怪我問題

 早えよ"http://www.nfl.com/news/story/0ap3000000912606/article/"。まだSuper Bowlも終わってないじゃねーか。いやまあSmithがChiefsからいなくなること自体は別に想定通りなんだけど、それにしてもここまで前のめりにならなくてもよさそうなものだ。あとこのタイミングでそれに付き合うRedskinsも律義だなおい。
 いずれにせよこれでChiefsの来季はMahomesに、Redskinsの来季はSmithに任せることが決まった。そしてCousinsがFA市場に打って出てくることも事実上確定。以前にも書いた"https://blogs.yahoo.co.jp/desaixjp/56582853.html"が、この調子だとドラフト前に先発が埋まるチームはかなり多いのではなかろうか。
 ただし1つ懸念材料がある。RedskinsはSmithと4年の契約延長をするらしいのだが、それが94ミリオン(年平均23.5ミリオン)でうち保証額が71ミリオンに達するという。これまで年平均17ミリオンだったSmithが本当にこの額の契約を勝ち取るのだとすれば、それは今後契約を結ぶ他のQBたちに影響を及ぼさずにはいられない。
 Bill Barnwellによればその影響は多岐にわたりそうだ"http://www.espn.com/nfl/story/_/id/22271779/"。得をしそうな人物としては、これでFA市場の金額が跳ね上がると期待できるCousinsの名が出てくるし、逆にこれからフランチャイズQBとの契約更改を控えているFalconsとPackersにとっては一段とコストが増えるリスクをもたらしている。こういうことを考える時期はもっと後だと思っていたのだが、やはり今年は出足が早い。
 もちろんOver The Capもこのトレードと、それに伴うCousinsのFA市場バリューについて言及している"https://overthecap.com/"。ただしそれ以外にも面白いエントリーが書かれている。既にオフシーズンを迎えているDolphinsの状況についてだ"https://overthecap.com/miamidolphins2018offseason"。
 Dolphinsのシチュエーションはこちら"https://blogs.yahoo.co.jp/desaixjp/56584399.html"で紹介しているキャップ問題を抱えたチームと似ている。確かに彼らのEffective Cap Spaceは赤字にはなっていないものの、残されているキャップスペースはたったの7.5ミリオン弱だ。Smithのトレードによって17ミリオン浮かし、事実上5ミリオン弱の黒字になったChiefsと比べてもそんなに良くはない。
 何が問題なのか。当然SuhとTannehillだ。18年のSuhのキャップヒットは非QBとしてはあり得ないレベルの26ミリオンに上り、2年連続で負傷しているTannehillも20ミリオン弱のヒットを記録する。この2人だけでキャップの4分の1を食いつぶす格好になっている。全部で53人を揃えなければならないにもかかわらずだ"https://overthecap.com/wp-content/uploads/2018/01/MIA.png"。
 彼らに続く高給取りも数が多く、その割に活躍度合いは低い。どうみてもコストパフォーマンスの悪い選手たちがサラリー上位の面々を占めているのだ。代わりに12番手以下の選手たちは安いサラリーが並んでおり、要するにDolphinsは、先発の半分に金をつぎ込んだ結果としてそれ以外を安い選手で穴埋めせざるを得なくなっているのだ。これはSuper Bowlに勝つチームとは真逆の構成といえる。
 どうしてこうなったのか。どうやらTannenbaumが悪いようだ。いやもちろん彼だけの責任ではないだろうが、Jetsでもやらかしたような彼の「目先のことだけ考えたキャップマネジメント」が今の状態をもたらしているという。ロースターづくりはもっと長期的に考えて取り組まなければならない、というのが筆者の考え。確かにDolphinsのやり方はどちらかというとサラリーキャップが始まったばかりの90年代によく見かけたものに似ているように思う。

 次に全く別の話。NFLではしばしば「怪我しやすい」injury-proneという言葉が使われる。既に引退したがRomoなどはよくそう呼ばれていたし、実際彼がレギュラーシーズンで2年連続フルに先発出場できたのは2011~12シーズンしかない。Gronkowskiに至っては16試合フルに先発したのが2011シーズンのみだ。
 そして実際、NFLにおいては「怪我しやすい」傾向が存在すると指摘しているのがFootball Outisdersの記事"https://www.footballoutsiders.com/stat-analysis/2018/what-does-injury-prone-mean-nfl"。第1週にプレイした、もしくはしたはずの選手を対象に(つまりゲームに出られるかどうか自体がきわどい水準の選手を除き)、前の2シーズンの怪我と当該シーズンにおいて1試合でも怪我で欠場する確率を調べたものだ。
 グラフを見ると、過去2年に怪我がなかった選手でも約4人に1人は怪我で欠場するリスクがあることが分かる。だがそのリスクは怪我の回数が多い選手ほど拡大し、4回怪我をするとほぼ5割に、さらに多いと6割前後に達する。過去に怪我が多い選手がそれだけ欠場する確率が上がるということは、過去の怪我が選手の身体に何らかの影響を残している可能性を示している。
 実際、怪我の種類ごとに分類したリスクを見ると、多くの負傷において回数が多いほどリスクが高まる傾向が示されている。特にアキレス腱や足首、足、臀部、膝、下半身の筋肉、脚部といった下半身関連の負傷はほぼ全て右肩上がりのグラフになっており、こうした怪我が表面的には治癒した後もなおリスクを残すことを示している。フィールドスポーツにおいては何より下半身が重要なのは間違いないし、それだけに下半身の怪我は影響も大きいのだろう。
 それに比べ、上半身に絡む怪我は必ずしも右肩上がりになるとは限らない。腹部、胸部、頭部、首、肋骨、肩、上半身の筋肉といったものはやはり右肩上がりだが、背中、顔あるいは目、上半身の関節といったものは右肩下がりになる部分もある。このうち顔や目、上半身の関節の負傷は激しい衝突から生じることが多く、再発はしにくいと見られる。背中についてはそうとも言い切れないのだが、そもそも明白な右肩下がりとも言えない微妙な事例である。
 スポーツである以上、常に筋肉や腱を使い続ける必要があるし、関節にも負荷が掛かる。特に下半身は放っておいても体重を支えるという重要な役割と負荷を担っているため、再発リスクが高いのだろう。上半身でも体幹に近い部分ほど再発リスクが高いのは、運動の際にそこが最もよく動くからだろう。負担が多い部位ほどリスクが右肩上がりになるということは、人体は一度負傷すると二度と完全には直らないことを意味するのかもしれない。
 怪我のデパートみたいなスポーツで、全く怪我と無縁の選手など存在しないだろう。どんな選手でも負傷部位を抱えていないとは思えないし、特にベテランほどそうである可能性は高い。むしろ怪我を抱えながらあのような尋常ではないパフォーマンスを見せる選手が多いことに感心するべきなんだろう。ただし試合に出られなくなってしまえば意味はない。そのぎりぎりのところでプレイしているのがNFLの選手たちだと思う。
 そもそも年を取れば体の不調が増えてくるのは人間に共通した傾向だ。あれほど激しいスポーツをしていない者でも怪我のリスクは常にあるし、そして年を取るほど治りが遅くなるのも一緒。ハダカデバネズミのように加齢の影響が極めて限定的な哺乳類も存在する"http://www.sciencemag.org/news/2018/01/naked-mole-rats-defy-biological-law-aging"そうだが、残念ながら我々ヒトはその範疇に入っていない。肉体から逃れられない以上、我々は肉体の不調と折り合いをつけて生きていく必要がある。NFLの世界でもそれは同じなんだろう。
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