NFL week19

 昨シーズン少なかったアップセットを増やそうとしているかのようなプレイオフだ。ディヴィジョナルでも2試合がアップセット(underdogの勝利)となり、これで8試合中半分の4試合がアップセット扱いとなった。昨シーズンは11試合を通じて2試合(ディヴィジョナルのSteelers @ ChiefsとPackers @ Cowboys)しかアップセットはなかったので、数だけなら既に昨シーズンの倍に達していることになる。
 といっても前に紹介した"https://blogs.yahoo.co.jp/desaixjp/56572149.html"通り、Falcons @ Eaglesのオッズには違和感を抱いている向きもある。単にホームが負けた試合として数えれば今週は1試合のみ。それでもやはり昨シーズンよりは多い。これも一種の「平均への回帰」だろうか。
 接戦が増えているのも興味深いところ。昨シーズンのディヴィジョナルの「つまらなさ指数」は+13、+8、+2、0だったのに対し、今シーズンは+21、+3、+2、-1となっている。Patriots @ Titansを除けばいずれも1ドライブ以内の競り合いが生じており、最後に逆転を決めたVikingsをはじめファンはなかなか充実した観戦体験ができたのではないか。
 でもワイルドカードの視聴率は昨年に比べて約10%減った"https://www.si.com/tech-media/2018/01/04/nfl-tv-ratings-decline-ten-percent-colin-kaepernick-thursday-night-football"ようだ。ディヴィジョナルがどうなったかは分からないが、この面での厳しい環境はプレイオフに入っても変わっていないようだ。

 残り4チームとなったところで、昨シーズンのような「おじさんQB祭り」"https://blogs.yahoo.co.jp/desaixjp/56206182.html"は回避できた。30代のRoethlisbergerとBreesとRyanがそれぞれ敗北した結果、NFCのチャンピオンシップはKeenum(ぎりぎり29歳)とFoles(次の試合で29歳になる)の、AFCはBortles(25歳)とBrady(40歳)の対決になる。シーズン前の時点でBradyを除く3人がチャンピオンシップに出ると予想できた人はほとんどいないだろう。
 そもそもKeenumとFolesは開幕週の時点で控え選手。Bortlesもバスト候補的な扱いで、シーズン前には「先発は確約されていない」"https://blogs.yahoo.co.jp/desaixjp/56428922.html"とまで言われたほどだ。Bradyが栄光まみれのレジェンドであるのに対し、残る3人はANY/A+でも平均的(FolesとKeenum)か平均以下(Bortles)、勝利数はBradyの222勝に対して、Bortles(23勝)、Foles(同)、Keenum(21勝)は彼の10分の1ほどの水準にとどまっている。
 この3チームが実績あるQBたちを倒して勝ち上がれたのは、やはりディフェンスのおかげと見ていいだろう。リーグ最少失点のVikingsを始め、この3チームはいずれもシーズン総失点で300点未満という強いディフェンスを抱えているチームだ。問題は、残るPatriotsも失点を300点未満にとどめている一方、残っているチームの中で得点は最多であるところか。Eaglesも得点は多いのだが、ここでは控えQBになっている点がマイナスに響く。
 普通に考えればこの組み合わせだとPatriotsが有利だと見られる。FiveThirtyEightのELOレーティング"https://projects.fivethirtyeight.com/2017-nfl-predictions/"によればPatriotsの優勝確率は実に44%。ESPNのFPI"https://twitter.com/SethWalder/status/952741572608585730"でも40%になる。もとから最強と言われていたチームだが、強力ライバルがいくつか消えたことがこの数字につながっているのだろう。
 ただしプレイオフのように1試合で敗退が決まるケースだと、ランダムさの度合いが増すため過去の実績通りに行かないケースが出てくる。実際、ディヴィジョナルで最も高いANY/Aを記録したのはキャリア全体では冴えないBortles(9.0)であり、控えのFoles(7.7)やKeenum(6.7)もシーズンのリーグ平均よりいい数字を出した。逆に一流QBと呼んで差し支えないRyanは5.5、殿堂入り候補のBreesは5.9。似たような状況が残る3試合の中でも生じれば、もちろん意外な結果もあり得る。

 それにしても最近のBradyは試合に出るだけで新しい記録を作る状態になっている。今週の勝利により彼はプレイオフで勝った最高齢QBとなり、また3つのTDパスを決めたことによりプレイオフで3TD以上決めた試合数が10とMontanaの記録を抜いた。7年連続のカンファレンスチャンピオンシップ出場も、12回目の出場も、もちろん新記録だ"http://www.footballperspective.com/the-patriots-season-begins-now/"。
 さらに細かい記録もある。Bradyの14回目のディヴィジョナル出場はJerry Riceを抜いて全プレイヤーの中で最多。プレイオフでの300ヤードゲームも13試合とぶっちぎりで多い。もちろんプレイオフトータルのヤードやTD数、勝利数なども今更言うまでもなくトップに位置している。
 彼に関してはディヴィジョナルのゲーム前にこういう記事"https://fivethirtyeight.com/features/is-tom-brady-finally-getting-old/"が出ていた。シーズン終盤の彼の成績低下ぶりが、2014シーズンのPeyton Manningに似ているという指摘だ。Peytonの場合、翌シーズンも成績低迷が続いて最後は引退となったが、Bradyもついに年齢に追いつかれたのかもしれないとの懸念が出ていたわけだ。
 ただしPeytonが14シーズン終盤からプレイオフにかけてずっと「相手ディフェンスの平均ANY/A以下」の成績しか残せなかった"https://blogs.yahoo.co.jp/desaixjp/55528348.html"のに対し、Bradyはシーズン終盤5試合のうち3試合、そしてプレイオフのTitans戦でもこの条件に当てはまらない成績を残している。今のところPeytonの轍を踏んでいるとは言い切れない状況だ。一体彼はいつ「時の翁」に追いつかれるのか、そういう視点でゲームを楽しむ手もありかもしれない。
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