QBのサラリー

 StaffordがNFL最高額となる5年135ミリオンの契約を結んだ"http://profootballtalk.nbcsports.com/2017/08/29/the-full-matthew-stafford-contract-details/"。以前、Carrが締結したもの"http://www.spotrac.com/nfl/oakland-raiders/derek-carr-14445/"と比べて1年当たりだと2ミリオン多い27ミリオンとなる。
 Detroitファンはその大半が諸手を挙げて歓迎している"https://www.prideofdetroit.com/2017/8/28/16219060/"ようだ。これだけ長く安定して先発しているQBをDetroitで探すと、おそらく1950年代のBobby Layne"https://www.pro-football-reference.com/players/L/LaynBo00.htm"まで遡る必要があるだけに、ようやく手に入れた「フランチャイズQB」を確保し続けるためには高額契約も当然、と思っているのかもしれない。
 もちろん、金額が高すぎるという批判はある。Football Outsidersはこちらのエントリー"http://www.footballoutsiders.com/extra-points/2017/detroit-makes-matthew-stafford-highest-paid-player"で、彼が勝ち越していないチーム相手には49勝20敗と圧倒的にいい成績を残している一方、勝ち越しチーム相手だと7勝55敗と惨敗していることを指摘。平凡なQBが史上最高額の契約を結ぶことに対する疑念を示唆している。
 ただしスタッツ系サイトが全て批判的というわけでもない。Football Perspectiveは、たとえ払いすぎだとしてもDetroitはこの契約で安堵するだろう"http://www.footballperspective.com/matt-stafford-signs-yet-another-big-contract-it-wont-be-his-last/"と書いている。コメント欄にも「Great signing」という意見が載っているし、Stafford以外の選手をうまく強化できれば今まで以上の活躍も可能だと見ている。
 Over The Capも特に批判的な論調ではない"https://overthecap.com/thoughts-matt-stafford-135-million-contract"。むしろそこで注目されているのは、他のQB契約との流れだ。Carrの契約がなければStaffordの契約がここまで多額にはならなかったことを指摘。次の大型契約として2018年度が最終年となるMatt Ryan"http://www.spotrac.com/nfl/atlanta-falcons/matt-ryan-3983/"と、18年以降はデッドマネーがゼロになるAaron Rodgers"http://www.spotrac.com/nfl/green-bay-packers/aaron-rodgers-3745/"あたりで1年平均30ミリオンが見えてくるのではと指摘している。
 Staffordの契約"http://www.spotrac.com/nfl/detroit-lions/matthew-stafford-6078/"を見ると5年間とあるが最終年はデッドマネーがゼロになるため、実質的には4年契約だろう。こちら"http://www.footballperspective.com/quarterback-age-curves/"を見ても30代前半のQBはそれほど急激な成績低下に見舞われることはないようで、前向きに考えるなら少なくとも今の契約が終わるまでチームはフランチャイズQBで頭を悩ませる必要がないとは言えそうだ。

 それでもやはり払いすぎと言えば払いすぎなのは確か。こちら"https://overthecap.com/2017-sandoespn-qb-tiers-rankings"の分析によればStaffordは現契約であればその評価に比べて3.758ミリオンだけ安く契約していることになり、コストパフォーマンスのいいQBだと言える。しかし新契約に移行すれば5.575ミリオン割高になるわけで、それだけサラリー全体を圧迫するリスクがある。
 一連のQB契約と比べて違和感がないとしているOver The Capも、そもそも今のQB契約全体が妥当であるとは言っていない。こちら"https://overthecap.com/current-nfl-quarterback-overpaid"によると、2005年には最も高給取りなベテランQBの半額以上をもらっているQBは8人にとどまっていたのに対し、2017年にはこの数が21人まで増加したという。昔に比べ、トップクラスと二流との間のサラリー格差が大幅に縮小しているのである。
 多くのチームが凡庸なQBに高額サラリーを支払ったのが、こうした流れができた結果だろう。だが二流QBたちにいくら金を投入しても成績は同じ。結果「シーズンが終わった後に、どうやってこのQBにもっと多くの武器あるいはもっといいディフェンスを与えればいいのかとの質問がなされる。ヒント:答えは彼にもっと支払うのではなく、QBへの支払いを減らし、Bradyよりずっといい武器を彼に与えるよう試みることにある」。
 でも多くのチームはそうしなかった。それは「ゾッとするような考え」だからであり、チームもファンも「誰もが未知へと向かうのを恐れすぎている」ためだ。以前書いたこちら"https://blogs.yahoo.co.jp/desaixjp/56435187.html"の話と関連付けるなら、損失回避性"https://en.wikipedia.org/wiki/Loss_aversion"のバイアスが働いているといったところだろう。確かにStaffordを切り捨てて他のQBを連れてきたとしても、そいつがStafford並みの成績を残せる可能性は決して高くない。でもStaffordの高額契約がDetroitのチーム作りを阻害するのもまた事実だ。
 今のDetroitのチーム状況は、Over The Capに言わせれば「中ぶらりん」"https://overthecap.com/oldest-expensive-nfl-teams-2017"である。このエントリーでは各チームのサラリートップ10人について、ポジション別のサラリー額と年齢が平均をどの程度上回っているかを分析。年齢が高いがサラリーが低いチームの1つとしてDetroitを紹介している。彼らは「ロースター衰退」局面にあるとされる。
 契約下にある主力選手の年齢が高いということは、彼らが活躍できる時間が限られていることを示す。一方でその契約額が少ないことは、チームによる選手評価が正しいのであれば、大した能力のない選手たちが多いことを意味する。Staffordを中心に優勝を目指すのであれば見直さなければならない選手が大勢いるわけで、ロースター構築のために厳しい判断がこれから求められることになりそうだという。Staffordの高額契約でサラリー枠が圧縮された分だけ、その見直しも楽ではなくなるだろう。

 他にはいくつかのチームで先発が決まった。まずJacksonvilleだが、QBの先発は競争で決めると言った方針からあっという間にBortles先発へと戻った"http://bleacherreport.com/articles/2728169"。Henneとの競争という、本人にとっては楽だがファンにとっては酷すぎる競争条件が寄与したのだろう。それにしてもBortlesが怪我した場合は、本気でどうするつもりなんだろうか。
 JetsはMcCownが先発だと発表された"http://www.nfl.com/news/story/0ap3000000836155/article/"が、こちらは意外でも何でもない。ファンは既にタンキングモードだし、NFL FPIでも最悪のチームと呼ばれている"http://www.espn.com/nfl/story/_/id/20437605/"くらいで、正直彼に期待している人などほとんどいないだろう。18年のドラフトで高順位を目指すうえではいいQBかもしれないが。
 DenverのSiemian先発確定"http://www.nfl.com/news/story/0ap3000000832941/article/"も想定通り。むしろその後でLynchが負傷してしまい"https://patch.com/colorado/denver/denver-broncos-quarterback-paxton-lynch-miss-several-weeks-source"、彼が復帰するまでのSiemianのバックアップをどうするかが課題になってしまっている。
 Clevelandでは新人のDeShone Kizerが先発に決まった"http://www.nfl.com/news/story/0ap3000000835667/article/"。Brownsのチーム状況はよく分からないのだが、こちら"http://inupound.blog.jp/archives/52189456.html"によれば他に選択肢がないための投入らしい。上記の年齢とサラリーの分布図で言えばClevelandは左上の「今及び将来の勝利」を目指している状態だそうで、無理して新人を先発させるのがいいかどうかは微妙だ。ただしOsweilerをトレード"http://www.nfl.com/news/story/0ap3000000836546/article/"できれば位置づけ自体が変わるかもしれない。
 Houstonは既にSavageが先発だとHCが宣言している"http://www.nfl.com/news/story/0ap3000000833319/article/"。新人を投入しなくてもいいという判断ができた点ではClevelandより恵まれているのかもしれないが、年齢サラリー分布図でのHoustonの位置づけは実は左下の「低期待度」枠に入っている。思った以上に年齢が若く、かつ安価な選手が多いようだ。だが期待度はこの数値に見合わないほど高く、そのため失敗した場合にはHCの首が飛ぶ可能性もありそう。
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