昨シーズン少なかったアップセットを増やそうとしているかのようなプレイオフだ。ディヴィジョナルでも2試合がアップセット(underdogの勝利)となり、これで8試合中半分の4試合がアップセット扱いとなった。昨シーズンは11試合を通じて2試合(ディヴィジョナルのSteelers @ ChiefsとPackers @ Cowboys)しかアップセットはなかったので、数だけなら既に昨シーズンの倍に達していることになる。
接戦が増えているのも興味深いところ。昨シーズンのディヴィジョナルの「つまらなさ指数」は+13、+8、+2、0だったのに対し、今シーズンは+21、+3、+2、-1となっている。Patriots @ Titansを除けばいずれも1ドライブ以内の競り合いが生じており、最後に逆転を決めたVikingsをはじめファンはなかなか充実した観戦体験ができたのではないか。
残り4チームとなったところで、昨シーズンのような「おじさんQB祭り」"
https://blogs.yahoo.co.jp/desaixjp/56206182.html"は回避できた。30代のRoethlisbergerとBreesとRyanがそれぞれ敗北した結果、NFCのチャンピオンシップはKeenum(ぎりぎり29歳)とFoles(次の試合で29歳になる)の、AFCはBortles(25歳)とBrady(40歳)の対決になる。シーズン前の時点でBradyを除く3人がチャンピオンシップに出ると予想できた人はほとんどいないだろう。
そもそもKeenumとFolesは開幕週の時点で控え選手。Bortlesもバスト候補的な扱いで、シーズン前には「先発は確約されていない」"
https://blogs.yahoo.co.jp/desaixjp/56428922.html"とまで言われたほどだ。Bradyが栄光まみれのレジェンドであるのに対し、残る3人はANY/A+でも平均的(FolesとKeenum)か平均以下(Bortles)、勝利数はBradyの222勝に対して、Bortles(23勝)、Foles(同)、Keenum(21勝)は彼の10分の1ほどの水準にとどまっている。
この3チームが実績あるQBたちを倒して勝ち上がれたのは、やはりディフェンスのおかげと見ていいだろう。リーグ最少失点のVikingsを始め、この3チームはいずれもシーズン総失点で300点未満という強いディフェンスを抱えているチームだ。問題は、残るPatriotsも失点を300点未満にとどめている一方、残っているチームの中で得点は最多であるところか。Eaglesも得点は多いのだが、ここでは控えQBになっている点がマイナスに響く。
ただしプレイオフのように1試合で敗退が決まるケースだと、ランダムさの度合いが増すため過去の実績通りに行かないケースが出てくる。実際、ディヴィジョナルで最も高いANY/Aを記録したのはキャリア全体では冴えないBortles(9.0)であり、控えのFoles(7.7)やKeenum(6.7)もシーズンのリーグ平均よりいい数字を出した。逆に一流QBと呼んで差し支えないRyanは5.5、殿堂入り候補のBreesは5.9。似たような状況が残る3試合の中でも生じれば、もちろん意外な結果もあり得る。
さらに細かい記録もある。Bradyの14回目のディヴィジョナル出場はJerry Riceを抜いて全プレイヤーの中で最多。プレイオフでの300ヤードゲームも13試合とぶっちぎりで多い。もちろんプレイオフトータルのヤードやTD数、勝利数なども今更言うまでもなくトップに位置している。
ただしPeytonが14シーズン終盤からプレイオフにかけてずっと「相手ディフェンスの平均ANY/A以下」の成績しか残せなかった"
https://blogs.yahoo.co.jp/desaixjp/55528348.html"のに対し、Bradyはシーズン終盤5試合のうち3試合、そしてプレイオフのTitans戦でもこの条件に当てはまらない成績を残している。今のところPeytonの轍を踏んでいるとは言い切れない状況だ。一体彼はいつ「時の翁」に追いつかれるのか、そういう視点でゲームを楽しむ手もありかもしれない。
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