つまらなさ指数

 もうNFLも新年度に入って過去の話題となったが、今回のSuper Bowlが面白かったという声はツイッターなどでも数多く見られた。だが、面白さとは何だろうか。例えばかつてAdvanced Football Analyticsが提唱していたのはComeback FactorとExcitement Indexだ"http://archive.advancedfootballanalytics.com/2009/06/best-games-of-decade.html"。今回のSuper BowlなどはCBFで面白さを出すのが分かりやすい。一方、シーソーゲームの場合はEIを使うのが適当だ。
 しかしどちらか一方だけでは面白さは捉えきれないだろう。今回のSuper Bowlで破られるまで最大10点差をひっくり返したのが一番大きな逆転記録だったが、その中には第1Qに10点取られながら第2Qに35点取って逆転し、そのまま押し切ったSuper Bowl XXII"http://www.pro-football-reference.com/boxscores/198801310den.htm"のような例もある。これが面白い試合だという人は、Washingtonファン以外だと限られるだろう。
 そこで、シーソーゲームか大逆転かという切り口ではなく、そのどちらにも当てはまらない例を除外するという方法で「面白さ」を調べてみた。具体的にはゲーム終盤に一方的な展開となった試合を「つまらない」ゲームとし、そのつまらなさの度合いが少ないほどゲームが面白かったと判断するのだ。
 具体的には第4Qにおける最終的に勝ったチームの得失点差を計算し、その数値の中で一番小さいものを「つまらなさ指数」とする。今回のSuper Bowlでこの指数を出すと、残り9:44までは-19、残り5:56までは-16、残り0:57までが-8で最後の1分弱はゼロだ。これらの数値の中で最も小さい-19がLIのつまらなさ指数になる。
 もし同じ数値になった場合は、このつまらなさ指数通りの得失点差だった時間帯が遅いほど面白い試合だったと見做す。VIIのつまらなさ指数は+7であり、この点差のままゲームが終了した。一方、同じつまらなさ指数となるXXVIIIで、+7の得失点差が続いたのは残り10分強の時間帯までで、その後はさらに点差が開いている。こちらの試合の方がVIIよりつまらなさは上となる。
 以上はあくまで一つの手法に過ぎない。こちら"http://www.cbssports.com/nfl/photos/every-super-bowl-ranked-from-worst-to-best"のように、もっと主観重視で決める方法もあるだろう。最終的に何が面白いかを決めるのはやはり主観だからだ。それでもこの「つまらなさ指数」で51回のSuper Bowlをランキングしてみるのは面白そう。というわけでやってみた。左からSuper Bowlの回数、勝者、敗者、そしてつまらなさ指数だ。

XX Bears Patriots +34
XXIV 49ers Broncos +31
XLVIII Seahawks Broncos +28
XVIII Raiders Redskins +26
XXII Redskins Broncos +25
XXIX 49ers Chargers +23
XIX 49ers Dolphins +22
II Packers Raiders +19
I Packers Chiefs +18
XXXV Ravens Giants +17
VIII Dolphins Vikings +17
XXI Giants Broncos +16
IV Chiefs Vikings +16
VI Cowboys Dolphins +14
XXVII Cowboys Bills +14
XV Raiders Eagles +14
XXXI Packers Patriots +14
XXXVII Buccaneers Raiders +13
XXVI Redskins Bills +13
XI Raiders Vikings +12
XXXIII Broncos Falcons +11
XII Cowboys Broncos +10
III Jets Colts +9
XXVIII Cowboys Bills +7
VII Dolphins Redskins +7
50 Broncos Panthers +6
XLI Colts Bears +5
XVI 49ers Bengals +5
XL Steelers Seahawks +4
XIII Steelers Cowboys +4
XXX Cowboys Steelers +3
IX Steelers Vikings +3
XLV Packers Steelers +3
XLVII Ravens 49ers +2
XXXIX Patriots Eagles 0
XXXIV Rams Titans 0
XXXII Broncos Packers 0
XXXVI Patriots Rams 0
XLIV Saints Colts -1
XXXVIII Patriots Panthers -1
XIV Steelers Rams -2
XXV Giants Bills -2
XLVI Giants Patriots -2
X Steelers Cowboys -3
XLIII Steelers Cardinals -3
XVII Redskins Dolphins -4
XLII Giants Patriots -4
V Colts Cowboys -7
XXIII 49ers Bengals -7
XLIX Patriots Seahawks -10
LI Patriots Falcons -19

 見ての通り、全51回のSuper Bowlのうち、28回は最終Qに1ドライブ差以内となる場面があった。さらに17試合では最終的な勝者が同点またはリードされる場面もあったわけで、実は思われているほどつまらない試合ばかりでもなかったことになる。
 年代別につまらなさ指数の平均を出すと、最もつまらなさが目立っているのが1980年代で16.2。その次が、4試合しかなかったが60年代の15.5だ。どちらも2ドライブで逆転できない状況が第4Qでは出来上がっていた計算で、特に80年代はつまらなさ指数トップ5のうち4試合が含まれるなど観客にとって厳しい時代だった様子が窺える。
 90年代は8.3とそこそこの数字だが、後半の方が僅かに接戦が多かった。一方リーグ全体で見ると強豪とドアマットがはっきり分かれていた70年代だが、指数は5.5とSuper Bowlだけ取り上げれば接戦が目立つ。特にSteelersの絡むゲームは面白い展開が多く、最近のPatriotsと同じ傾向が見て取れる。
 接戦が明らかに増えたのはサラリーキャップが定着してきた最近だ。2000年代のつまらなさ指数は3まで低下し、ほぼ毎年のように面白い試合が繰り広げられたことになる。10年代に至っては1.1となり、SeahawksがBroncosをぼこぼこにしたゲームを除けば接戦や大逆転に満ち溢れている。それにしてもBroncosは負けるときは惨敗が多い。
 NFLが取り組んでいるパリティづくりは、そう考えると上手く行っているのかもしれない。実際、サラリーキャップが導入される前の1993シーズンまでで見ると、つまらなさ指数が+7以下となったのは28試合中11試合しかない。しかしその後の23試合では17試合がこの条件を満たしている。サラリーキャップが導入されていなければ、もしかしたら今でもつまらないSuper Bowlが続いていたかもしれない。褒めよ称えよサラリーキャップ。
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