Changerになれれば儲けものだが、最初からそういうQBを求めるべきではないとの考えだろう。

 影響を受けそうな他のQBたちとしては、契約更改を控えているBrees、Ryan、Rodgersあたりが挙がるのだが、彼らについてはむしろBradyルート、つまり安価な契約を結ぶことでチーム力を高める道をまじめに検討すべき時期が来ているのかもしれない。特にBreesはそうで、39歳の彼が「キャリア晩年なので安い契約でもいい」というスタンスを取れば、それがSaintsの他のポジション強化につながる可能性は高い。そうでなくても17年のドラフトで当たりを多く引いているため、ここでさらにキャップが浮けばチーム力を高められるのではなかろうか。
 一方、残る2人は少々厳しい。Ryanは18シーズンもまだ33歳であり、またFalconsは彼以外にもJonesという高額契約選手がいる。Ryanの契約のみを見直しても優勝するには不十分だとしたら、安い契約はむしろ彼の不満を高めるだけの結果になりかねない。またRodgersはRyanよりは年上だとはいえ、今年の12月にようやく35歳になるレベルであり、Breesほど引退が近いとは思われない。また彼の契約は19シーズンいっぱいはあり、すぐに更新しなければならないほど切迫しているわけでもない。
 同じ19シーズンまで契約が残っているRoethlisbergerの場合も、個人的には安い契約を結んだ方が優勝確率は高まると思うが、実行は難しいかもしれない。SteelersもFalcons同様に高額WRを抱えているうえ、高額RBとの契約まで進めようとしている。この3月には36歳になる彼の場合はRyanやRodgersよりも安い契約を結ぶインセンティブが高くても不思議はないのだが、彼が単独でそれをしても正直メリットは乏しい。
 かといってのんびり構えているとPalmerのように「サラリーを下げる前に引退」という展開になる可能性もある。というかそもそもはそちらの方が普通だった。今のBradyや、これからさらに複数年契約を結ぼうとしているBreesが異常なのだ。後に続くRoethlisberger、Rodgers、Ryanあたりが、40の声を聞いても引退せず普通にプレイを続ける保証はない。もし最後にもう一花咲かせたいのなら、Elwayが30代後半で行ったような大型ディスカウントセールに踏み切るタイミングを考えなければいけない時期が迫っている。
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