5年間の数字がルーキー以外で上位に来るのは、割安契約で名高いBrady、15シーズンにMVPクラスの数字を積み上げたPalmer(このシーズンがなければ順位が大幅に落ちる)、ジャーニーマンで契約額が安いFitzpatrickなど。普通に毎年活躍するが、同時にサラリーも高い選手たち(BreesやRyan、Roethlisbergerなど)は、トータル黒字は維持しているものの順位は決して高くはない。
つまりQBのコストパフォーマンスを決めるのは、プレイ内容よりも契約額の方だ、という結論になる。リーグトップクラスの契約を結んでしまえば、その時点でそのQBがもたらす「黒字」は減り、成績が超一流レベルに到達しなければ採算評価は低迷する。16シーズンで言えばMVPを取ったRyanですら黒字額はたったの0.4ミリオン。CousinsやRoethlisbergerに至っては赤字だ。
逆に凡庸なQBでも低コストなルーキー契約の時期には簡単に黒字を出せる。例えばTannehillだが、ルーキー契約だった4年間、彼の成績は常にリーグ平均を下回っていたにもかかわらず黒字を維持していた。Carrの1年目も酷いものだったが、やはり安い契約のおかげで黒字だ。Bortlesのような選手ですら、1年目に小幅赤字を記録して以降はずっと黒字。彼がBreesより高い評価を受ける指標ってのは、普通に考えてどこかおかしいのではなかろうか。
もしかしたらQB成績を出す際にTANY/A(QBのパス、サック、ラン全部を勘案した指標)を使ったのが間違いだったのかもしれない。もっと勝利への貢献度を重視した指標で算出したらどうなるだろうか。そう考えてこちら"
https://twitter.com/bburkeESPN/status/817141683250982913"のデータを使い、WPAに基づいた仮想キャップ(単純にトップのStaffordを最もキャップヒットの大きいManningの金額24.2ミリオン相当とし、後はその比率で計算)を出してみた。するとBortlesの採算は4.2ミリオンの黒字から1.1ミリオンの赤字に転落。一方Rodgersの黒字幅は0.4ミリオンから2.4ミリオンまで増えた。
だが仮想キャップと採算の相関係数は+0.519であまり変わらず。キャップヒットと採算の相関(-0.748)の方が相変わらず高かった。引き続きRoethlisbergerが7.4ミリオンの赤字になっているほか、Ryanが黒字から4.1ミリオンの赤字に転落してしまうなど、成績よりサラリーの影響が大きく出る選手も増えてしまうのが一因。残念ながらWPAを使っても必ずしも上手くいくとは限らないようだ。
むしろ仮想キャップを算出するのではなく、単純に成績とキャップヒットの標準偏差から算出した方がいいかもしれない。その場合、16シーズンの各QBの採算(WPAが不明なKeenum除く)は以下のようになる。
carr +3.46
prescott +3.04
siemian +1.25
brees +1.03
winston +0.86
mariota +0.85
stafford +0.77
rodgers +0.76
taylor +0.66
brady +0.56
bradford +0.53
dalton -0.07
wilson -0.08
cousins -0.18
ryan -0.19
tannehill -0.20
luck -0.35
wentz -0.35
rivers -0.37
bortles -0.39
osweiler -0.43
palmer -0.57
smith -0.71
roethlisberger -0.78
fitzpatrick -1.04
kaepernick -1.64
manning -1.75
newton -2.01
flacco -2.65
正直言ってまだ問題の多いランキングだと思う。本気で調べるならNFL全選手のキャップヒットとWPAを算出し、それとの比較でQBのサラリー水準がどうであるかを論じるべきなのかもしれないが、とてもそこまではできない。またディフェンスのWPAはどうやったってマイナスになるという問題もある。QBの勝利貢献度と、そのサラリーの妥当性を調べるのは、案外難しいのかもしれない。
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