「偉大」なQB

 以前、Football Perspectiveで募集していた「集合知」"http://www.footballperspective.com/wisdom-of-crowds-quarterback-edition-2017/"のまとめが出ていた。どのQBがGOAT、つまり「史上最も偉大」であったかを聞いたもので、こちらのツイート"https://twitter.com/2mileshigh/status/835579613304786945"が結論のようだ。
 もちろん「偉大」という言葉の定義が曖昧なので、こうしたデータは単なる人気投票と同じものだと言うこともできる。実際、このツイートの結果にかみついている人が複数いるのだが、そこには「2回優勝したEli Manningが入っていないのはおかしい」「4回優勝したけどパス成績が全然冴えなかったTerry Bradshawの順位は高すぎる」と全く違う主張が見られる。定義が曖昧だからこうなるのだ。

 ここから分かるのは、全体として人々は優勝した回数とパス成績の両方を見て評価しているのだが、両者をそれぞれどの程度重視しているかについてはあまり明解ではないということだ。例えばRANY/Aのランキング"http://www.footballperspective.com/career-ranya-rankings/"でも優勝回数でもSammy Baughより上のSid Luckmanが、今回の集合知ランキングではBaughより下に位置している。2年前に行われた投票"http://www.footballperspective.com/greatest-quarterback-of-all-time-wisdom-of-crowds-recap/"でも同じような結果になっており、ファンの評価が数字以外の何かに左右されていることが分かる。
 だからランキングに入っているQBたちの中でも最近のQBたちはおそらく過大評価されている。具体的にはMcNabbあたりなどは、10年後に同じ投票をやれば圏外に消え去ってしまいかねない。パス成績がよく、加えてPhiladelphiaを2回チャンピオンに導いたTommy Thompson"http://www.pro-football-reference.com/players/T/ThomTo21.htm"が、ランキングに全く姿を見せていないのと同様に。
 自分が見た選手たちについては思い込みから、見ていない選手については一般に語られている内容から大雑把に判断した結果がこのランキングだろう。しっかりとした実績ではなくぼんやりとした印象が基になっているわけだから、そりゃ曖昧な内容にならざるを得ない。まあ「誰が最も偉大だったか」という質問自体が曖昧だから答えが曖昧なのは当然だとも言える。

 私自身は、優勝回数はQBではなくチームの成績だと思っているので、それを評価対象に入れる必要はあまりないと考えている。そして純粋にパス成績だけ見れば確かにBradshawは過大評価だが、それを言うならJohn Elwayなどはもっと過大評価されていることになる。ただしこれを突き詰めると、RANY/AランキングのようにArnie Herberがトップ3に顔を出すような予想外すぎる結果になりかねない。おそらく納得しない人も多いだろう。
 時代も選手も、ましてルールも違う時期の選手を横並びに評価しようとすること自体が無理なのは確かだ。どうやったって最後は主観に頼るしかない。ならいっそ人気投票と割り切って楽しむ方が正しい態度なんだろう。順位が高すぎる、低すぎる、入っていないのはおかしい、入っているのがおかしい。そう言い合いながら暇つぶしに使うのが一番適切な対応だと思う。
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