Garoppoloは今シーズンいっぱいで契約が切れる。残したければおそらくフランチャイズタグしかなく、先発トップクラスのサラリーが必要。それができないのであれば、まだ契約下にある間にトレードした方がいいという判断だろう。キャリア3年半で勝率10割とはいえドロップバックが102しかない選手に高いサラリーは払えないという理屈は分かる。行き先がBrownsではなく49ersになったのは、別カンファレンスの方がいいと考えたからだろうか。
ただしこれにより、Bradyは少なくとも来シーズンまでは現役最前線でやってもらわざるを得なくなった。来シーズンの彼は41歳である。41歳で10試合以上に先発しなおかつANY/A+で100以上(つまりリーグ平均以上)を記録した選手は1997シーズンのWarren Moonしかいない。もし後2年踏ん張るとしたら、文字通り前人未踏の領域に挑むことになる。まさしく背水の陣だ。とはいえ40歳の今シーズンもBrady自身はANY/Aでリーグ2番手と極めてハイレベルを維持しており、簡単にはやめさせられないのも確か。だからこそ将来のフランチャイズQBを改めて選び直すという一種の賭けに出ざるを得なかったのだろう。
49ersはANY/Aでリーグ29位と低迷しているパスオフェンスの改善につながることを期待しているのだろう。ただし彼らはディフェンスも酷い状態(ANY/Aで28位)にあり、QBを変えるだけで状況が大幅に改善するとは思えない。とりあえずドラフト全体1位は避けたいというところだろうが、Garoppoloのチームへの適応が上手くいかなかったりすればしんどいことになる可能性はある。残る対戦相手の中にはGiants、Bearsなど比較的楽な相手もいるが、一方でJaguarsやRamsのように強力ディフェンスもいる。Garoppoloにとっては実力が問われる局面もありそうだ。
昨年の期限前1カ月には5件のトレードがあったのだが、うち3件はPatriotsが絡んだもの。それ以前になると10月中のトレードが1件しかない年もある。NFLにおいてはドラフト中の指名権トレードが中心になりがちで、シーズン中の選手の入れ替えは多くない。その流れがこのように変わってきたのは、利用者の少ないマーケットほど非効率性が残り、そこで「儲ける」チャンスが増えると見たためかもしれない。利用者が増えてきたことにより、おそらく今後はより効率的なマーケットになっていくと思われる。
いずれにせよ、前回書いた「フロントが悪いのか、コーチが悪いのか、運が悪いのか」問題に関して、今後はフロントの責任を問う声が一段と高まりそうだ。彼らの基本方針が悪いとは思わないが、具体的な運用における不手際が目立っているのだとすれば、実務家としてはまずい。このままだと冗談抜きでシーズン終了後にPeyton Manningをフロントに入れようとする動きが具体化するかもしれない。
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