NFL week2

 第2週、Chargersが最終Qに逆転を食らい、2点差で敗北した。開幕週に続くこの「1ドライブ差以内での敗戦」により、1つの記録が打ち立てられることになった。1ドライブ差以内での敗戦とそれ以外の敗戦との差で、RiversがRich Gannonを抜いて最多記録を達成したのだ。
 こちら"http://www.footballperspective.com/philip-rivers-and-the-chargers-are-5-18-in-their-last-23-games-decided-by-one-score/"によると昨シーズン時点でこの数値はGannonが28、Riversが27だった。Gannonは1ドライブ差以内の時に34勝42敗、それ以外だと42勝14敗だ。一方、Riversは現時点で前者が43勝55敗、後者が54勝26敗。僅差での敗北数はVinny Testaverde(63敗)、Brees(57敗)に次いでDrew Bledsoeと並ぶ3位になった。
 もちろん、今後彼が大差で負ければ再びGannonに抜かれる可能性はある。また現役の中ではFlaccoの数値(25)も高いため、順位の入れ替わりはあり得るだろう。だとしてもRiversが接戦で勝ちきれていないのは事実。パッサーとしては有能だがキャリアの勝敗でいまひとつなのは、接戦での成績が原因であることが分かる。多分、彼自身の責任ではないだろうけど。
 それにしても皮肉なのは、ドラフト時に彼とトレードでGiantsに入ったEliとの差だ。こちらは接戦時に48勝41敗、大差だと60勝50敗となっており、その差はマイナス9である。僅差でも大差でも似たような勝率をキープしているあたり、Riversとは極めて対照的。Giantsファンに比べ、Chargersファンの方が精神衛生上よくない思いをする機会が多かったようだ。
 一方、この週に解説者としての評価を高めたのがTony Romo。Saintsのプレイを的中させたり"http://www.nfl.com/news/story/0ap3000000846840/article"、ゲーム終盤のBelichickのプレイコールが次の試合に向けた煙幕であると解説したり"https://www.sbnation.com/2017/9/17/16324428"と、なかなか印象に残る解説をしたようだ。個人的にはまだプレイを続けてほしかったQBだが、それでも第2の人生が上手く行っているのなら喜ばしい。

 ネット上では試合とは別にスタッツ分析に関連するマニアックな論争が生じている。一方はFootball OutsidersのライターでもあるMike Tanier"http://bleacherreport.com/articles/2731339"であり、それにかみついたのがOver The CapのライターであるZack Moore"https://overthecap.com/correcting-mike-taniers-anti-moneyball-article"だ。
 Tanierが批判しているのは今シーズンにBrowns、Jets、Billsがやっているチーム作りの手法。実績あるベテランを次々と切り捨てて代わりにドラフト権を積み上げるという、いかにもMoneyball的な方法なのだが、彼はこれをextreme Moneyballと呼び、それはチームを強化するよりもむしろ「競争のバランスを損なっている」と見ている。正直、記事としてはレトリカルな言い回しが多く、外国人である私が見ると信頼度が下がるような文章なのだが、それでも「Moneyballと称して今勝つことを放棄しているのでは」という指摘は無視できない。
 一方、MooreはTanierが挙げた個別事例に一つ一つ反論するという方法をとっている。Tanierが評価しているベテランたちは、過去はともかく足元ではサラリーほどの貢献をしていない。ドラフト権を積み上げて勝つ方法はMoneyball以前、90年代のCowboysの時から採用されていた手法であり、その効果は実証済みだ。またBrownsのロースターは昨年よりも強化されているし、Jetsはそもそも無用なベテランを切り捨てる以外に手段が残されていなかった、云々。
 Tanierの美文混じりだがデータの少ない文章と、Mooreの地味だが裏付けのある文章のどちらを取るかと言えばもちろん後者だ。ただしNFLファンがみなそう判断しなければならない理由はない。そもそもNFLは興行であり、ファンにとって重要なのは楽しく暇をつぶせるか否か。派手なTanierの文章を読む方が、長くでくどいMooreの文章を読むより楽しい時を過ごせるならそちらを選んでも全く問題はない。私のような外国人にはTanierの文章は面倒過ぎるが、ネイティブなら違う判断もあるだろう。
 しかし一方でTanierの主張が相対的に見て裏付けに乏しいことも事実。過去の実績から判断するなら、まずはドラフト権を増やして低コストな選手を増やし、その中から使える選手を集めて戦えるロースターを構築する。フランチャイズQBをドラフトなりFAなりで引っ張り出すのは、その後でも構わない。Browns、Jets、Billsの行動を見ていると、おそらくそういう発想が先に立っているように見える。弱いチームが1回のドラフトで救世主を手に入れられることはない。QBだけに期待するのではなく、チーム力全体を底上げする努力が欠かせないというわけだ。
 問題は、成果が出るのをいつまで待つべきか、である。いつも再建モードと言いながらいつまでも勝ちきれないフロントを永久にかばうことは誰にもできない。我慢すべき年月が存在するとしても、それは短ければ短いほどいいのも確かだ。何年計画でチームを再建するのか、何年ドラフト権を積み上げればいいのか。もちろん各チームが置かれた状況によって、必要な年月は変わってくるだろう。TanierとMooreの差も、もしかしたらそのあたりの評価の違いが原因かもしれない。
 その意味ではBrownsの今後の成績は大きな注目点だろう。明白にMoneyballに取り組んでいるBrownsが短期間で再建できれば、たとえば今シーズン中に強いチームの仲間入りをして来シーズン以降プレイオフ常連にでもなれば、弱いチームはこぞってMoneyballに殺到することだろう。だがBrownsの再建が手間取ったり、途中で挫折したりすれば、Moneyballへの評価も一緒に落ちる可能性がある。北米スポーツの中でもスタッツ分析採用が遅れていると言われているNFLだが、もしかしたら今は分岐点なのかもしれない。
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