Bellifortisが書かれたのは1405年頃と言われているが、その数年後、1411年に書かれたとされるマニュスクリプトには既にサーペンタインロック、つまり最古の引き金機構が登場している。そのマニュスクリプトはこちら"
http://data.onb.ac.at/rec/AL00147695"で閲覧可能だ。右側にあるページの写真をクリックすれば、別ウィンドウで巨大な画像を確認できるようになっている。
サーペンタインが描かれているのはp86だ。しかしこの本にはそれ以外にもリンストックっぽいものが描かれている。例えばp31の左側の人物が右手に持っているものがその一例。ただしこの人物はストックの先端を火門ではなく銃口の方に接近させているため、リンストックの使い方としてはいささかおかしい点もある。
もう一つはp97で右側の人物が左手に持っているもの。こちらはリンストックをきちんと火門に向けているのだが、問題は1つの銃らしきものに複数の火門が前後に並んでいることだ。中国の武備志"
https://archive.org/details/02092311.cn"には、同様に複数の火門というか導火線が前後に並ぶ拐子銃(83-84/93)なるもの掲載されている。この図はもしかしたら中国の実験兵器が欧州にまで伝わっていた証拠かもしれないし、そうではなくそもそも銃ですらない別の何かかもしれない。
他にもこの本には面白い図像がいくつもある。複数の砲を1つの台に乗せた兵器(p46)、散弾を放つ砲(p49)、砲身の角度調整に使われた初期の機構(p60、106)、もしかしたら点火鉄の使用例かもしれない図(p89)、所謂ホットショット"
https://en.wikipedia.org/wiki/Heated_shot"(p94、144)、おそらく硝石を掻きとっている図(p119)、砲身に複数の矢を装填した図(p150)、さらに人力式の旋盤の図(p189)まで掲載されているのだ。見ているだけで楽しいのは間違いない。
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